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瀧は二人で暮らすマンションに着き玄関ドアを開けたが家には誰の気配もなかった。

スマホを見ればヒューからのメッセージがある。ヒューの父親であるウルリヒが数時間前に過労で倒れすぐにヒューも帰国する運びになり、すでに彼は飛行機の中だった。


誰もいない部屋で大きくため息をつくと瀧の身体は空っぽになった気がした。

しばらくそのままソファに横になっていたが、やがてのろのろと起き上がり、シャワーを浴びて寝室のベッドへ向かった。

いつもは二人で寝る広いベッドに潜り込むとかたわらに眠るヒューの姿を思い浮かべながらその日は眠りについた。



それから二週間、瀧はヒューに会いたい気持ちを抑えながら連絡を取り続けた。ウルリヒの状態は悪くなかったのだが、すぐの現場復帰には至らず、不在になったCEOである父のサポートに回る兄のカバーと本来の帰国目的である経営会議も同時に進めているようで、帰国予定も遅れていた。
さらに日本とアメリカの時差もありなかなか連絡が取れない。


ヒューは忙しそうではあるが、あの美貌と人柄の良さだ。どこにでも誘惑の種は落ちていそうだし、それにあの自分の感情ばかりを押し付けてもつれた日の仲直りもしていない。

瀧の不安は日増しに大きくなり、ふとした隙にもうヒューは日本に帰ってこないのではないかとあらぬ想像を巡らせながら日々は過ぎていった。



程なくして大学の授業が昼過ぎには終わったある日、早い帰途につきリビングのソファでだらだらと課題に取り組んでいるとヒューからビデオ通話があった。メッセージのやり取りはあったが顔を見て話すのは初めてだ。

震えるスマホを握りしめ、片手で前髪を少し整えたら肩でひと息ついた後、通話ボタンを押す。

「‥‥ヒュー?」

つまらない妄想をしては気が小さくなっていた瀧はおずおずとヒューの名を呼んだ。  

小さな画面いっぱいにヒューの端正な顔が映し出される。
向こうは夜の11時頃で仕事がやっと終わったのかやや疲れを感じさせるその様子が逆に艶っぽく男の色香を湛えていた。


「瀧!」

向こうにも瀧の映像が届いていて、ヒューは満面の笑みを向けた。

瀧もヒューの笑顔に安心して微笑みを返した。

「会いたいヒュー」

「私も瀧と会えなくて寂しい」

二人はぽつぽつとお互いの近況を話すが、瀧の心はそぞろだった。

ヒューと離れて半月ほど。ずいぶんと触れあっていない。電話越しのヒューの声が瀧の耳から身体に沁み渡ると気分は高揚しヒューを求めた。


「ヒュー、キスしたい」

瀧は画面越しのヒューを誘う。

ヒューの嬉しそうな微笑みが映し出されると画面に唇がアップになり、小さなリップ音。

「瀧もして」

求められ瀧も同じようにキスを返す。
ヒューは自らの首筋にカメラを向けるととろけそうな声で語りかける。

「次はここ」

瀧も画面にもう一度唇を寄せる。冷たく固いそこに唇が触れるとヒューの熱い肌が恋しくなった。

「俺の首にもして」

瀧が今度は首もとにスマホを近づける。ヒューが再びリップ音を奏でた。

「その下も見せて、瀧」

甘く嬉しそうなヒューの顔が画面に映ると心臓がきゅうっ、と締め付けられる。瀧はためらいがちにシャツのボタンに手を掛け、胸の尖りを露わにした。

瀧の持つスマホの画面からちゅっ、ちゅっと何度も音がする。

「‥‥瀧、私のことを考えて、さわって」

「‥‥ん」

目蓋を閉じてヒューの香りや肌の感触を思い出しながら瀧は空いている片手で乳首を弾いたり、擦ったりした。

「気持ちいい?」

「ヒューに触ってほしい‥」

「ああ、もう、今すぐ会いに行きたい‥!」

ヒューの感極まった声に瀧は股間が熱を帯びるのを感じ、手を伸ばすと服の上から撫で始めた。
画面に映る瀧の淫靡な顔にヒューは少し声を上擦らせて話しかける。

「どこ触ってるの?」

「‥‥下半身」

「スマホを引いて全身を私に見せて」

「‥‥やだよ」

「照れてる瀧の顔、とっても可愛い」

「見せて」と再びのヒューの囁きに瀧は負け、背もたれにしたソファの向かい側の肘掛けの内側にスマホを置いた。

「瀧の全部が見えるよ」

ヒューの美声に理性は溶かされ、うっとりと言われるがまま瀧は履いていたボトムスを下着と共に下ろし、勃ち上がり掛けの性器を指で擦った。

スマホのスピーカーから「えっちだよ」「会いたい」「好きだ」と聞こえるたびに瀧は淫らに興奮し硬く張り詰める性器をぬるぬると絶頂の淵に追い詰めた。

迸りが瀧の手を汚した後、熱を孕む瞳でスマホの画面を見るとヒューもまた自分で自身を慰めているようでセクシーな顔が吐息と共に映し出されていた。

「ヒュー、イくとき俺の名前を呼んで?」

画面の中のヒューは淫らで切ない瞳を瀧に向けながら何度も瀧の名前を繰り返し呼び、やがて達した。
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