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見合い当日はよく晴れて気持ちのいい日になった。朝から気合いの入ったすっぴんの地味顔の静湖にテキパキとメイクを施され、先日購入したワンピースを着せられる。

トータルのコーデに10万ちょっと支払った姉に、瀧はこのお見合いに力をかける姉に異様さを感じた。お見合いを潰すにしたって一回限りしか着ない服にそこまで金掛けてどうすると言うのだ。姉は瀧の女装を楽しんでいるのか、とても楽しそうだ。


全ての支度が整い、静湖の部屋の大きな姿見で自分を見れば、そこには完璧で美しいオカマがいた。

‥綺麗だ。


艶のあるセミロングのウィッグに悩ましく整えられた眉毛。長いつけまつ毛に縁取られた元から美しい瞳はアイシャドウに彩られて色気を纏っている。
ほんのり染まる頬のチークと唇。ハイライトの自然なパールの発色で元から良い個々のパーツがさらに際立つ。


「これが‥わたし‥?」

瀧は鏡に顔を近づけるとふざけながらも、その完成度の高さを褒める。

「くだらないことやってないで。ほら、手を頬に当てない、メイク崩れる」

静湖も上機嫌でタクシーを呼ぶと瀧を詰め込んだ。
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