ゴーストライター

ジャメヴ

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衝撃的な再開 2

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「おお~」
俺は金宮駅を降りるなり感嘆の声をあげた。地元では駐車場を含めた5階建てぐらいのショッピングモールが最も高い建物だけど、この辺りは全ての建物がそれ以上の高さだ。最初こそ凄いと感心させられたけど、段々と建物に押し潰されそうな感覚になり、少し気分が悪くなった。低所恐怖症という言葉があるならそれにあたるのかも知れない。

  駅から歩く事約10分。俺達は目的の占いの館へ辿り着いた。予約制だというのに、店の外は少し行列が出来ていた。店の看板には、占いの館『輪』と書かれてある。
「まだ20分ぐらいあるな」
ダーキがスマホを見ながら、そう言ったので、スマホの時刻を確認すると午後2時40分。午後3時の予約という事だろう。俺は行列を疑問に思い、 ダーキに小声で質問する。
「予約制だよな?」
「完全予約制って訳じゃ無いんだ。1時間に1組は予約じゃない人達が入れるらしい。歯医者のようなシステムだな」
「なるほどね」

  10人程度の行列には、男女カップルか女性同士もしくは女性グループが並んでいる。俺達のように男性だけで占いに来るというのは1割以下かも知れない。更に中学生同士となると、かなりのレアケースだろう。

  俺は続けてダーキに質問する。
「ダーキって占いとか信じるタイプだった?  そんな風には見えないけど……」
ダーキは表情を崩さず小声で返す。
「もちろん信じていない。だから、良く当たるってのに興味があるんだ。100%嘘で作り上げたものなのか、それとも、バーナム効果を利用しているのか……」
「バーナム効果?」
「バーナム効果ってのは占い師の常套手段だよ。拓也って確かA型だったよな?」
「そう、A型」
「じゃあ綺麗好きだな」
「まあね。A型は綺麗好きってイメージがあるしね」
「それがバーナム効果だよ」
「ん?」
「誰にでも当てはまる事を言って、占いが当たっているかのように思わせるんだけど、B型でもO型でも綺麗好きの人が殆どなんだ。私、汚い好きなんですって言う人いないだろ?」
「でも、A型は綺麗好きが多くない?」
「それは確証バイアスって心理だよ。A型は綺麗好きだと思い込んでいるから、A型で汚い部屋の人を見ても、例外だと無視してしまう心理さ。林田の家に行った事ないか?  アイツもA型だけど汚い部屋だろ?」
「なるほど、確かに……」
その時、3人の女性が入り口から出てきた。暫くして、もう1人女性が出てきて「萩野さん」と呼んだので、ダーキは「はい」と答えた後、彼女の方へ歩くので俺もついていく。
  ダーキは彼女に5,000円を渡した。お釣りは無いようだ。占いの相場は知らないけど、随分高いんだなと感じた。
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