未来からの降霊

ジャメヴ

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  ん?  もしかして、タケル?  だったかな?  ハヤマタケル?  葉山尊だったような気がする。そうだ!  免許証!  財布、財布……。
  私は周りを見渡し、財布が入っていそうなショルダーバッグを漁る。
  財布が入っていた!  免許証は?  ある。葉山尊だ!  ん?  私が葉山尊であっているよな?  この部屋は私の部屋か?  ……思い出せない……。そうだ!  スマホは?
  ショルダーバッグからスマホを取り出し確認する。ロックは掛かっていない。
  メッセージは?  最近したやり取りの相手は?  COCOA?  まさか、外人じゃ無いよな?  ……日本語だ……。メッセージを見た感じでは、かなり親しい仲の様だ。もしかすると、彼女かも知れない。ただ、恋人同士にしてはやり取りが少ない気もする。ココアさんに電話して聞いてみよう。
  私は電話を掛けた。
「もしもし?  どうしたの?  珍しいね」
珍しい?  電話はあまり掛けないのだろうか。
「あの……変な事を尋ねるんですが、色々と教えて欲しいんです」
「何?  その感じ。変な宗教やり過ぎじゃない?」
ココアさんは鼻で笑いながら、馬鹿にしたように話す。宗教って何だろうか。
「すみません。どうも記憶喪失のようで……」
「記憶喪失?!  何のドッキリ?」
「ビックリするのも無理は無いと思うんですが、本当にそうなんです。失礼ですが、ココアさんは私とどのような御関係でしょうか?」
「えっ?!  本気なの?!  彼女も忘れちゃったの?!    今日は妹と買い物があるから、終わったらそっちに行くわ」
そう言うと、彼女だと言うココアさんは電話を切った。
  やっぱり恋人か……。彼女に色々と聞くしかない。問題は、彼女が理想の女性じゃ無い場合だ。いや、理想である必要は無いが、嫌いなタイプだとちょっと困る……。まあ、どっちにしても、彼女を頼るしかない。

  ココアさんを待つ間、身の周りを確認する。その時、母親の名前が脳裏を過った。ミサト……美里!  母親の名前は葉山美里だ!  父親は……ノリサダ……則定だ!  記憶が少しずつ蘇っている!  もしかすると、ココアさんの事も思い出せるかも知れない。
  少しずつではあるが、過去の記憶が蘇ってくる。だが、ココアさんの事は思い出せない。
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