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月日は流れ、遂に面接当日が来た。私は前髪をおろし、黒縁の伊達眼鏡を掛けた。社員に見られると「どうしたんですか?」とか「イメチェンですか?」等と聞かれそうだが、面接が終われば、眼鏡も外すし髪もセットする。マスクもしようか悩んだが、やり過ぎ感があったので自重した。下村さんは意図せず最後の面接となった。高学歴の男性四人と先に面接したのだが、ピンとくる人物はいなかった。無理に入社させる必要も無いので全員落とそうかとも考えたが、最も高学歴な人物を合格にしようと決めた。これなら誰も文句は言わないだろう。
そして、遂に下村さんとの面接が始まる。
「次の方どうぞー!」
コンコンコン
「どうぞ!」
「失礼します!」
ガチャ……バタン
「宜しくお願いします」
ドアを閉めて一礼をし、こちらへ歩いてくる女性の顔は、間違い無く隣棟のマンション、308号室のベランダに居て目が合った女性だった。履歴書の写真では、他人だという可能性も含んでいたのだが、実際に会って、本人だと確信した。こちらは眼鏡を掛けているし髪型も違う。私は堂々と面接を行なった。
面接中、彼女が気付いている様子は無い。彼女は面接慣れしているのか、肝が座っているのか、緊張している様子は無く、ハキハキと質問に答える。元々、彼女を合格にするつもりだったが、そのような事情が無くとも合格だったかもしれない。
何事も無く、面接は終了した。私と下村さんは椅子から立ち、一礼をする。
「ありがとうございました」「ありがとうございました」
その時! 彼女は「あっ!」という表情をした! 私は面接を終えたのと、バレなかったのとで、緊張の糸が切れた瞬間だった為、心臓が止まるかと思う程ビックリさせられた。彼女は少し考えたような間の後、
「ありがとうございました」
と再度一礼をして部屋を出た。
そして、遂に下村さんとの面接が始まる。
「次の方どうぞー!」
コンコンコン
「どうぞ!」
「失礼します!」
ガチャ……バタン
「宜しくお願いします」
ドアを閉めて一礼をし、こちらへ歩いてくる女性の顔は、間違い無く隣棟のマンション、308号室のベランダに居て目が合った女性だった。履歴書の写真では、他人だという可能性も含んでいたのだが、実際に会って、本人だと確信した。こちらは眼鏡を掛けているし髪型も違う。私は堂々と面接を行なった。
面接中、彼女が気付いている様子は無い。彼女は面接慣れしているのか、肝が座っているのか、緊張している様子は無く、ハキハキと質問に答える。元々、彼女を合格にするつもりだったが、そのような事情が無くとも合格だったかもしれない。
何事も無く、面接は終了した。私と下村さんは椅子から立ち、一礼をする。
「ありがとうございました」「ありがとうございました」
その時! 彼女は「あっ!」という表情をした! 私は面接を終えたのと、バレなかったのとで、緊張の糸が切れた瞬間だった為、心臓が止まるかと思う程ビックリさせられた。彼女は少し考えたような間の後、
「ありがとうございました」
と再度一礼をして部屋を出た。
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