6 / 20
横浜七音
しおりを挟む
他の参加者が俺に似ている? 確かに、背格好は俺を含めた全員が似ていた。ちょっと話でもして来ようと、俺は部屋を出て鍵を閉めた。すると、ちょうど男性が1人、階段を上って来た。筋肉質で落ち着きのある男性だ。確かに、言われてみれば俺の顔に少し似ている。
「どうですか? 1875って分かりました? あっ、俺、速水って言います」
俺は軽く頭を下げてから言った。彼も会釈をしてから話す。
「ササキです。いやあ、全く分からないね」
「その割には余裕そうですね」
「ああ。2泊3日の無人島生活を満喫してるんだよ。冷凍とは言え、旨そうなご飯があったからな。1億円は諦めてそっちで回収するよ。今晩はローストビーフだな」
「ローストビーフ? 旨そうですね」
「まあ、ストレスが掛かると飯が不味くなるから、食後に1875の謎を考えるとするよ。じゃあ」
筋肉質のササキは俺に背を向けてから、右手を軽く振った。1番奥の部屋のようだ。ササキが部屋に入るのを見届けてから、俺は1階に向かった。
階段を下りたところで、参加者の1人とバッタリ目があった。彼の顔を見て、俺は鏡でも見ているのかと思った。同じ顔だ! そして、彼は驚いた感じで言う。
「もしかして、双六か?!」
「えっ?! まさか・・・七音?!」
「そうだよ! 凄い偶然だな!」
彼は小学校の時の同級生、横浜七音だ。当時から、双子じゃないかと言われるぐらいそっくりで、低学年の頃はよく遊んでいた。当時、俺の家も七音の家も母子家庭で、同じ環境だったからか、ウマがあったのだろう。俺の母親は、その後、直ぐ再婚したけど、七音の家はどうだったんだろう? 高学年になると、クラスが違ったり、クラブが違ったりであまり会う事もなくなった。そして、頭の良かった七音は、有名私立の中学校に通う為、引っ越したのだ。それ以来の再会になる。
「こんなとこで会うなんて・・・。全然変わってないな。声は全然違うけど・・・」
「お互い様だよ。双六も全然変わってない。まあ、声変わりのせいで、喋ると違和感があるけど、子供の頃を思い出すよ」
「七音、何か食べながら近況を話そうか」
「そうだな、ちょっと早いけど小腹も空いたし・・・」
俺達はキッチンに移動した。正面に時計がある。午後6時だ。俺は冷凍庫を覗く。マッチョのササキとの話でローストビーフの口になっている。冷凍のローストビーフとオムライスを手に取り、電子レンジ2台にそれぞれ入れ、スイッチを押した。七音の方は、ハンバーグと鳥飯を食べるようだ。電子レンジは、ちょうど4台ある。
「旨いなこれ。冷凍でも高級品は旨いんだな」
「確かに、ハンバーグも旨い」
ローストビーフなんて、食べる機会が滅多に無いからか、今年1旨いと感じられた。
「七音って大学生?」
「ああ」
「どこ?」
「西京」
「えっ?! 凄いな! 頭良いとは思ってたけど・・・」
「ギリギリ滑り込めたよ」
西京大学は日本で2番目に頭が良いとされている大学だ。俺なんて受ける事すら出来ない。
「双六は?」
「俺は常態大に通ってるんだ」
「そうか。どう? 大学生活は?」
「まあ、楽しんでるよ。友達も出来たし。勉強は全くだけどね、ハハハ」
「おばさんは元気してる?」
「ああ、ピンピンしてるよ。昔から変わってない。七音のお母さんは?」
「ああ、病気もせずに元気だよ」
昔は、七音が俺の家によく来ていたから、七音と母さんはそこそこ話もしていた。俺は七音の家に数回しか行ってないので、七音のお母さんと喋った記憶はほとんど無い。
「そう言えば、双六は今日の他の参加者と喋ったか?」
「ああ。さっき、マッチョのササキって人と喋ったよ。何か余裕ぶっこいてた。諦めたんだってさ」
「そうか。それより他の参加者見たか?」
「見たけど、どうかした? 特に違和感は無かったけど・・・」
「いや、違和感ありまくり! 俺達にそっくりだぞ!」
「そっくり?」
俺はヨツバに言われた事を思い出した。参加者全員が俺に似ているという事を。七音が似ているのは昔から知っていたけど、他の参加者も、となると確かにおかしい。ヨツバが言うように、遠い親戚だから今日集められたという説が有力なのかもしれない。ただ、七音が親戚だという話なんて聞いた事が無い。遠い親戚だから知らないだけなのか?
俺は、七音にヨツバの事を説明しようかという考えが頭を過ったが、時期尚早と思い飲み込んだ。
「まあ、嫌でも会うから楽しみにしときな。まあ、そっくりって言っても、俺と双六程は似てないから」
「へー」
ガチャ
その時、キッチンのドアが開いた。俺と七音は、噂のそっくりさんの誰かが来たと思い、入り口を見る。
ヨツバだ。俺は少しだけガッカリした。ヨツバは会釈をする。七音も会釈をしたので、俺だけしないと変だと思い、俺も遅れて会釈した。ヨツバは冷凍庫から2品を取り、冷蔵庫から飲み物を取ってキッチンを出た。2階の食堂で食べるのだろう。後でヨツバには七音の事を話そう。ヨツバが部屋を出ると、七音は小声で言う。
「彼女知ってる」
「・・・いや、知らない」
俺は、七音にヨツバとチームである事を言うのは時期尚早と考えていたので、咄嗟咄嗟に嘘をついた。
「いや、俺が彼女の事を知ってるって言う事」
「えっ?!」
「彼女の態度からすると、俺の事は知らない感じだな」
「何で知ってるんだ?」
「彼女、西京大だよ」
「えっ?!」
ヨツバは賢いと思っていたけど、まさか西京大生だとは・・・。
「学科が違うから話した事は無いし、すれ違っただけなんだけど、彼女美人だから覚えてる」
「なるほどねぇ・・・」
そう言われればそうだ。あれだけの美女なら、一目見ただけで覚えていてもおかしくない。まあ、言われて意識しているからかもしれないけど、ヨツバも俺の顔に似ているような気がしてきた。もしかして、他の参加者も西京大生? いや、そもそも俺が西京大生じゃないしな。
俺はローストビーフを1枚口に入れて、食べながら本題を話す。
「そう言えば、七音は1875の意味は分かったのか?」
「ああ、俺なりのアプローチはある」
「それは、少し分かった部分もあるって事か?」
「そうだな、その辺は食後に風呂にでも入って話そうか。あまり聞かれたくも無いしな」
「分かった」
俺はそう言って、ローストビーフをもう1枚頬張った。
「どうですか? 1875って分かりました? あっ、俺、速水って言います」
俺は軽く頭を下げてから言った。彼も会釈をしてから話す。
「ササキです。いやあ、全く分からないね」
「その割には余裕そうですね」
「ああ。2泊3日の無人島生活を満喫してるんだよ。冷凍とは言え、旨そうなご飯があったからな。1億円は諦めてそっちで回収するよ。今晩はローストビーフだな」
「ローストビーフ? 旨そうですね」
「まあ、ストレスが掛かると飯が不味くなるから、食後に1875の謎を考えるとするよ。じゃあ」
筋肉質のササキは俺に背を向けてから、右手を軽く振った。1番奥の部屋のようだ。ササキが部屋に入るのを見届けてから、俺は1階に向かった。
階段を下りたところで、参加者の1人とバッタリ目があった。彼の顔を見て、俺は鏡でも見ているのかと思った。同じ顔だ! そして、彼は驚いた感じで言う。
「もしかして、双六か?!」
「えっ?! まさか・・・七音?!」
「そうだよ! 凄い偶然だな!」
彼は小学校の時の同級生、横浜七音だ。当時から、双子じゃないかと言われるぐらいそっくりで、低学年の頃はよく遊んでいた。当時、俺の家も七音の家も母子家庭で、同じ環境だったからか、ウマがあったのだろう。俺の母親は、その後、直ぐ再婚したけど、七音の家はどうだったんだろう? 高学年になると、クラスが違ったり、クラブが違ったりであまり会う事もなくなった。そして、頭の良かった七音は、有名私立の中学校に通う為、引っ越したのだ。それ以来の再会になる。
「こんなとこで会うなんて・・・。全然変わってないな。声は全然違うけど・・・」
「お互い様だよ。双六も全然変わってない。まあ、声変わりのせいで、喋ると違和感があるけど、子供の頃を思い出すよ」
「七音、何か食べながら近況を話そうか」
「そうだな、ちょっと早いけど小腹も空いたし・・・」
俺達はキッチンに移動した。正面に時計がある。午後6時だ。俺は冷凍庫を覗く。マッチョのササキとの話でローストビーフの口になっている。冷凍のローストビーフとオムライスを手に取り、電子レンジ2台にそれぞれ入れ、スイッチを押した。七音の方は、ハンバーグと鳥飯を食べるようだ。電子レンジは、ちょうど4台ある。
「旨いなこれ。冷凍でも高級品は旨いんだな」
「確かに、ハンバーグも旨い」
ローストビーフなんて、食べる機会が滅多に無いからか、今年1旨いと感じられた。
「七音って大学生?」
「ああ」
「どこ?」
「西京」
「えっ?! 凄いな! 頭良いとは思ってたけど・・・」
「ギリギリ滑り込めたよ」
西京大学は日本で2番目に頭が良いとされている大学だ。俺なんて受ける事すら出来ない。
「双六は?」
「俺は常態大に通ってるんだ」
「そうか。どう? 大学生活は?」
「まあ、楽しんでるよ。友達も出来たし。勉強は全くだけどね、ハハハ」
「おばさんは元気してる?」
「ああ、ピンピンしてるよ。昔から変わってない。七音のお母さんは?」
「ああ、病気もせずに元気だよ」
昔は、七音が俺の家によく来ていたから、七音と母さんはそこそこ話もしていた。俺は七音の家に数回しか行ってないので、七音のお母さんと喋った記憶はほとんど無い。
「そう言えば、双六は今日の他の参加者と喋ったか?」
「ああ。さっき、マッチョのササキって人と喋ったよ。何か余裕ぶっこいてた。諦めたんだってさ」
「そうか。それより他の参加者見たか?」
「見たけど、どうかした? 特に違和感は無かったけど・・・」
「いや、違和感ありまくり! 俺達にそっくりだぞ!」
「そっくり?」
俺はヨツバに言われた事を思い出した。参加者全員が俺に似ているという事を。七音が似ているのは昔から知っていたけど、他の参加者も、となると確かにおかしい。ヨツバが言うように、遠い親戚だから今日集められたという説が有力なのかもしれない。ただ、七音が親戚だという話なんて聞いた事が無い。遠い親戚だから知らないだけなのか?
俺は、七音にヨツバの事を説明しようかという考えが頭を過ったが、時期尚早と思い飲み込んだ。
「まあ、嫌でも会うから楽しみにしときな。まあ、そっくりって言っても、俺と双六程は似てないから」
「へー」
ガチャ
その時、キッチンのドアが開いた。俺と七音は、噂のそっくりさんの誰かが来たと思い、入り口を見る。
ヨツバだ。俺は少しだけガッカリした。ヨツバは会釈をする。七音も会釈をしたので、俺だけしないと変だと思い、俺も遅れて会釈した。ヨツバは冷凍庫から2品を取り、冷蔵庫から飲み物を取ってキッチンを出た。2階の食堂で食べるのだろう。後でヨツバには七音の事を話そう。ヨツバが部屋を出ると、七音は小声で言う。
「彼女知ってる」
「・・・いや、知らない」
俺は、七音にヨツバとチームである事を言うのは時期尚早と考えていたので、咄嗟咄嗟に嘘をついた。
「いや、俺が彼女の事を知ってるって言う事」
「えっ?!」
「彼女の態度からすると、俺の事は知らない感じだな」
「何で知ってるんだ?」
「彼女、西京大だよ」
「えっ?!」
ヨツバは賢いと思っていたけど、まさか西京大生だとは・・・。
「学科が違うから話した事は無いし、すれ違っただけなんだけど、彼女美人だから覚えてる」
「なるほどねぇ・・・」
そう言われればそうだ。あれだけの美女なら、一目見ただけで覚えていてもおかしくない。まあ、言われて意識しているからかもしれないけど、ヨツバも俺の顔に似ているような気がしてきた。もしかして、他の参加者も西京大生? いや、そもそも俺が西京大生じゃないしな。
俺はローストビーフを1枚口に入れて、食べながら本題を話す。
「そう言えば、七音は1875の意味は分かったのか?」
「ああ、俺なりのアプローチはある」
「それは、少し分かった部分もあるって事か?」
「そうだな、その辺は食後に風呂にでも入って話そうか。あまり聞かれたくも無いしな」
「分かった」
俺はそう言って、ローストビーフをもう1枚頬張った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
冤罪! 全身拘束刑に処せられた女
ジャン・幸田
ミステリー
刑務所が廃止された時代。懲役刑は変化していた! 刑の執行は強制的にロボットにされる事であった! 犯罪者は人類に奉仕する機械労働者階級にされることになっていた!
そんなある時、山村愛莉はライバルにはめられ、ガイノイドと呼ばれるロボットにされる全身拘束刑に処せられてしまった! いわば奴隷階級に落とされたのだ! 彼女の罪状は「国家機密漏洩罪」! しかも、首謀者にされた。
機械の身体に融合された彼女は、自称「とある政治家の手下」のチャラ男にしかみえない長崎淳司の手引きによって自分を陥れた者たちの魂胆を探るべく、ガイノイド「エリー」として潜入したのだが、果たして真実に辿りつけるのか? 再会した後輩の真由美とともに危険な冒険が始まる!
サイエンスホラーミステリー! 身体を改造された少女は事件を解決し冤罪を晴らして元の生活に戻れるのだろうか?
*追加加筆していく予定です。そのため時期によって内容は違っているかもしれません、よろしくお願いしますね!
*他の投稿小説サイトでも公開しておりますが、基本的に内容は同じです。
*現実世界を連想するような国名などが出ますがフィクションです。パラレルワールドの出来事という設定です。
妻の死で思い知らされました。
あとさん♪
恋愛
外交先で妻の突然の訃報を聞いたジュリアン・カレイジャス公爵。
急ぎ帰国した彼が目にしたのは、淡々と葬儀の支度をし弔問客たちの対応をする子どもらの姿だった。
「おまえたちは母親の死を悲しいとは思わないのか⁈」
ジュリアンは知らなかった。
愛妻クリスティアナと子どもたちがどのように生活していたのか。
多忙のジュリアンは気がついていなかったし、見ようともしなかったのだ……。
そしてクリスティアナの本心は——。
※全十二話。
※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください
※時代考証とか野暮は言わないお約束
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第三弾。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
お父様の相手をしなさいよ・・・亡き夫の姉の指示を受け入れる私が学ぶしきたりとは・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
「あなた、この家にいたいなら、お父様の相手をしてみなさいよ」
義姉にそう言われてしまい、困っている。
「義父と寝るだなんて、そんなことは
処刑された女子少年死刑囚はガイノイドとして冤罪をはらすように命じられた
ジャン・幸田
ミステリー
身に覚えのない大量殺人によって女子少年死刑囚になった少女・・・
彼女は裁判確定後、強硬な世論の圧力に屈した法務官僚によって死刑が執行された。はずだった・・・
あの世に逝ったと思い目を覚ました彼女は自分の姿に絶句した! ロボットに改造されていた!?
この物語は、謎の組織によって嵌められた少女の冒険談である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる