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第8話 妖艶な囁き(♡)

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「君と、性行為がしたい。交尾がしたい。セックスがしたい」

 囁き声は俺の全身にさざ波のように伝わって震わせた。

「君と、エッチがしたいなあ。あぁ、君と身体を1つにしたくてたまらない……!」

 どんどん先輩の声に熱が帯びて吐息が荒くなっていく。

「ああ、ごめんよ。私が先に我慢できそうにない……!」

 そう言うや否や先輩は俺にキスをした。何度も何度も何度も。すぐに舌が入ってきて俺の舌を舐め回すように動かしだす。俺も合わせるように舌を動かす。先輩が舌を戻したら今度はこっちの舌を先輩の口に差し入れて、先輩の口内を舐め回す。
 脳がとろけそうだった。それと同時にこれじゃ全然足りない気持ちがあった。

「はぁっ。本能というのは凄いね。今じゃ私たちはすっかり獣だ」
「獣じゃまだまだこんなもんじゃないですよ。全然足りませんって」
「そのとおりだ。私も全然足りないっ」

 先輩が俺の手を取って下半身を押し付ける。外側まで生暖かい愛液が溢れていてぬるぬるしていた。先輩は自分で俺の指を押し付けて腰を動かし始めた。

「んっ、あっ。気持ちいいっ。気持ちいいよっ」

 腰の動きはどんどん早くなっていった。俺が少し指を強く押し込むと「んぁっ!」と一際高い嬌声があがった。

「それっ、それもっとしてくれっ。全然っ。全然足りないんだっ」

 要望通りに指をもう少し強く押し込む。柔らかい不思議な感触がしていたが先輩が腰を思いっきり引くと固くなってる部分に指が当たった。

「ここっ、ここ弄ってくれっ!」

 固くなっている部分に指の腹を押し当てて回すように弄る。

「あぁっ! んぁっ! はぁっ!! いっ、気持ちいいっ!!」

 俺の腕を掴んで先輩が腰を振り、俺は指を動かし続ける。次第に先輩の身体が小刻みに震えるようになり。

「いくっ、いくっ。ん~~~~~~~~~~っ!!」

 ぶるっと一際大きく震えると同時に先輩はくぐもった声をあげた。何度かがくがくと震えてから俺にのしかかるように脱力した。

「はぁ……君にされるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかったよ……」

 息を荒くしたまま先輩が囁いてくる。

「女の人、いくとそんな感じになるんですね」
「動画で見たことないのかい?」
「全部演技だと思ってますし、どこでいってるのか分かりにくいですから」
「ふふ、初めて見た感想は?」
「……こんなに興奮するものだとは思ってなかったです」

 すでに俺の下半身にあるものは窮屈なぐらいに硬さと大きさを増していた。
 そこに視線を落とす先輩の瞳には甘い熱がこもっていた。

「本当は指も入れてほしかったけど、そんなのじゃもう我慢できそうにない。君も脱いでくれ。全部」

 言われてすぐに俺も片っ端から服を脱いで全裸となった。
 先輩が身体を密着させてくる。先輩の体温が直に感じられてとても心地良かった。

「ああ、温かいんだね君は。もう何もかもが至福で頭が壊れそうだ」

 そう言いながら先輩の指先が俺のモノに触れる。先輩の口から吐息が漏れ出した。

「本当は色々と前戯をしてあげたかったんだけど、もう全く我慢できない。君もそうだろう?」
「はい。喋ってるのがもどかしいぐらいです」
「分かった。じゃあ……」

 先輩が俺から離れて部室のソファに座り、脚を広げる。しかもこれから入れる先をわざわざ手で開いてみせた。桃色の濡れそぼった肉を見せつけてくる。

「言われたとおり、私の全てを君に捧げるよ。好きなように貪ってくれ」

 俺は何も言わずに入り口に先端をあてがった。そこで一瞬だけ、ほんの一瞬だけ理性が入ってきた。

「あの、ゴム」
「そんな君と私を隔てる無粋なものなんか必要ない。早く入れてくれっ」

 我慢ならない様子で先輩はまくしたてて俺の言葉を遮った。理性が完全に吹き飛ばされた俺は本能の赴くままに腰を押し込んだ。

「いっつっ……!」

 先輩が苦しそうな声をあげる。かなり狭いという感覚がして抵抗感もあるが、全部無視して俺は押し入れていった。そして根本まで入りきったところで動きを止めた。

「全部入りましたよ」
「お、思った以上に痛いなこれっ! 本当に裂けてないのかいっ!?」
「まあ、多分……」

 ソファをぎゅっと握りしめる先輩はかなり痛そうだ。痛みのせいで冷静さがちょっと戻っている。
 正直こっちは動かしたくてたまらないのだが、痛そうな様子が俺にも理性を戻してくる。

「1回、抜きましょうか?」
「やだっ! 絶対にやだっ!」

 俺の提案を先輩は涙目になりながらも拒否。その代わり両腕を広げてくるので、覆いかぶさって抱きしめる。

「痛い。痛いけど幸福だ。こんなにも痛いのに私は生まれて初めて自分が女であったことに感謝しているよ。君を身体で受け入れることがこんなにも嬉しいだなんて」
「俺も嬉しいです。先輩の身体と繋がれるのが。正直、我慢するのはちょっと辛いですけど」
「なら、もう動いていいよ」
「もう、痛くないんですか?」
「いや、まだ痛い。でも私の身体は君のものだ。君が好きにしてくれ。私がそうしてほしいんだ」

 先輩が抱きしめる力を緩めたので俺は上半身を少し起こす。先輩の表情が目に映った。また、妖艶な笑みを浮かべていた。

「私の身体も心も君のものだと、思い知らさせてくれ」

 背中にぞくっと震えが走る。今すぐ目の前の女をどうにかしてやりたいと、正体不明の衝動が走る。性欲と呼ぶには暴力的な衝動。それとも性欲とはこんなにも暴力的なものなのだろうか。

「先輩、いちいち煽りますね。そういうの良くないですよ」
「ふふ、好きだろう、こういうの」

 わざと、だった。
 俺は多少は戻ってきていた理性を、今度は自分の意思で投げ捨てることにした。
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