上 下
133 / 230
第五章 終焉の光

第133話 師弟

しおりを挟む
 ファルラーダ・イル・クリスフォラスの弟子であったことはダニエル・ゴーンにとって数少ない誇りの一つだ。

 スラムで朽ち果てる筈だったこの身を救い、生きる術を与えてくれた恩師であり、誰よりも強く、気高き高潔な魂を持つ人物。それがダニエルにとってのファルラーダだった。

 約十年振りの再会になるが、師は何一つとして変わっていない。グランドクロスとなった経緯は分からぬが、フリーディアのために死力を尽くし貢献してきたことは明白。

 感謝こそすれ武器を向けるなど以ての外。だというのにダニエルの心に後悔はない。多分、分かっていたのかもしれない。彼は顔も知らぬフリーディアのために意思を貫き通すことができない。

 ファルラーダの生き様に憧れを懐いているだけで、理想にまで心酔しているわけではないのだ。

 その心を見抜いていたからこそ、ファルラーダはダニエルへ自身と同じ道は歩むなと言葉を強く念押ししたのかもしれない。

 互いに同じ道は歩めない。いつか必ず相対する時が来る。予感は現実となり、再び対峙する結果となった。
 
「なるほど、感慨深いな。テメェの覚悟がひしひしと伝わってくる。その顔の入れ墨、クリスフォラス家の家紋だろ? おれは誇りに思うよ、自分で無くしたものだがその心はきちんと受け継がれている」

「姉御……」

 そう言いながらもファルラーダの攻撃には容赦がない。ダニエルは今にも崩壊しそうな重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナーを必死に抑えつけながら師の言葉を胸に刻んでいく。殺し合いの最中だというのに、胸から湧き上がる熱い感情をどうしてくれようか。

「姉御、あんたは暴力しかなかった俺に力の使い方を教えてくれた。クリスフォラス家に向かい入れてくれて、様々な道を示してくれたことも!
 あんたが……あんたがいたから今の俺がある。全部あんたのおかげだ!」

 敵として対峙しても尚、その気持ちは変わらない。スラムの暴漢から救ってくれた彼女の姿は今でも目に焼き付いている。

 今こうして生きていられるのは全てファルラーダのおかげなのだ。師から教わった心の在り方は微塵も損なわれていない。

 誰かのために、命すらも燃やせるその心こそが――

「俺はダチの未来のためにこの忌まわしき暴力をぶつける! あんたにあいつらを殺させねぇ、俺の大事なもん、全部守ってみせる!!」

 オリヴァー・カイエス、アリカ・リーズシュタット、ユーリ・クロイス。ひょんな事から同じ部隊に配属されたが、ダニエルにとっては家族も同然の存在となった。

 ファルラーダ・イル・クリスフォラスを前にしてもその気持ちは変わらない。

「そうか。知らねぇ内にデカくなりやがって。遠慮はしねぇぞ? おれを止めたければ気張って掛かってこいッ!!」

「いくぜ、姉御ッ!!」

 その言葉と同時にダニエルはファルラーダ目掛けて、重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナーをブーメランのように投げつけた。

 回転しながら飛来していく巨大な盾にファルラーダは動じることなくバトイデアを操り回避していく。

「!?」

 しかし次の瞬間高速旋回し、再びファルラーダ目掛けて飛んでくる重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナー

「ふんッ、ぐぐッぁぁぁぁッ!!」

 かなり無理をしているのか、額に筋を浮かべながら鼻血を垂れ流し踏ん張るダニエル。重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナーを遠隔操作するのに四苦八苦している様子だ。

「無理すんなよ、そいつは本来守ることに特化した代物だろ? そんな使い方してたらすぐにガタがくるぜ?」

「へ、そんなの百も承知さ。別にあんたを倒せなくても、オリヴァーたちが逃げる時間を稼げりゃいいのさ」

「なるほどな、おれを倒すでもなく、足止めするためだけに命を投げ出そうって腹か」

 エルフ兵士たちから放たれる援護魔法を難なく回避しながら、ファルラーダは遠目にある豪奢な馬車に乗っていくエレミヤたちの姿を捉える。

「逃さねぇよッ! 撃ち抜け、千術魔銃サウザンドライフル!!」

 ファルラーダの手に再展開された千術魔銃サウザンドライフルが火を吹いて馬車へと襲いかかる。

「あんたの相手は俺だって言ってんだろ!!」

 千発の魔弾からエレミヤたちを守るべく、ダニエルは渾身の力で重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナーを操り、走り出した馬車を守っていく。

 ダニエルの守りたいという想いが更なる奇跡を呼び起こす。重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナーはただ防ぐだけではなく、魔法を磁力のように引き寄せたのだ。

 ファルラーダが放った千の魔弾が全て重盾鉄鋼デュアルヘヴィガードナーによって虚しく引き寄せられていく。千術姫はその光景に舌を巻きつつ、躊躇なくサウザンドバレットを解き放っていく。

「ちっ、これだから特化型オリジンは面倒くせぇ!
 自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオン、あの馬車を追え! 絶対に逃がすな!!」

《了解、マスター》

 ファルラーダの指示を受け、猛スピードで馬車へと向かっていく四機の自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオン

「させっかよッ!!」

 ファルラーダの魔弾を防ぎながら、手の空いたダニエルは魔術武装マギアウェポンの展開によって恩恵を受けた身体強化スキルを駆使して自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオンへ殴りかかっていく。

 拳が直撃した瞬間、激しい衝撃音と共に自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオンの装甲に亀裂が入る。

「はは! まさかの素手かよ! 相変わらず無茶苦茶な野郎だ」

 奇跡の恩恵を授かった今のダニエル・ゴーンはファルラーダに匹敵する身体能力を得ている。しかし彼の肉体はその強大な力に耐えられるよう作られていない。

 当然負荷の方が大きく、拳が大きく裂け血が噴出する。

「火事場の馬鹿力……魔術武装マギアウェポンを遠隔操作するだけでもキツいだろうに、おれの魔弾を防ぎつつ更に自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオンすらも相手にしてみせるとはな。
 あの頃はあんなに小さかったクソガキがここまで立派に育ったことに感慨を覚えている」

 感心したように呟きつつも、ファルラーダの攻撃の手は一切緩まない。寧ろ加減などしようものなら、命を賭けて戦っている弟子に失礼だ。

「うぉぉぉおぉォォォォォッーー!!!」

 絶望的状況下にも関わらずダニエルは決して諦めることなく、自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオン相手に忌まわしき暴力を以て果敢に挑んでいく。

「守る、絶対に守ってみせる!!」

 それが、ダニエル・ゴーンに残された最後の責務。元クリスフォラス家の一員として今度こそ、役目を果たす。彼はオリヴァーとサラに未来を託した。

 だから、きっと―― 



「――ダニエル!!」

 馬車の車窓から身を乗り出しながら親友の名を叫ぶオリヴァー・カイエス。出血が酷く、途中で気絶してしまっていたが、エレミヤによる迅速な治癒魔法のおかけで一命を取り留め無事に意識を取り戻した。

 時間が足らず止血だけに留まったが、それでもオリヴァーとしては充分だった。

 しかし状況は深刻だ。同乗するサラから事情を聞き、今ダニエルがファルラーダ・イル・クリスフォラスを止めるために戦っていることを知り、自分も残って戦おうと馬車から降りようとしている。

「オリヴァーくん、その状態じゃ戦うのは無理だよ! 必死に私たちを逃してくれてるダニエルくんの想いを無駄にしないで!!」

「サラ、だけど!!」

 オリヴァーとサラはすでに魔力が尽き果てており、戦える状況ではない。そんな状態で戦場に戻ったところで足手まといになるだけだと、サラは必死になって引き留めようとする。

「マズいですエレミヤ! 敵が一機包囲網を突破してこっちに向かってきてるですこんちくしょう!!」

 オリヴァーの反対側の車窓から外の状況を見ていたミグレットが慌てた様子で同乗するエレミヤに告げる。

《エレミヤと複数の魔力を発見、速やかに排除します》

 追いすがる一機の自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオンから無機質な機械音声が放たれる。

 今馬車の荷台にはエレミヤ、ミグレット、オリヴァー、サラ、シオン、眠ったままのナギが乗っている。

 人数が多い分、荷台は余裕のある広さでなければならず、思った以上にスピードが出せずにいる。

 そんなエレミヤたちを守るために種族連合は全神経を注いでファルラーダの魔術武装マギアウェポンに抗っている。

 本当ならオリヴァーと同じく馬車から飛び降りたい衝動を必死に抑えつけながら、エレミヤは温存していた魔力を総動員し応える。

「私だって魔法障壁くらい使える! 最後まで絶対に諦めないわ!!」

 迫りくる自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオンが容赦なく銃口を向け、魔弾の雨を降らせていく。

 エレミヤは慣れない動作で魔法障壁を展開し、魔弾を何とか凌いでいくも――

「「「「あぐぅぅぅぅぅッッッ」」」」

 その衝撃は凄まじく、馬車の荷台が激しく揺れる。

「クソッ、薔薇輝械ロードナイトエリキシルが使えればあんな攻撃ッッ!」

 オリヴァーに残された手は、命を代償に魔力を引き出す制限解除リミットアペレフロシウスを使用する他ない。

 やれなくはないが、もし仮にランディ・カイエスの時のように内側から魔力が暴発しては元も子もない。それではダニエルが命を張ってファルラーダを止めてくれている意味がない。

 けれど、このまま逃げ切れるはずもなく、誰か一人が犠牲になって自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオンの足を止めねばならない状況に追い込まれてしまっている。

「くそぅッ、何で自分はこんな時に戦えねぇですかこんちくしょう!!」

 ミグレットが己の無力さに打ち拉がれている。彼女だけじゃない、エレミヤやサラ、もちろんオリヴァーだって同じ気持ちだ。

 己がもっと強かったら、こんな状況になど陥っていない。何で自分たちはこんなにも弱いのだろうか?

「く、こうなったら私が足止めを――」

 サラが覚悟を決めて、馬車の扉を開こうとした瞬間――

「えぇえぇぇぇッッい!! スキル・あくせる!!」

「「「「なッ!?」」」」

 これまで沈黙を保ち、ナギに寄り添っていたシオンが勢いよく馬車から飛び出したことに、一同驚愕の声を上げる。

 加速スキルを用いて自律型千術魔装機兵オートメーションヴァスティオン目掛けて殴りかかるシオンの表情は鬼気迫るものを感じる。

「シオンはようやく見つけた! ここが……ここが命の使いどころなんだ!! シオンの命は今、ナギおねーちゃんたちを守るためにあるんだぁぁぁぁッッーーー!!!」

 ずっと皆の足を引っ張り続け、置いてけぼりだった一人のビーストの少女は、ついに己の為すべきことを見つけたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

処理中です...