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第三章 闘技大会 後編

第五十五話 個人戦 近接戦 本選一戦目 ルインvsシュウ

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 ファナが見つかってから一日がたった。
 昨日は超おっかないライラロさんの知り合いの綺麗な女性がきた。

「こいつには呪いまでかけられてやがった。まじで危ねぇ集団に
狙われやがったなてめーら!」

 といって呪いを解呪してくれた。
 言葉遣いはものすごく悪いがきっといい人に違いない……と思いたい。
 
 パモにかかった呪いについて説明したが、死の呪いはやはり人間に解呪は
危険すぎるらしい。
 道具を使うのが無難だと言われた。

 そして俺は今、本選の試合待ち中。
 ファナが心配だが、そっちはライラロさんと師匠にもお願いしておいた。
 あの二人がいれば大丈夫だろう。

 師匠は俺の試合が見れない分、負けたら許さねえぞと念を押した。 
 今回の事でかなり頭にきてはいるが、冷静さは持っているつもりだ。

 強い相手が何人かいるからな。気を引き締めねばやられるだろう。
 そして……初戦の相手は船上で少し共闘したシュウさんだ。負けるわけにはいかない。


 準備を整えて会場へ向かった。

 ―――――――――――――


「さぁやってまいりました! 今大会予選では手の内をまるで見せてない
お二人の登場です! どちらも武器を二つ所持しておりますが、どうでしょうか! 楽しみです!」
「私も楽しみですっ! がんばれーっ!」
「まもなく試合開始です!」


「早速君と戦えるとは、ありがたいね。よろしく頼むよルインさん」
「こちらこそよろしく頼む、シュウさん」

「試合開始です!」

 カットラスを抜刀して下段構えに持つ。

 普段なら上構えだが、ニ刀相手では上下段に対応できない。

 どうしても下段構えを取る必要はあるが、一刀ならまず
ニ刀に対応するのは厳しい。
 
佐々木小次郎と宮本武蔵がいい例だな。

 シュウさんの構えはまさに二天一流のそれだ。
よほど鍛錬したのだろう。

 剣先で若干のフェイントを入れながら様子を伺う。
 シュウさんの冷や汗が地面におちる。読みあいなら俺の方が上だ。

 上体をとことん低くすると、打ってこいとばかりに
フラタニティで地面を叩く。
 シュウさんは覚悟を決めて俺に切りかかる。

 刹那フラタニティで地面に反動をつけて上空へ大きく飛翔した。
 迫ってきたシュウさんの反対側に行く。
 飛び道具ありならこの時点で暗器三発は投げれるんだがな。

 シュウさんのいた方向へ着地と同時に回転して迫ってきていたシュウさんの
刀をシールドでいなしつつガントレットで肘鉄をお見舞いする。
「ぐっ!」
「すきありだ」

 思い切り蹴飛ばす……が吹き飛びはしたが倒れない。
 やっぱりやるね。もろに入れたんだけどな。

 今度はカトラスを強く握り、下段の薙ぎ払いを行う。 
 シュウさんは剣でいなすが一気に踏み込み超至近距離に入る。
 この位置が刀の最大弱点。
 超至近距離に入られると脆すぎるんだ。
 深々とシュウさんの腹にフラタニティを入れる。シュウさんは倒れた。
 本選初戦でこれはなかなかきついな。まだ手の内は伏せたいんだが。

 試合は午後にもある。用心しないとな。
 これで絶解呪の署は手に入る。メルザを少しは安心させられるだろう。

 俺はメルザが観戦しているであろう方向に、拳を上げていた。
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