犬

春

4

　エリートが集まる学園は階級に支配されている。
　バース検査が終わった後、学年に数名いるオメガの一、二人が輪姦されたって噂が出たくらいオメガは弱い。
　校内で発情期になってしまい騒ぎになったオメガもいた。抑制剤を飲んでたのかは知らないが、抑制剤の効きに個人差があることは皆承知している。
　バース検査後、ストレスから学校に来れなくなったオメガもいたくらいだ。

　社会的にアルファの地位は圧倒的に高く、オメガはただ跪くしか出来ない。
　オメガというだけでアルファから何をされても誰も護ってはくれない。

　バース検査後、ベータの友達だった梶かじはスキンシップが多くなり軽んじる態度になったし、アルファの香乃宮こうのみやは俺の尻に腰を振って揶揄ってきたり、誰だか知らないけど体操服の乳首のところだけ丸く切り取られていたこともあった。

　それに気づいた神楽と法正が休み時間になっては俺のところにやってくるようになった。
　丸越は五鐘堂と獅子鳳山のもの。
　そのうちこれが学園中に広まり、相手があの二人ともなるとベータはもちろん他の学年のアルファですら俺に手を出して来なくなった。
　
　だが、同時に友達もなくした。
　二人に関わってトラブルはごめんだと黙っていてもわかる。それほど五鐘堂と獅子鳳山の名前は大きい。


　トラブルは無くなり安心したのも束の間、俺は神楽と法正に無理矢理やられた。中二の夏。暑い部室で。汗と精液にまみれた俺を神楽が家に連れて帰り、うちに外泊の連絡を取り、服をクリーニングに出した。夜になると神楽が部屋にやってきて何度も俺を犯した。あれから神楽の家には行っていない。

　
　それから俺はオメガという理由で二人に犯され続けている。
　俺は神楽と法正という友達も失った。