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衝撃的な再開 4
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更に、占い師はダーキへ告げる。
「昔の事を随分と気にされていますね。嫌な事は忘れて未来へ歩きだす事が必要です」
やっぱり! 実は、ダーキはマー君が行方不明になってからというもの、その事を気にし過ぎているせいか、性格が随分暗くなってしまったんだ。
「あなたも未来の運気が良くありません。小さな世界で留まらず、大海へ目を向ける事が大事です。あなたは大物になれる器です」
凄い! さすがは行列のできる占い師だ。ダーキは必ず大物になると俺も思う。
「お時間となりました、ありがとうございました」
受付風の女性は俺達を追い出すように応対する。ダーキは占い師へ一言も質問していないというのに……。人気店の為、時間厳守が必須なのだろう。俺は外のライトを眩しく感じながら店内を出て、歩きながらダーキへ話し掛ける。
「どうだった? 当たってたよね?」
「いや、想像通り具体的な事は当てていない」
ダーキは真剣な眼差しで言った。俺は質問する。
「昔の事を気にしているってマー君の事じゃない?」
ダーキは更に険しい顔になり、俺に言う。
「あれが典型的なバーナム効果だよ。大体の人が昔の事を気にしている。拓也も昔にした失敗を気にしている事があるんじゃないか?」
確かに……小学校1年生の頃だったか、絵を描く授業で友達の画用紙に落書きした事を後悔している。軽い気持ちだったんだけど、書かれた方は嫌な気持ちになっただろうから。
「俺にとっては正人の事だと想像させられるけど、誰にでも当てはまる事なんだよ」
「なるほど……それがバーナム効果なんだね」
「そう、あとは未来の予想ばかりだった。未来の予想は間違いかどうか判断出来ないし、違う結果だったとしても、未来は変えられると言えば済む話だからね」
「なるほどね」
俺達はその後、近くの洋服店に入った。自分に合う洋服を探し暫くすると、スマホが鳴った。ディスプレイを見ると萩野大樹と表示されている。どういう事だと思い、周りを見渡すが、ダーキの姿が無い。
「もしもし?」
「拓也、悪い、急用が入った。俺1人で帰るわ」
「えっ?! じゃあ、俺も……」
「いや、拓也はゆっくりしていってくれ。折角、金宮まで来たんだから」
「……分かった」
「じゃあ、また」
ダーキは電話を切った。
随分と変な感じだ。よっぽどの急用なのだろうか? それとも?
俺は、ダーキが今日1日、あまり楽しそうにしていなかった事が気になっていた。クールな性格とは言え、笑顔1つ見ていない。友達に戻れるかなと期待していたけど、何か気分を害したのかなと自分を少し責めた。
俺は何軒か店をまわり、洋服と靴を買った後、晩御飯に間に合うよう家路についた。俺は帰宅後も占い師の言った「小さい頃の友達と衝撃的な再会をする」という言葉が気になって仕様がなかった。それと、ダーキに言った「昔の事を気にしている」という言葉……。実は、ダーキは昔、もっと明るく、先生が手を焼くようなタイプだった。一言で言えば悪ガキ。でも、マー君が行方不明になってからというもの、クールな性格に変わってしまったんだ。俺達にとっては相当ショックな事件だから当然と言えば当然なんだけどね……。それ以来、俺の事も拓ちゃんから拓也と呼ぶようになったんだ。
「昔の事を随分と気にされていますね。嫌な事は忘れて未来へ歩きだす事が必要です」
やっぱり! 実は、ダーキはマー君が行方不明になってからというもの、その事を気にし過ぎているせいか、性格が随分暗くなってしまったんだ。
「あなたも未来の運気が良くありません。小さな世界で留まらず、大海へ目を向ける事が大事です。あなたは大物になれる器です」
凄い! さすがは行列のできる占い師だ。ダーキは必ず大物になると俺も思う。
「お時間となりました、ありがとうございました」
受付風の女性は俺達を追い出すように応対する。ダーキは占い師へ一言も質問していないというのに……。人気店の為、時間厳守が必須なのだろう。俺は外のライトを眩しく感じながら店内を出て、歩きながらダーキへ話し掛ける。
「どうだった? 当たってたよね?」
「いや、想像通り具体的な事は当てていない」
ダーキは真剣な眼差しで言った。俺は質問する。
「昔の事を気にしているってマー君の事じゃない?」
ダーキは更に険しい顔になり、俺に言う。
「あれが典型的なバーナム効果だよ。大体の人が昔の事を気にしている。拓也も昔にした失敗を気にしている事があるんじゃないか?」
確かに……小学校1年生の頃だったか、絵を描く授業で友達の画用紙に落書きした事を後悔している。軽い気持ちだったんだけど、書かれた方は嫌な気持ちになっただろうから。
「俺にとっては正人の事だと想像させられるけど、誰にでも当てはまる事なんだよ」
「なるほど……それがバーナム効果なんだね」
「そう、あとは未来の予想ばかりだった。未来の予想は間違いかどうか判断出来ないし、違う結果だったとしても、未来は変えられると言えば済む話だからね」
「なるほどね」
俺達はその後、近くの洋服店に入った。自分に合う洋服を探し暫くすると、スマホが鳴った。ディスプレイを見ると萩野大樹と表示されている。どういう事だと思い、周りを見渡すが、ダーキの姿が無い。
「もしもし?」
「拓也、悪い、急用が入った。俺1人で帰るわ」
「えっ?! じゃあ、俺も……」
「いや、拓也はゆっくりしていってくれ。折角、金宮まで来たんだから」
「……分かった」
「じゃあ、また」
ダーキは電話を切った。
随分と変な感じだ。よっぽどの急用なのだろうか? それとも?
俺は、ダーキが今日1日、あまり楽しそうにしていなかった事が気になっていた。クールな性格とは言え、笑顔1つ見ていない。友達に戻れるかなと期待していたけど、何か気分を害したのかなと自分を少し責めた。
俺は何軒か店をまわり、洋服と靴を買った後、晩御飯に間に合うよう家路についた。俺は帰宅後も占い師の言った「小さい頃の友達と衝撃的な再会をする」という言葉が気になって仕様がなかった。それと、ダーキに言った「昔の事を気にしている」という言葉……。実は、ダーキは昔、もっと明るく、先生が手を焼くようなタイプだった。一言で言えば悪ガキ。でも、マー君が行方不明になってからというもの、クールな性格に変わってしまったんだ。俺達にとっては相当ショックな事件だから当然と言えば当然なんだけどね……。それ以来、俺の事も拓ちゃんから拓也と呼ぶようになったんだ。
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