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episode.10
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実験室での授業の後、理久が二年のクラスの近くを通りかかると友達とはしゃぐ梓杏がいた。どうやら次の授業は体育のようで、周りの何人かはジャージ姿で、梓杏も下は制服のズボンでワイシャツの上からジャージを着ていた。声を掛けたかったが周りの上級生が恐くて迷っていると、こちらを見続けながらもじもじしているでかい理久に梓杏も気付き、友人たちから離れて理久のところへやってきた。
「よう」
見れば梓杏の着ているジャージは梓杏のサイズより少し大きく胸元には『河内』と刺繍がある。梓杏の苗字は三田だ。じっと他人の名前の入ったジャージを見つめる理久に梓杏は不思議そうな顔をする。
「あ?これ?ジャージ忘れて隣のクラスのやつに借りたの」
理久と梓杏の学校はユルいので体操服を忘れても上だけジャージを着て適当に参加すればちゃんと出席になる。
「梓杏先輩、ちょっと、すぐ戻ってくるので、ここで待っててください」
理久は上背があるためそれなりに長い脚で素早く走り去ると、2分後、手にサブバッグを抱えて梓杏のもとに戻ってきた。
「こ、これ、お、俺の、着て‥」
息をぜいぜい吐きながら理久はバッグから自分のジャージを出すと、梓杏に押し付けて渡す。
「は?なんで理久のジャージ着なきゃなんねーんだよ。大体おまえのサイズでかす‥」
「だから、それ‥。それ脱いで‥」
梓杏がしゃべりきらないうちに理久は少し頬を赤らめながら、梓杏の着ている河内くんのジャージを指さきでそっと引っ張った。
「他の人の服‥、着ないでください‥」
それを聞いた梓杏は唇をとんがらせながら「うぜえ」と答えながらも、さっさと素直に着ているジャージを脱ぎ、理久のジャージをすっぽりと被った。ジャージはダボダボでふんわり理久の家のにおいがする。
「あ、よ、四時限目、俺も体育なんで、また取りに来ます‥」
予鈴が鳴り、理久は頭を下げると急いで教室に戻ってゆく。梓杏は理久の背中を見ながら、長すぎるジャージの両袖を鼻先に当て、晴れた日にたくさんのお日様の陽を浴びたお布団に埋もれるような幸せな顔で、すんすんとそれを嗅いだ。
「よう」
見れば梓杏の着ているジャージは梓杏のサイズより少し大きく胸元には『河内』と刺繍がある。梓杏の苗字は三田だ。じっと他人の名前の入ったジャージを見つめる理久に梓杏は不思議そうな顔をする。
「あ?これ?ジャージ忘れて隣のクラスのやつに借りたの」
理久と梓杏の学校はユルいので体操服を忘れても上だけジャージを着て適当に参加すればちゃんと出席になる。
「梓杏先輩、ちょっと、すぐ戻ってくるので、ここで待っててください」
理久は上背があるためそれなりに長い脚で素早く走り去ると、2分後、手にサブバッグを抱えて梓杏のもとに戻ってきた。
「こ、これ、お、俺の、着て‥」
息をぜいぜい吐きながら理久はバッグから自分のジャージを出すと、梓杏に押し付けて渡す。
「は?なんで理久のジャージ着なきゃなんねーんだよ。大体おまえのサイズでかす‥」
「だから、それ‥。それ脱いで‥」
梓杏がしゃべりきらないうちに理久は少し頬を赤らめながら、梓杏の着ている河内くんのジャージを指さきでそっと引っ張った。
「他の人の服‥、着ないでください‥」
それを聞いた梓杏は唇をとんがらせながら「うぜえ」と答えながらも、さっさと素直に着ているジャージを脱ぎ、理久のジャージをすっぽりと被った。ジャージはダボダボでふんわり理久の家のにおいがする。
「あ、よ、四時限目、俺も体育なんで、また取りに来ます‥」
予鈴が鳴り、理久は頭を下げると急いで教室に戻ってゆく。梓杏は理久の背中を見ながら、長すぎるジャージの両袖を鼻先に当て、晴れた日にたくさんのお日様の陽を浴びたお布団に埋もれるような幸せな顔で、すんすんとそれを嗅いだ。
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