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第4部 アマランタイン

第3章 続く螺旋の詩(うた) 1

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トリニティとディーバの居る中庭に、別の長身の悪魔が現れた。黒く伸びる髪、整った容姿。優雅な動作さえも人間の領域を超えて美しかった。
「皆の頭首が一人こんなところに逃げて何をしている」
 冷たく胸に突き刺さるような言葉に、トリニティは魔王の真意を測りかね、顔を上げて魔王の姿をじっと見つめた。
 非人間的な外見は天使や悪魔に共通していたが、特に──魔王ブラックファイアのそれは、凄絶な、という形容詞を冠してもよいほどだった。
 それなのに、何故だろう。
「なんだ──」
 ブラックファイアは言葉少なに答えた。彼女の知る限り、魔王はいつもこんなふうだった。
 何にも興味を示さず、何に係るのも詰らなさそうな……。
 きっと、その通りなのだろう。天を捨ててまで愛した女を失って、失意の果てに何の希望も見出せないまま時を無為に過ごしてきたのだ。滅びのない彼には、そうするしかなかったから……。
「あなたは最初から知っていたのよね……?」
 その言葉はトリニティの独り言に過ぎなかったが、魔王はそれに答えて僅かに眉を上げた。
「アレクの事よ。……彼が……失われた王族の末裔だったっていうこと……」
 トリニティは喉の奥に何かがつかえたかのようにようやくその言葉を搾り出したが、魔王はそれについて彼女ほどの感慨を持ったようには見えなかった。人間達の陰謀や策略の果ての歴史など彼には興味がないのだろう。だからトリニティのような呵責を覚える事もない。
「確かに」魔王はそう答えた。
 そして、アレクシスも知っていた。

 知っていたのだ。

 トリニティは唇を噛み締めた。
 知っていて、どんな気持ちで自分を見、自分に接してきたのだろう。──自分が座っていたかもしれない場所に居るトリニティを、どんな気持ちで。
 それを思うと胸の奥が潰れそうに痛んだ。
 自分を──自分達一族を玉座から追い落とした一族の末裔を前にして……。


 だから許せと?


 脳裏の奥で、先程マダム・ペリペ──女神イシリ──に言われた言葉が木霊した。


 直接関係がないから、だから……この娘を許してやれと?
 ──許されるとでも思っているの?



 ええ。そうね──とトリニティは心の中で答えた。


「もしも……」トリニティは掠れた声で呟いた。「もしも、あたしが逆の立場だったとしたら……やっぱり……さっきのマダムと同じ事を言うと思う……」
 たとえ年月が過ぎ去っていたとしても、たとえ罪を犯した当の本人はもうこの世に居ないのだとしても。
 やはり、その血族が末裔が目前に現れたなら。──そしてそれが──未だに許しがたいほど心に刻み込まれているのなら──きっと、自分にだって相手を許せはしないだろう。
 イシリは愛した男の為に堕天して、そうまでして彼の為に国づくりに力を尽くした。
「だからどうだと?」
 魔王の氷のように冷たい言葉がトリニティの頭上に降ってきた。
 トリニティは弾かれるように顔を上げた。久しく見なくなっていた、高い矜持が現れたような強い瞳で魔王を睨みあげる。
「だから──どう、ですって? あ、あなたねえっ!」
 トリニティは語気も荒く魔王に詰め寄った。
「そりゃあ、貴方にとってはどうでもいい事かもしれないでしょうけどねっ! あたし達人間にとっては、そうじゃないのよっ?」
「地位が? 権威が? それとも──何が?」
 魔王の抑揚のない声が響いた。感情も、何かを感じる心も、全てを閉ざしたような声が。
「アレがそんな事を口にした事が一度でもあったか?」
「い、いいえ」
 掴みかけた魔王の服の裾へと伸びた手が止まった。
「我々には人間の世界の出来事など何の関係もないことだ。彼女が王女だった事も、我が友が王子だった事も」
 トリニティが再び魔王を睨みあげた。
「あなたが──あなたが、それを言うのっ?」
「そうだ。彼らの立場が王族だったという事に何の意味がある?」
 だから、その末裔であるアレクシスが王族だという事にも何の意味もないと──魔王は本気でそう思っているようだった。
「それは人間の世界での事だ。我々に関係があることではない」
 トリニティは声を荒くした。
「信じられないっ!! 本気でそれを言っているの? 王族だと言う事にどういう意味があるのか、あなたは分っていないのっ?」
 魔王にはトリニティの憤りが理解できないらしく、無感情な瞳を僅かに顰めた。そんな魔王の様子にトリニティは心の底から苛立った。
「──王子だっていうことは、その後ろに、何百万という国民の命を背負っているという事なのよっ? あなたは──友だという王子に、それを捨てさせたんでしょうっ? その負った責任の重さがあなたに分っていたの? それなのに! ──それを──関係ない、ですって?」
 魔王が眉を寄せた。
「人間の命の重さは、その人ひとり分の重さでしかない」
「本気で言ってるのっ──!」
 憤慨するトリニティの隣で、ディーバが含み笑った。
「何を言っても無駄さ。天使くさいヤツは皆そんなだ。相手に立場や背景があるとか──それを理解しようと思いやってやるなんて事は、連中には出来ない芸当だ」
 トリニティがディーバの方を向いた。それに答えるように悪魔は肩を竦めた。
「それが出来てるようじゃ天使とは言えないが──出来るようになっても、自分の事しか考えられないから悪魔っていうんだぜ」
「……そうね……」トリニティが搾り出すように言った。
「あたしにもようやく分ったわ……。どうしてあなたの事を魔王って呼ぶのか! ちょっと、ここに屈みなさいよ!」
 トリニティは魔王に向かって猛然と声を張り上げた。人差し指を伸ばした拳を何度も上下に振る。
「ホラ! あたしの言う事、ちゃんと聞きなさいよ! 魔王だか何だか知らないけどねぇ! 今はあなたはアレクの使い魔なんだから、あたしの言う事も聞くのよっ!!」
 魔王は相変わらず無表情だったが、困惑気味にそろり……とその長身をまげてトリニティの視線と自分の高さをあわせた。
「──これでいいのか──?」
 魔王の言葉が最後まで終わらないうちに、乾いた音が周囲に響いた。
 トリニティは小さな掌でさして強くもない力で、それでも目いっぱいの力を込めて魔王の頬を打った。隣でディーバが小気味よい口笛を吹き鳴らした。
 何が起こったのか理解できない様子で呆然とする魔王に向かってトリニティは、青白い顔の中の緑色の目を光らせて、おびえることなく挑むように睨みあげた。
「これは、アレクの分!」
 さらに、返す手で反対の頬を打った。
「これは、亡くなったって言うあなたの恋人の分!」
 さらに平手を大きく後ろに引いて、もう一度。
「それからこれは──友達だったって言う、王子様の分!」
「まだまだあるわよ? 王位を継いだっていう、弟王子の分だって!」
 あのドンジョンの奥底で、鎖に繋がれたまま白骨化していた最後の王。トリニティを待っていたかのように──受け渡すかのように彼女の手に渡った王の証。
「あんたは、呆れるほどの馬鹿よっ──!」
 どんな気持ちで、弟王子は兄王子を送り出したのか。……そうして王位に就いたのか。
 どんな気持ちで、当時の執政一族につかまり、どんな気持ちで最後の時を迎えたのか。
「そんな顔をしてっ! あたし達人間の気持ちななんて、あなたに何が分るっていうのっ!?」
 どんな思いで兄王子は王位を捨てたのか。どれ程の思いで魔王の為に暗い地下の底で穴を掘り続けたのか。
 それをどれ程の思いで、代々の末裔が引き継いできたのか。
「何も分るものか。だからこそ『悪魔』って言うんだぜ。特に『原初の天使』は最悪だ。不死にして不滅。世界の始まりから終わりまで存る存在だ。連中は生まれたときから滅びるときまで、何一つ自分を変える事が出来ない。一つの事に想いを寄せたらそれっきり──わき目を振る事もできず、ただそれしか考えられない」ディーバがせせら笑う様に言った。
「愛した女が死んだからって、人間のように別の誰かを愛したりなんて出来ないのさ」
「なによ! あたし──同情なんてしないからねっ!」
 トリニティはマダム・ペリペが彼女に対して言ったのと同じ言葉を口にした。
「馬鹿馬鹿馬鹿っ! 何も知らないくせにっ、何も分らないくせにっ!」
 魔王の肩口を何度も何度も叩いた。
「アレクがどんな気持ちで穴を掘り続けてきたか、何も分らないくせに──っ!」
 ダンジョンの中で。野営地の炎越しにアレクシスが見せた表情。
 決意にも。哀しみにも。諦めにも似た微笑とそこに至るまでの彼の過去の日々。それを思うだけで、胸がこんなにも締め付けられるように痛むのに。
 それなのに──。
「何であんたは分んないのよっ!」
 トリニティは魔王の胸倉を掴んで揺すった。目からは大粒の涙が零れ落ちていた。
「友達だったんでしょ? ──友だって、あなたがたったいま自分で言ったわよね? 死んだ恋人のお兄さんだったんでしょ?」
 何故突然トリニティがこれ程怒り……そして泣くのか理解できない、という様子で魔王は答えた。
「……そうだ……」
「だったら! ──分りなさいよ!」トリニティが声を張り上げた。「彼はあなたに生きてて欲しかったのよ! 立ち直って欲しかったのよ! だから! そのために! 自分が自分の人生を捨ててもいいと思ったんでしょ! そりゃ──その後三百年も自分の子孫が苦しむ羽目になるなんて、ちっとも思いもしないくらいの馬鹿王子だったけど……」
「彼は馬鹿者ではない。聡い王子だった」
 トリニティは眉を思い切り寄せて、口をねじ曲げた。
「馬鹿だわよっ! ──やっぱり、あなただけじゃなくて、その王子も馬鹿だったんだわ! 自分の後の世代の事なんて考えてなかったって事なんじゃない──ああ──ホラ!」
 トリニティが最後の言葉を甲高い声で言った。「じゃあ、やっぱり、そうだったんじゃない! 王子が本当に馬鹿じゃなくて、それなのに後の世代の事まで考えてなかったって言うんだったら──やっぱり、王子はあなたに思い直して欲しかったって言う事なんじゃないの!」
 トリニティが掴んだ魔王の胸倉を引き寄せた。
「──でしょっ!?」
 彼女の言わんとする事が理解できたのか出来ないのか。魔王が躊躇いがちに眉根を寄せた。
「──君の言う事はとりとめがなく非論理的だ」
「論理的だわよ!」
 トリニティが魔王を睨み上げ声を張り上げた。隣でディーバが腰を折り曲げるようにして両手で腹を抱えるようにして忍び笑っていた。トリニティがディーバを睨んだ。
「──傑作だ! やっぱお前、傑作だぜ!」
 あろうことか、涙目になって笑っている。
「事もあろうに魔王を平手打ちにして、胸倉を掴んで揺すって脅してやがる……!」
「脅してなんてないわよ……っ! この人が、あんまり何もわかってないから──!」
 トリニティは怒りで顔を真っ赤にして怒りながら泣いていた。
「無駄だよやめとけ。魔王にゃ、何であんたが怒ってるのか理解できないんだからさ。教えてやったろ? 原初の天使ってのは、そういうもんだって」
「じゃああんたには分るって言うのっ!?」
「もちろん」ディーバが答えた。「俺達悪魔は、原初の天使とは違うからな。──とはいえ、分ったって、自分以外のことなんて考えないから悪魔っていうんだが……」
 最後の一説を、トリニティは聞かなかったことにした。
「──ホラ! ディーバにだって分るんじゃないのっ! なんであんたに分らないのよ!!」
 魔王は口を閉じ、困ったようにトリニティを見つめた。
 そして。
「──すまない」
 ポツリ、とそう言った。
 本当に、どうしていいのか自分でも分らないのだというように。
 トリニティは握りこんでいた魔王の服を手放した。
「……だが私には本当に分らないのだ。そなたの言う言葉の意味も、その言葉の向こうにあるという相手の気持ちも」
「べっ別に……素直な態度が取れるんなら最初からそうすれば……」トリニティは口ごもりながら答えた。
「最初から人間関係が何でも分るような人なんて、人間にだって居ないんだから……。皆誰だって、経験を積んで覚えていくんだし……。あたしだってそうだったんだし──」最後の言葉をそっと付け足す。
「あなただってこれから覚えてけばいいんじゃないの──。やだ、あたし何言ってるんだろ。別にこんな事を言いたかったわけじゃなくて──ただアレクが王家の末裔だって言う事に」
 動揺して。辛くて──哀しくて。
「……ごめんなさい……」
 トリニティは謝罪を口にしながら唇を噛み締めた。
「何故謝る」
「……多分……あたしがあなたを怒鳴ったのは、あたしの八つ当たりだから……」
「八つ当たり」
「ええ。そう……」トリニティはこくりと頷いた。「あたしは自分に腹が立ってたんだわ……」
「何故」
「何故って……! だって、アレクのこと、彼の気持ち、何にも思いやったりしなかったのは、他ならぬあたしだったから──!」
「そなたによれば、それは私の事なのだろう」
 魔王の表情は相変わらず変化がなく、悲しいほどだった。トリニティは顔を歪ませた。
「あなたもだけど、あたしも同じだわ……! あたしも、何にも分っていなかった……!」
「何故泣く」
 魔王がトリニティの頬にそっと手を伸ばした。
「泣きたいわよ……! これが泣かないでいられるっていうのっ? 自分に腹が立つわ! 不甲斐なさが恥ずかしいわ! 無力なだけの自分が口惜しいわっ……!」
「人間は腹が立つと泣くのか?」
 魔王のあまりの野暮ぶりに、トリニティは拗ねたように声をあげた。
「──そうよっ──!」
 隣のディーバが愉快そうに口の端を持ち上げた。魔王がそれを見咎めると、ディーバは肩を竦めた。
「そいつは幼児並みに感情をストレートに出しすぎるぜ。普通、十八にもなる人間が、そんなふうに感情を魔王にぶつけて取り乱したりはしないもんだ」
 悪魔の説明に魔王が眉を寄せた。
 小路を通って天使アブリエルがやってきた。トリニティを気遣う、繊細で細やかな表情
を見せながらそっと彼女に微笑んだ。トリニティが顔を上げた。 
「……天使様……」
 なんども鼻を鳴らしながら腕で涙を拭い、鼻水を拭った。さすがに気恥ずかしさを覚えて頬を染めていた。
 アブリエルがハンカチを差し出しながら優しい笑みを浮かべた。
「恥ずかしさを感じる事などありません。マスターの事は──ショックを受けて当然だと思います。むしろ、よくマスターの前で取り乱されなかったと関心した程です」
「泣いて叫んで……満足したか? 十分だろ? ……それとも、まだ時間が欲しいか」
 トリニティは二人にぎこちなく笑みを返した。
 ついに魔王には理解できなかったようだが、彼女の気持ちを天使も悪魔も分ってくれていたのだ。
「……ありがと……大丈夫よ」
 泣いてばかりはいられない。
建物の中では、自分の為に……人々が戦の準備をしているのだ。──彼らに取り乱し、泣きはらした目を見せるわけにはいかないのだった。
 十分な時間が取れなくても、気持ちの整理はつけなくては。トリニティは気持ちを切り替えるように唇をきつく結ぶと顔を上げた。
「なんの用事でしょう天使様?」
 トリニティはアブリエルに尋ねた。
「ベルダ司祭がアイゼンメルドからお見えです。──王女さえよければ、決起の日取りを決めたいと」

 決起。

 トリニティは表情を引き締めた。
 ──ついに、ここまで来た。
 呪いを解く術(すべ)を探しに魔王の迷宮まで行った事は無駄に終わったが、それでもやはり──運命は待ってはくれず、来るべき日は来たのだ。
「決起」
 姿勢を元に戻した魔王が囁くように呟いた。
「だとしたら、早めに決めた方がいい」
 トリニティが魔王を振り仰いだ。
「──どういうこと?」
 魔王が意味ありげに視線をおろし、トリニティを見つめた。
「ダンジョンマスターが捉えられたようだ」 


(続く)



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|        「語バラ(裏)」    
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 今回はおやすみということで。
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