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悪魔の殺し方 6
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朝礼を終え、この異様な雰囲気の中、1時限目担当の先生が教室に入ってくる。1時限目は数学だ。担当教師は可もなく不可もなく、生徒から好かれるでもなければ嫌われるでもなく、ハンサムでもなければ不細工でもなく、中肉中背でこれといった特徴の無い、公務員感全開の男性だ。
授業が始まると、その日教える公式を黙々と解いていく。教科書に載っている解き方をわざわざ黒板に書いて解く。その時間無駄だろ! と突っ込みたくなるけど、その教師のスタイルだ。長年そうやって教えてきたのだろう。その時……。
『下鵜瀬君、我部です。下鵜瀬望愛君』
授業中に何を大声で叫んできやがるんだ! と僕は思った。だけど、周りは誰も気付いていない。不思議に思いながら隣の我部君を見る。
『下鵜瀬君。ビックリしないで聞いてください。我部です。心の中に呼び掛けています』
僕は「まさか?」と思ったのだけど、事実、周りの誰も気付いていないようだし、我部君の口元も動いていない。僕は、テレビ等でドッキリに掛けられた子供のように、逆に、自分から我部君へ呼び掛けられるのか試してみた。
『我部君、どうしたんだい?』
『2人でゆっくり話がしたいんです。体調不良とか言って帰れないかな?』
『えっ?! ちょっと考えさせて』
僕から呼び掛ける事も出来た事は置いといて、我部君の意図は何だろう? 親友であれば了承できる話かも知れないけど、初対面の人に言われて応じる内容では無い。ただ、我部君は変な能力を持っている……。どんなトリックを使っているのかは知りたいし、もしかすると、今考えている事も筒抜けかも知れない……。まあ元々、不思議な転入生の話も聞きたかったんだ。
『我部君、分かった。この授業の後、体調不良で帰るって先生に伝えるよ』
『承知しました』
数学の授業も残り10分となった時、数学教師が話す。
「それでは、少し早いですが、授業を終わります」
意外……授業時間が10分も残っている。日直の男子もビックリしたようで、号令のタイミングを逃す。
「……起立! 礼!」
どうしたんだろうか。10分も早く授業を終わる事など今まで記憶に無い。数学教師は少しダルそうに教室を出ていった。
不思議な授業を終えた後、僕は担任の先生に体調不良を告げ、学校を後にした。
体調不良感を出しながら、ゆっくり校門の方へ歩く。もちろん、僕は体調不良では無い筈なのに、何故かイライラした感覚と倦怠感があった。病は気からって言うけど本当だな、と思いながら、校門の辺りで校舎を振り向くと、我部君が勢いよく走って僕を追いかけてきていた。体調不良感出さないのかよ! と突っ込みたくなる。
「お待たせしました」
我部君は全力疾走してきたのに、何故か息1つ切らしていない。僕は我部君に話す。
「どうしようか? 僕の家に行く?」
「お願いして良いですか?」
「分かった。じゃあ行こう」
授業が始まると、その日教える公式を黙々と解いていく。教科書に載っている解き方をわざわざ黒板に書いて解く。その時間無駄だろ! と突っ込みたくなるけど、その教師のスタイルだ。長年そうやって教えてきたのだろう。その時……。
『下鵜瀬君、我部です。下鵜瀬望愛君』
授業中に何を大声で叫んできやがるんだ! と僕は思った。だけど、周りは誰も気付いていない。不思議に思いながら隣の我部君を見る。
『下鵜瀬君。ビックリしないで聞いてください。我部です。心の中に呼び掛けています』
僕は「まさか?」と思ったのだけど、事実、周りの誰も気付いていないようだし、我部君の口元も動いていない。僕は、テレビ等でドッキリに掛けられた子供のように、逆に、自分から我部君へ呼び掛けられるのか試してみた。
『我部君、どうしたんだい?』
『2人でゆっくり話がしたいんです。体調不良とか言って帰れないかな?』
『えっ?! ちょっと考えさせて』
僕から呼び掛ける事も出来た事は置いといて、我部君の意図は何だろう? 親友であれば了承できる話かも知れないけど、初対面の人に言われて応じる内容では無い。ただ、我部君は変な能力を持っている……。どんなトリックを使っているのかは知りたいし、もしかすると、今考えている事も筒抜けかも知れない……。まあ元々、不思議な転入生の話も聞きたかったんだ。
『我部君、分かった。この授業の後、体調不良で帰るって先生に伝えるよ』
『承知しました』
数学の授業も残り10分となった時、数学教師が話す。
「それでは、少し早いですが、授業を終わります」
意外……授業時間が10分も残っている。日直の男子もビックリしたようで、号令のタイミングを逃す。
「……起立! 礼!」
どうしたんだろうか。10分も早く授業を終わる事など今まで記憶に無い。数学教師は少しダルそうに教室を出ていった。
不思議な授業を終えた後、僕は担任の先生に体調不良を告げ、学校を後にした。
体調不良感を出しながら、ゆっくり校門の方へ歩く。もちろん、僕は体調不良では無い筈なのに、何故かイライラした感覚と倦怠感があった。病は気からって言うけど本当だな、と思いながら、校門の辺りで校舎を振り向くと、我部君が勢いよく走って僕を追いかけてきていた。体調不良感出さないのかよ! と突っ込みたくなる。
「お待たせしました」
我部君は全力疾走してきたのに、何故か息1つ切らしていない。僕は我部君に話す。
「どうしようか? 僕の家に行く?」
「お願いして良いですか?」
「分かった。じゃあ行こう」
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