さよならイクサ

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さよならイクサ

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 上空を飛行機が飛んでいきます。そこから何かが落とされたのを、彼は見ました。
 瞬間、彼の目の前は、真っ白に覆い尽くされました。





  軽いものしか入っていないはずの引出物は、齢90を超えた伊草いくさにとっては、ずしりと重たく感じられました。
 ここ数年で、葬儀に出る頻度が増えているせいか、スーツには焼香の匂いが染み付いているのではないか、と彼はぼんやりとそう考えました。

「イクさん」

 振り向くと、同じ広島被爆者の会員である林が、小さく手を振っていました。人の良さそうな笑みを浮かべる顔には、深い皺が刻まれています。
 林は、伊草よりも10個下です。しかしまあ、この歳になれば80も90もあまり変わらないな、と伊草は思いました。

 伊草と林は、並んで歩き出しました。
 2人のそばを、高校生がさっと通り過ぎていきます。そしてあっという間に、その姿は見えなくなってしまいました。

「この歳になれば、京都に来るのも一苦労でしょう?」
「ええ、まあ。でも、花岡さんにはお世話になりましたから」
「僕もですよ。しかし残念です。花岡さんは、僕たち会員の中でも誰よりも、原爆のことを語り継ぐことに精力的でしたから。でも、寿命じゃあ仕方ありませんよねぇ」

 林は惜しむように空を仰ぎました。つられて、伊草も顔を上げます。空は青く、白い雲がいくつか浮かんでいました。

「会員もずいぶん減りました。あの惨劇を、生々しく語れる人が、どんどん消えていく。こうやって、戦争は風化されていくんだろうなあ」

 ひゅるりと冷たい風が、ふたりの間を抜けていきます。

「ところでイクさん、今日はどこに泊まるんですか?」
「近くですよ。山の麓の」

 伊草は、左側にそびえ立つ山を指差しました。林はああ、と言って少し目を丸くしました。

「高くありませんでしたか? 私も近いから、考えたんですけどね。やっぱり5000円以上払うのはちょっと」
「林君は相変わらずケチだね」

 そう伊草が言うと、林は照れくさそうに頭をかきました。

「そういえばあの山、ご存知ですか? 鬼がいたんですって」

 急な話題に、伊草は足を止めました。

「鬼?」

 林は少しばかり先を進んで、伊草が止まったことに気づいて振り向きます。

「そう、鬼。白鬼びゃっき。白い髪に紫の目、一振りの白い刀を持つ鬼。その肉を食べれば不老不死になれる」
「はあ。どうしてまた、急に」
「いえ、花岡さんが言ってたんです。僕も急に思い出して」
「花岡さんが」
「そう。不老不死になれば、ずっと原爆のこと、語り続けられるのにって。いなくなったのが残念だって、言ってましたね」

 伊草は、悠々と広がる山を眺めました。

「はは、変な話しちゃってすみません。いるわけないですよね、鬼なんて」

 からりと林は笑います。伊草は山を眺めたままでした。





 焼香の匂いをつけたまま、伊草は山道を歩いていました。斜面は緩やかですが、伊草には少し厳しいものでした。
 革靴に泥が付いているのを眺めて、自分は一体何をしているんだろうと伊草は考えました。伊草のような老人が歩く道ではありません。老人でなくとも、日の落ちかかった山道を歩くなど、正気の沙汰ではないでしょう。
 それでも伊草は、歩みを止めませんでした。

 ふいに開けたところに、伊草は辿り着きました。
 周囲をぐるりと囲むのは、楓です。秋になれば絶景だろうと、伊草はぼんやりと考えました。

 どこからか、草を踏む音が聞こえます。伊草はハッとして辺りを見回しました。
 伊草の左斜め後ろに、少年が立っていました。髪は真っ白です。額に巻いている黒いヘアバンドのせいで、余計にその色が際立っています。
 服は黒いシャツの上に、白い半袖のパーカーを着ていました。灰色のズボンの裾を、黒いブーツに突っ込んでいます。

 伊草は夢見心地で、少年を眺めました。

「君は、こんな時間に、こんな所で、何してるんだい?」
「それはこっちのセリフだ」

 少年はまっすぐ伊草の元へ来ると、パーカーを脱いで4つに畳んだ後、地面に起きました。

「座れよ。こんな奥まで、疲れただろ」

 伊草を睨む鋭い目は、気のせいか腫れているように見えました。
 おずおずと、伊草は置かれた服の上に腰を下ろしました。

「もしかして遭難したとかか? 下までなら送って行ってやるよ」
「いや、私は白鬼を探しに来たんだ」
「白鬼を」

 平坦な口調で繰り返された単語に、伊草は小さく頷きました。

「聞いたことはないだろうか。その肉を食べれば、不老不死になれるらしい」
「なりたいのか」

 伊草は小さく息を吐きました。

「私は80年前、10歳の時、広島で被爆した。あの惨劇を後世に残すべく、私は自分の体験を語り続けてきた。だけどそれも、終わりに近くなってきている。だから不死の体を得て、この活動を続けていきたい」

 ふと少年を見上げた伊草は、彼の目が紫色であることに気が付きました。
 白髪に、紫色の目。林の言葉を思い出し、伊草は目を見張ります。
 恐る恐る、伊草は少年の腰元を見ました。その腰には、黒い日本刀が一振り差さっていました。なぜ今まで気付かなかったのかが不思議なほど、それは己の存在を強く主張しています。

「白鬼の不老不死は、多分お前が考えているものじゃない。例えば腕を切られたら、それまでだ。新しく腕が生えたりなんてしない。ただ老いず、死なないだけなんだ。魂が絶対に体から離れない。それだけ」

 表情を変えず、少年は淡々と告げます。伊草は、視線を少年の目に戻しました。

「君が、白鬼か?」

 少年はうっすらと口角を上げました。

「俺の肉を喰って不老不死になった人間は、何人かいる。全員結局、最後は死を望んだ。でも死ねない。その生を終わらせる方法はただひとつ。俺に喰われることだけだ。生きたままな」

 それを想像して、伊草は恐怖に身を震わせます。
 そんな伊草を見た白鬼は、少しだけ眉を下げました。

「山を下りろ。送っていくから」
「いいや」

 その伊草の声は、本人が思っていた以上に強く響きました。

「全て承知した。その上で、私は不老不死になりたい。あの痛みを、苦しみを、地獄を、もう誰にも味わわせたくない。風化させてはいけないんだ!」

 伊草はしわくちゃの手を、固く握りました。
 丸くなった白鬼の目から、ふいに涙が溢れ出し始めました。びっくりして、伊草は何も言えません。

「ああ、すまん。ちょっと前に大泣きしたもんでな。涙腺が緩んでんだよ」

 白鬼は、袖で涙を雑に拭いました。

「そこまで言うなら仕方ない」

 そう言うと、白鬼は自分の髪を1本抜きました。それを伊草に渡します。

「これは?」
「髪も肉の一部さ。それを喰え」

 伊草は手の中にあるそれを、じっと見下ろしました。

「もし死にたくなったら、俺のところに来な。この山に来て、白鬼とでも呼んでくれれば駆けつける」

 伊草は腹をくくると、白糸のようなそれを飲み込みました。





 それから伊草は、自分の体験を語り継ぐ活動に、今まで以上に精を出しました。
 林が亡くなった後も、会員が全員いなくなった後も。ある時はテレビに出て、ある時はライブ配信なるものに出て、ある時は壇上に立って。伊草は原爆の恐ろしさ、戦争の愚かしさを伝えていきました。

 もちろん、不老不死であるとバレないよう、名前や髪型、服装の好みを変えるといった努力も忘れていません。話す内容も、実体験であることは伏せ、父親から、あるいは祖父から、あるいは父の祖父から聞いた話だと、生きる年数に従って変えていきました。
 それでも伊草の話には、実体験者の生々しさがこもっているらしく、聴衆はみんな、息をのんで彼の話に聞き入りました。そうして講演が終わった後には、「戦争は二度と起こしてはいけない」と、異口同音に言ったものでした。


 そんな聴衆の様子が変わっていったのは、伊草が不老不死になってから100年が過ぎた頃でした。
 その頃になると、第二次世界大戦のことも、ドラマやアニメ、漫画、ゲームなどの題材に選ばれることも多くなっていました。実際に戦争に出て勇ましく戦った人物や、目のさえる指揮を繰り出し敵に打ち勝った人物といった、名のある人たちを、賞賛するような内容のものがほとんどでした。
 その裏で亡くなっていった、無辜の名もなき人々のことは、誰の目にも入らなくなっていきました。

 伊草はそうした状況を憂いましたが、そんな伊草に協力しようという人は現れません。むしろ、時代遅れだの、非国民だのと揶揄される始末です。

 そしてとうとう、伊草が最も恐れていたことが起きました。とある国が、「実験」と称して別の国の海域に、核爆弾を投下しました。それが敵対行為であるとみなされ、各国は連盟を組み、その国に対して宣戦布告をおこなったのです。





 伊草が足を運んだのは、首相官邸でした。

「どうか総理に合わせてください」

 受付に座る女性型アンドロイドに向かって、伊草は頭を下げました。アンドロイドは、困った表情を取り繕います。

「アポイントメントがなければ、お会いすることはできません。引き取っていただけますでしょうか」
「緊急なのです。どうか、お願いします」
「アポイントメントがなければ、お会いすることはできません。引き取っていただけますでしょうか。次にこの忠告文が聞き入れられなかった場合は、警備員をお呼びすることになります」
「どうかしたのかい?」

 受付の奥からひょこりと顔を出したのは、伊草が合わせてほしいと頼み込んでいた総理その人でした。
 まだ若い総理は、人の良さそうな笑みを浮かべています。その表情は、伊草の知っている林にそっくりでした。
 周囲のガードマンが、慌てて総理に、顔を出さないようと注意します。

「ごめんごめん。でも、困っているご老人がいるようだったからさ。それに、どこかで見たことある顔だよ。もしかして、伊草人志ひとしさんじゃないかい?」

 伊草は目を丸くします。

「どうして私のことを」
「ああ、やっぱりそうなんだ! 本当に不老不死なんだ!」

 総理は身を乗り出して、伊草の手を握ります。その力強さに、伊草は困惑しました。

「家の整理をしていた時にね、私の祖父の祖父の写真と手記が出てきたんだ。手記にはあなたのことが書いてあったよ」

 伊草はふと、林に不老不死になったことを話したのを思い出しました。そして目の前の総理大臣の苗字が、林であることも。

「総理、私は、開戦を止めていただくようお願いするために参りました。どうかこの老いぼれの願いを……」
「いやいや、それは無理だよ伊草さん。もう戦いの火ぶたは切られたんだ」

 当たり前のように吐き出されたその言葉に、伊草は背筋が凍り付くような気持ちになりました。

「それより伊草さん、白鬼はどこにいるんだい?」

 久方ぶりに聞いたその名前に、伊草は身を固くしました。

「それを知って、どうするんです」
「どうするって、そりゃあ、兵士を不老不死にするに決まってるじゃないか!」

 伊草はよろめきました。が、手は総理に握られたままです。その力は、どんどん強くなっています。

「わが兵が不老不死になればこの戦、買ったも同然! 伊草さんには、そのためにぜひご協力いただきたく。さ、白鬼、どこにいるんだい? 手記にあった山は捜索したんだけど、見つからなくてね。あなたなら知ってるんじゃないのか?」

 全身の血の気が、伊草の中から引いていきます。

「そ、それは、言えません」

 伊草がやっとのことでそう答えると、総理の顔から笑顔が抜け落ちました。

「言えない……ということは、知っているんだね。まあ、いいや。それじゃあ仕方がない。少々遠回りになるが、あなたを徹底的に解剖しつくして、我々との差を突き止め、あなたと同じになれるようにしよう。なんたってあなたは不死身。いくら切り刻んでも死なないんだよね?」

 総理の背後から、黒いスーツに身を包んだ男がふたり、現れました。彼らはあっという間に、伊草を取り押さえます。

「離してください!」

 伊草は男たちから腕を振りほどこうともがきますが、力の差は歴然としています。どうにもなりません。

「白鬼の居場所を教えてくれたら、すぐにでも解放しますとも」
「私は、私が戦争の道具になるなんて、そんなことは死んでも嫌だ!」
「ははは、死なないくせに何を。不死身ジョークというやつ?」

 総理の乾いた笑いが、伊草の頭の中でガンガンと響きました。
 怒り、悲しみ、悔しさ。それらが胸の中がぐちゃぐちゃになった後、あきらめにも似た気持ちが、伊草の中で芽生えました。

「……白鬼は、まだあの山にいるはずです。そう約束しましたから」

 全身から力の抜けた伊草を、総理は目を丸くして見ました。

「そうなの? あんなに捜索したのになぁ。まあ、山は広いし、どこにでも隠れられるか……」

 総理は顎に手を置いて、険しい顔を浮かべました。それはすぐに、パッと笑顔に切り替わりました。

「ではあなたを連れて、もう一度山に行こう。ああ、もちろん私は行かないよ。忙しいからね。代わりに秘書が付いていくからね」

 近くに控えていた秘書に、総理は伊草を連れて京都へ行くよう命じました。伊草はそれを、窓の向こうの景色を見るような感覚で眺めていました。





 斜面に降り積もった枯れ葉を踏みしめる伊草の口から、白い息が吐き出されます。
 その後ろから、まだ若い男が2人、しっかりと登山の格好をしてついてきていました。ひとりは総理の秘書で、もうひとりはボディーガードです。
 ボディーガードの手には、拳銃が握られています。いつでも引けるように、引き金には指がかけられていました。

 ふと足を止めた伊草は、きょろきょろと周囲を見回します。以前登った時よりも、さらに高い所まで登っているようです。

「おかしいな、この辺だったはずなんだが……。ちょっとお待ちください。思い出しますから」

 言いながら、伊草はその場をうろうろと歩きます。その様子を見た秘書は、小さく舌打ちをします。
 その彼の腹の虫が、大きく鳴りました。

「俺はここで飯を食う。お前は引き続き、白鬼を探しておけ! 不老不死なら飯もいらんのだろう?」

 確かに、不老不死になってから、伊草は食事を必要としていませんでした。

 秘書はその辺に適当に腰かけて、カバンを下ろしました。そして中をゴソゴソと漁ります。ボディーガードはそのそば近くに立ち、周囲を注意深く見回していました。
 それを横目で見ていた伊草は、ボディーガードの視線が自分と反対の方へ向いたのを確認すると、近くにあった崖へ足を踏み出しました。

「うわぁぁ!」

 わざとらしく声をあげて、伊草はそこから転がり落ちました。秘書たちの慌てたような声は、すぐに遠ざかってしまいました。





 全身の鈍い痛みで、伊草は目を覚ましました。
 すぐ視界に入ったのは、しゃがんでこちらを窺っている白鬼でした。以前会ったのと、背格好も何も、全く変わりがありませんでした。
 その目の色に悲痛が混ざっているように感じて、伊草は少し首をかしげました。白鬼は溜息を吐きました。

「お前さ、あいつらから逃げるためとはいえ、無茶しすぎじゃない? 言っただろ、俺の不老不死は便利なものじゃない。お前の折れた腕や脚、肋骨は治せない」

 じんじんと痛むのはそれが原因かと、伊草は納得しました。
 きょろりと周囲を見回すと、洞窟の中でした。白鬼のそばでは火が焚かれていて、それで寒さを感じずに済んでいるようです。

「名前を呼んだ覚えはないのだけれど、来てくれたんだね。助かるよ」
「見張ってたのよ。前に人が来た時、まあまあ荒らされたからな」

 白鬼は立てた膝に肘をつき、頬を手の上に置きました。

「それでお前、死にたくなったわけ?」
「ああ」

 パチンと、大きく火が爆ぜました。

「私は、もう戦争を起こさないために不老不死になったんだ。戦争のために利用されると言うのであれば、死ぬしかない」

 白鬼は頬杖をついたまま、伊草をじいっと見下ろしていました。

「分かった」

 白鬼は、腰に差した刀を抜きました。その刃の美しい白さに、伊草は思わず目を奪われてしまいます。
 切っ先を突きつけられても、伊草は恐怖を覚えませんでした。むしろ感じたのは、安堵でした。

「そうだ白鬼、君、私を食べたらすぐにこの山を出なさい。私と一緒にいた若者は、君の肉を狙っている」
「ご忠告どうも。遺言通りにするよ」

 白鬼が刀を小さく振り上げたのを見て、伊草はそっと目を閉じました。





 京都駅は人でごった返していました。その人波をすいすいと縫って、白いパーカーのフードを目深にかぶった少年――白鬼は、大通りへと出ました。
 電光の看板が、ビルの間近で浮きながら、ぴかぴかと光っています。そうやって己を主張する看板たちには見慣れている様子で、人々はさっさと目的地へ向かって歩いていきます。

 白鬼の目の前の信号が、赤になりました。白鬼は足を止めます。すぐ後ろに、女子高校生が2人並びました。

「ねえ、最近さ、神世かみよ、学校に来てないよね。どうしたんだろう」
「さあ。神世ちゃんのお父さんって、すごく有名なロケットの技術者じゃない? 戦争が始まるから、ロケットに詰め込まれて地球を脱出してるとか」
「ああ……神世のお父さん、神世に激甘っぽいもんね。ウザいって神世、愚痴こぼしてたし」
「いいよね、身内がロケットの技術者とか、お金持ちの人は。そうやってさっさと地球を出れるんだもん。私たち、戦争が始まってもここにいるしかないのにね」

 そんな会話が、バットケースごしに白鬼の耳に入ってきます。
 ぼんやりと信号が変わるのを待っていると、ぴかぴか光っていた電光看板が、すべてニュース画面に切り替わりました。

『速報です。A国が核爆弾を乗せた飛行機を、発射しました。目標はB国国内と見られます。これに応戦すべく、C国、D国、E国も、核爆弾を搭載した飛行機を発射しました』

「え、嘘ぉ」

 後ろの女子高生のうちひとりが、唖然とした様子で声をあげます。

「大丈夫でしょ。B国って遠いし。こんなところに落ちてくるわけないじゃん」
「でも、兄がさ、さすがに次に戦争なんかしたら、きっと人類は滅んじゃうって……」
「そんなわけないって! お兄さん、悲観主義すぎー」
「うん、まあね……。でも、考えない? 人間がこの世からいなくなれば、戦争も起きないのにって」
「それは極論すぎるっしょ」

 信号が、青に変わりました。
 女子高生の笑い声を背に、白鬼は横断歩道を渡ろうとしました。その時でした。


 上空を飛行機が飛んでいきます。そこから何かが落とされたのを、彼は見ました。
 瞬間、彼の目の前は、真っ白に覆い尽くされました。
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