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第一部 主と紡ぐ道 第一章 出会い編

第十六話 事件発生!?敵との闘い

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 俺たちが部屋に戻ると、カカシがみあたらない事に気付く。
 マジックアイテム扱いされていたので、いじけて出かけたのかな
とも思ったが、勝手に行動するような奴じゃない。

 風で飛ばされたって可能性もあるが、窓はそこまででかくない。

 ふと地図を見ると土のような物がのっている場所があった。
 先ほどせっちゃんに聞いた真なる夜のエリアの方だ。
 もしかしてカカシは何者かに連れ去られたのか? 

 メルザも「ゴサクー、ゴサクー」と探している。

「地図の上にこんな土が乗っていたんだ。
もしかしたらカカシは何者かにさらわれたのかもしれない。
いや正確にはマジックアイテムと間違われて奪われたかもしれないな」
「なんだって!? 直ぐに取り返しにいくぞ!」
「ああ、せっちゃんに伝えてくる」

 俺はせっちゃんに事情を説明した。せっちゃんとしても客の
持ち物を勝手に持ち出したのを許せないらしい。
 怒りに骨を震わせている……カタカタしてて怖いんですけど。

「この子を連れて行って頂戴! あなた達だけでは真なる夜のエリアでは何も見えないでしょう? 
この子はセシルちゃん。きっと役にたつわ。さぁ、セシルちゃんも挨拶して」
「よろしくお願いしました」

 光の戦士みたいな名前だが、見た目は小さい服を着た骨だ。

 セシルに挨拶すると、急ぎ地図上に知らされた場所……真なる夜のエリアにある 
【静かなる裂け目】と書かれた場所を目指した。

 道中は賑わい祭りの夜エリアも通る。とても賑やかで明るい。

 色々な店があり、いつ終わる事無く買い物が続いているようだ。

 しかし今はここで立ち止まって見ている暇はない。
 屋台の肉に目を輝かしているメルザの首根っこを掴み、先を急ぐ。

「ここから先が真なる夜のエリアでした」

 セシルは過去形で話す癖があるようだ。
 終わっちゃったみたいだが今から入るんです。

「私から三メートル以上離れずについて来てくれました」

 そう告げるとセシルはランタンのような物に光るものを入れて歩き出す。
 すぐ後を追うが、ランタンの光はすっと消える。
 何故か暗闇でもセシルの周りは明るく見える。
 
 こいつ、やはり光の戦士なのか? 

 着かず離れずでセシルの後を追う。
 このエリアに入ってから歩く音も聞こえない。
 メルザも俺の腕をつかみ放そうとしない。
 パモも俺の肩に乗っている。もふもふだ。

「この中が静かなる裂け目でした。誰かいるようでした」

 周りには何もない場所の中央にぽっかりと裂け目がある。
 不用意に近づくのは危ないので、俺は周りに転がっている小さな石を裂け目に投げつけてみた。

 音は一切しない。
 
 何発か投げ込んで見よう……石はどれも吸い込まれるように裂け目に入っていく。
 すると……裂け目からでかい芋虫のようなモンスターが出てきた! 

 俺は持ってきたシミターを構える。
 メルザも言われずともでかけろりん戦の時のように防御用の土斗を展開する。 
 パモも手伝ってくれているようだ。
 セシルは立っているだけだ。身代わりの盾にはならないのかよ! 
 
 芋虫は何か叫んでいるようだがよく聞こえない。

 液体のような物を吐き出してくる。
 音が聞こえないため危険だが、回避して防御壁の影から燃斗を放つ。

 数発あたってきいている感じはするが、効果はうすい。
 あの硬い甲殻のおかげか。一つ試したい事があったので
 俺はメルザとパモの近くに行って声を張る。
「メルザ、パモ! 聞こえるか! あいつに風斗を同時にうってくれ!」
「任せろ!」
「ぱみゅ!」

 双方から承諾を得て、ぐるっと右に旋回する。
 奴は俺じゃなくメルザとパモの方に向けて毒液を吐いている。

 刹那、メルザとパモから強い風が発生しているのを確認した。
 俺はそれに乗っかるように燃斗を放った。
 風斗を受けて燃斗が勢いよく奴に炸裂する。
 すごい業火だ。やつが苦しんでいる隙に俺は背後をとった。

「横薙ぎ!」

 俺は恥ずかしくもそう叫び一閃する。

「ぎろおおおおおおおぉ!」

 奴は暴れてこちらを振り向こうとしたが……
「氷斗!」

 メルザのとっさの氷斗により左右を防がれる。

「ナイスだメルザ」

 そういうと大きくシミターを構える。

「燃斗切り!」

 俺は燃斗を唱えながら奴に縦切りした。

「ぎろぉおおおおおおおおお!」

 奴は大人しくなり動かなくなった。
 無事倒せたようだ……まさかこんなモンスターがいるとは。

 しばらくしてそいつはどんどん小さくなり、人の姿に形を変えた。
 俺たちは驚いて様子を見る。

「敵との戦闘に勝利しました」

 セシル、お前何もしてないだろ! 
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