上 下
41 / 1,085
第二章 闘技大会編 前編

第三十六話 バウザーとカードの交換・ジョブコンバート

しおりを挟む
 師匠の技を伝授された後、俺たちは久しぶりにバウザーのいる幻魔神殿を訪れていた。

「いらっしゃいませ。ようこそ幻魔神殿へ。こちらのご利用は初めてですか?」
「いや、以前にも来たことがあるよ。バウザーさんはいるかい?」

 相変わらずのんびり話す受付嬢はミラという名前らしい。
 ミラにバウザーへの面会を求めた。
「はい、お名前は……ルイン様ですね。そちらの椅子で少々お待ちくださいー」

 頭を深く下げ、ミラはバウザーを呼びに行った。
 しばらくすると見覚えのある人物がこちらへ来る。

「お待たせした。私がこの幻魔神殿の神殿長を務める
バウザーである。ご用向きは何かな?」
「お久しぶりですバウザーさん。以前シーザー師匠を紹介して
頂いたルインです」

 バウザーは少し思案するような表情を浮かべポンと手を打つ。

「おお、君はあの時の! 強力な呪いの腕輪を持ち寄った青年か。
正直見違えたな。あやつに相当しごかれたのか?」
「はい、それはもう……とてつもなく」
「はっはっは、そうか! だが行った甲斐はあったようだね。
今の君なら闘技大会に参加しても問題なかろう。
支度には数日かかるが手配をしておこう」
「ありがとうございます、バウザーさん」

 バウザーは頷くと、ミラにいくつか説明しているようだ。

「して、今日の用向きはそれだけか?」
「実はジョブカードを手に入れたのですが、俺たちじゃジョブが合わなくて。
もしよければ交換してもらえませんか?」
「ふむ、ジョブカードの交換だな。どういったジョブが欲しいか
わかるかね? 基本的にはカードの交換はそこのミラが担当しておる。後のことはミラに聞くがよい。
君たちのデイスペルへの行く注意なども含めてな」
「わかりました。ありがとうございます。バウザーさん」

 礼をすると、メルザも真似して礼をし、笑顔を見せる。
 受付嬢のミラはしばらくしてこちらへ話しかけてきた。

「お待たせいたしましたー。神殿長よりジョブカード交換の儀と
デイスペルへの注意事項説明を承っておりますー」
「よろしくお願いします」
「まず最初にカード交換の儀からですが、お持ちのカードを拝見してもよろしいでしょうか?」

 俺は入手した四枚のうち、トランスフォーマーを除く三枚のカードを渡す。

「拝見します……どれも上位中級ですね。
一枚あたりで金貨三十枚相当以上のものです。
そちらがお望みになるジョブカードはどちらになりますか?」
「俺が欲しいのはモンクと剣術士があわさったようなやつなんだが…あるか?」
「俺様はフラクタル幻士がいいな。中級になれるのかどーかはわからねーけどよ」
「かしこまりました。少々お待ちくださいー」

そういうとミラは少し調べ始める。
「お二人ともこちらに手をかざしてくださいー」

以前にも調べたやつで適性を調べ、ミラは少し思案する

「そうしますと、こちらの二枚になりますねー。
舞踏剣士の戦い方、中級とフラクタル士、中級
そちらのブラッディ騎士のカードは少し価値が高いので
そちら以外の二枚と交換させていただきますねー」

 よくわからないが詳しい事はまた訪れた時にでも聞こう。
 俺たちは了承してカードに火をつけてもらう。
 
カードは燃え上がり、俺とメルザはジョブ適性を得たようだ。

「そのままジョブコンバートをなさいますかー?」
「あぁ、頼む。メルザもやっていくだろう?」
「おー、俺様もやるぞぉ!」
「中級へのコンバートは初めてになりますね。
初回は料金半額の金貨五枚になりますので、十枚頂きます」

 高っ! けどメルザからさっき運よく売れた純白のドレスの金がある。
 メルザ、助かったぞ。

 俺たちは祭壇に上がり、光が降り注ぐ円状の間へとあがっていった。

「あのー、お一人ずつになるんですがー」
「メルザ、ちょっと待っててくれ」

 メルザは少し残念そうに後ろに下がる。

「金の幻、銀の幻 祈りを持ってかの者の真髄を呼び覚まさん。
持つべき力を幻の形に」

 降り注ぐ力が強くなる。俺は二回目だが何度見ても不思議な光景だ。
 中級以降は金がかかるのがアレだが。
 
 同じようにメルザも祭壇での祈りを済ませ、俺たちはジョブコンバートを終えた。
 けどこれって戦わないと実感わかないんだよな。

 神殿をあとにし、メルザの領域へ戻るべく、メルザを再びおぶって走るのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...