ゴーストライター

ジャメヴ

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暴君の末路 5

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ピッ!  ピッ!  ピッ!
  雲1つ無い快晴の空の下、私の吹く笛の音は天高く響き渡った。
「よし!  休憩に入る!」
「はい!」

  私は兵士達を休憩させ、ふ~っと溜め息をつく。
  王が亡くなってから1年が過ぎた。毎日、あの日の事を思い出す。一体、ジャンはどこまで想定していたのだろうか。国民の命を考え、最初から王を殺そうとしていたのか……。それとも、王から言質を取った後に殺そうと思ったのか……。はたまた、私が王を刺した後、賛同したのか……。全ては謎のままだ。

  私達は正しい事をしたのだろうか?  王には王の考えがあって、もしかすると、島を統一した暁には、フランツ王子やマリア王妃とも仲良く暮らす予定だったのかも知れない……。
  私のような凡人には正解を突き詰める事は出来そうにないが、結果、平和になったのだから良しとするしかない。

  ジャンは今どうしているかと言うと、医者として各地を回っている。元々、賢かった事に加え、親族に医者がいるとの事で、半年程修行をし、人々の為にと働いていると風の噂で聞いた。

  私はありがたい事にフランツ新国王から自衛団の団長に任命されている。小さい頃から剣術しか取り柄が無かったのだ。平和になっても私が役に立つ場所はこれぐらいしか無い。

「ニコラさん、ソロソロ再開しましょう」
「分かった」
副団長に声を掛けられ立ち上がると、心地よい風が吹き抜ける。もう少し休みたいと思う気持ちを振り払い、再び気合いを入れ直し歩きだす。

  私も戦闘で傷付いた兵士の止血ぐらいは出来るし、ジャンと共に医療関係で働こうかと思ったが、その必要は無いだろう。
  何故なら、これからは戦争で傷を負う者などいないのだから……。



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