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第一部 主と紡ぐ道 第一章 出会い編

第十話 最奥部の巨大宝箱

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 戦闘の息切れがようやく整ってきた。
 片手を掲げてグルグル円を描きながら、倒れたでかけろりんに
メルザが近づいていく。

 そしてやっぱりつんつんする。好きだなつんつん。
 早く食べたいのか土斗で焼くスペースを造っている。

「肉肉肉ー、こいつは食べ応えーがありそうーだー」
「めっきゅきゅー」

 二人で呑気に歌ってるがパモ、お前もそれ喰うつもりか!? 
 俺が額に手をやると、その手が先ほど水鉄砲を受けたせいか痛む。

「メルザ、悪いがさっきの宝箱に入ってた石、使わせてもらうぞ」

 「おう!」とメルザがサムズアップする。
 パモも真似してサムズアップならぬハネズアップする。
 おまえら息ぴったりだな……うちのチームには突っ込み役が足りない。

 俺は幻薬を握って傷が治るように祈った。
 すると先ほど感じた痛みはほとんどなくなった。
 メルザを癒した時も思ったんだが効き目が早い。

「おい、ルイン! でかけろりんの腹んとこにでっけぇ宝箱があるぞ!」

 うつ伏せになって倒れたでかけろりんをひっくり返して
 肉を喰おうとしていたのだろう。

 その下敷きになっていたでかい宝箱を指さして、メルザは
ワクワクキラキラしているようだ。

 俺も珍しいアイテムを手に入れてからどんな物が入っているか
楽しみだったし気持ちはわかる。
 
 さっきと似たような形状の窪みがあるということは……
 先ほど切り倒した葉っぱの方を見ると二つに割れた板が落ちていた。
 割れてても入るよな? 

「おいルイン。宝箱開けるのは後にして先にこいつを喰おーぜ! その剣貸し手くれよ。
俺様もうおなかぺこぺこだよ」
「ぱみゅぅ~……」
「わかったよ、ほら」

 俺は剣をメルザに渡した。メルザはそれを軽く振ってみる。

「結構重たいんだな。こんなのよく軽々と触れるなルインは。
あれ? なんだこの剣ちっとも切れやしねー」

 メルザは何度か試してみたが
 でかけろりんの肉は切れそうにない。

「おかしいな。俺が戦っていた時はよく切れたぞ?」
 
 メルザから剣を受け取ると、俺はでかけろりんを強く切った。
 肉はあっさり切れた。切れすぎたくらいだ。

 三人で首をかしげて? ポーズをとる。
 これはやっぱり剣闘士ジョブの効果だろうか? 

 まぁいいやとメルザは食事の準備をする。
 ブレスレットを外してその上に肉をのせて……おやめなさい! 

 燃斗を放てる武器なんだし、この剣で焼かせよう。
 俺は剣を串焼き代わりにして肉を刺し、メルザに渡す。

「ルインは頭いいな! これで焼いたら喰いやすそうだ!」

 メルザが肉を焼いている間に俺は巨大な宝箱を念のためにアナライズする。 
 このでかさでトラップがあったら大変だしな。

 巨大宝箱をアナライズしたらこんな情報が入ってきた。

 宝箱(大)
多くのアイテムが詰まっていることがある
何が出るかは運次第
最低一つはセミユニークアイテム以上が入っている



 これは楽しみだ。
 小さかった宝箱にセミユニークが入っていたのは運がよかったようだ。

 焼けたカエル肉の匂いがする。俺も一切れもらうか。
 背に腹は代えられん。

 メルザが剣をそのまますーっと俺の顔の前にだす。
 怖いって! 喰ってみるけどさ。
 このカエル肉、意外と美味かった。
 そしてパモも喰っていた。

 閑話休題

 改めて割れた板を広い、巨大宝箱に差し込む。
 宝箱は無事開いたので、問題なかったようだ。

「前の時みたいに中身見てくれよ。俺様じゃよくわからないからな!」

 俺は目を閉じると中身に意識を向けた。

 落月のナイフ(月光付与) 【ユニークアイテム】

 別名落ちゆく月のショートソード
 持つものに光の癒しを継続的に与える
 その昔 月の欠片をウェアウルフが鍛えてできたという
 逸話がある 使用しすぎると壊れる可能性がある

 落人の籠手(心眼付与)【ユニークアイテム】

 過去の戦乱中敗れた者が身に着けていたとされる籠手
 相手の隙を見出し、強烈な一撃を叩き込む力が上がる
 防御性能はそれなり

 赤薔薇のワンピース(幻燃斗付与I)【セミユニークアイテム】

 真っ赤な見た目が強く印象付けるワンピース
 着るものの魅力を引き立て注意を引くが
 少し敵するものに狙われやすくなる

 小麦の種三キログラム(即成長)【ノーマル】

 一見普通の小麦の種だがすぐ育つ
 あっという間に収穫できる

 幻薬(小) 【ノーマル】

 対象の傷を(小)回復する
 使用すると無くなる


 以上の物が入っていた。ユニークが二つも入っているとは! 
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