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五十一話『解けない疑念』
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志穂ちゃんの自宅にお邪魔した翌日。朝のホームルームが終わったタイミングで志穂ちゃんからメッセージが送られてきた。
『姉貴に聞いてみたけど、琉歌っぽい子は知らんってさ。強いて言うなら、ユキ先輩が似てるってさー』
沙穂さんにも心当たりはないか。雪菜先輩と交流が深かったからもしかして先生とも、って思っていたけれどそうでもないのかな? それにしても、私と雪菜先輩が似てる……、わかるような、わからないような。まあ、強いて言えばだからあまり似てはいないのか。
『情報ありがとう。あとは先輩たちに訊いてみる。またお菓子作って持って行くね』
返信をしてからおよそ三秒。志穂ちゃんから返信がきた。
「オッケ。私はクッキー、姉貴は羊羹が食べたいってさ。楽しみにしてるぜ」
やっぱり返信早いなあ。志穂ちゃんの技術もそうだけれど、それに対応しているスマホもすごいよね。もしくは、私の返信を予測して打ってるとか。……後者の方が怖いなぁ。志穂ちゃんならできそうだから怖いけれど。
「何か面白いことでもありましたの?」
志穂ちゃんの謎の技術力に苦笑していると、夢国さんが話しかけてきた。七津さんは当たり前のように夢国さんに覆い被さっている。最近は寒さが増してきたからか、夢国さんの抵抗は日に日に弱まり、七津さんが半ばコート代わりになっている気がする。
「うん。志穂ちゃんのお姉さんが羊羹食べたいって言うから作ってって」
「羊羹作れるの!? 私も食べた~い」
「七津さんと夢国さんの分も一緒に作るね」
雪菜先輩と命先輩にも作ってあげよう。あと、カトリさんも和菓子好きそうだったし、七津さんに多めに作ってあげれば大丈夫かな。先生には、甘さ控えめのクッキーだけにしておこう。
「志穂さんにお姉さんが、って。そういえば、礼さんと妹仲間だと、喜んでいましたわね」
「うん。沙穂さんっていうの。細かいところは似ているけれど、志穂ちゃんとは似てないかも」
そんな話をしていると、予鈴が鳴り授業開始五分前。少し急いで授業準備を終わらせる。少しして先生が入ってきて授業が始まった。いつも通り、シャーペンを握り板書を取る。真面目に話を聞きながら、チラチラと時計の針を確認する。八戸波先生ともう一度会えるまで、まだまだ長い。
全部の授業が八戸波先生が担当だったら良いのに。そう考えると、小学生が少し羨ましいな。
我ながら意味のわからないことで羨んでいるなと思いながら、授業は進んでいく。数コマの授業をこなし、待ちに待った現代文。八戸波先生の授業になった。授業中は、一日の中で最も長く先生の声を聴いていられる。大好きな少し掠れた声が記憶に残り、現代文の成績も上がってきている。
前はテストの解き方もなんとなくだったけれど、今は理解しながら解けるんだよね。
「よし。キリがいいから、ここまで。予習復習はいつも通りだ」
楽しい時間はあっという間。現代文の授業は時計の針を一度もみることなく終わってしまう。体感では十分も経っていないような気がしてしまう。けれど、今日はまだ少しだけ八戸波先生と一緒にいられる。
「課題、お持ちしますね」
「悪いな、古町。もうそろそろ内申点カンストじゃないか?」
「やりたくてやっているだけなので」
内申点にカンストの概念てあるのかな?
八戸波先生の冗談に本音を返しつつ、少し疑問を持ちながら重なったプリントを持つ。私が移動できるのを確認すると、先生はゆっくりと歩き出して扉を開けた。先生の後ろをついて歩きながら、夢国さんたちに視線を向けると笑顔で手を振ってくれていた。それに笑顔で応え、私もゆっくりと廊下に出る。
「そういえば。今朝、三条がやたら機嫌がよかったんだが、何か知ってるか?」
廊下に出てすぐ、八戸波先生は思い出したように話題を振った。足は止めず、ゆっくりと教務員室に向かっている。
「多分ですけれど。志穂ちゃ……。友杉先輩とお話しできたからだと思います」
「なるほどな。本当の姉妹みたいに懐いていたっけか、三条のやつ」
そうかそうか。と、八戸波先生は少し嬉しそうに笑っていた。今朝の私の予想とは違い、沙穂さんと先生の間にもそれなりに交流はあったらしい。
先生は一年生の頃から生徒会長をやっていた雪菜先輩を気にかけていたみたいだけれど、沙穂さんも生徒会役員だったのかな? 部活には入っていなかったみたいだし、あそこまで甘えられる関係を築ける場所は、それこそ限られているだろうし。
理由はどうあれ、嬉しそうな先生を見られるのは嬉しい。
「ありがとな、古町。ご苦労さん」
そんなことを考えている間に気がつけば教務員室。ボーナスタイムも終わりを迎える頃だ。
「お役に立ててなによりです。失礼します」
教務員室で八戸波先生が頭を撫でてくれることはない。先生の熱を感じられないことをもどかしく思いながら、お礼の言葉で心が膨れることで我慢する。一礼をして、教務員室から退室する。
階段近くまできているので、二階にある自販機によることにした。最近、何かと見かけて匂いが香ってくるココアが飲みたくなってしまった。
夢国さんたちの飲み物も買っていってあげよう。同じココアでいいかな? それともお茶? 夢国さんなら紅茶、七津さんなら緑茶な気がするけれど。うーん、今回はココアで統一しよう。
二人に買っていく飲み物も決めて、階段をゆっくりと降りる。昼休みなので、まだ時間に余裕はある。二階に降りると、雪菜先輩が自販機の前で顎に手を当てて何を買うか迷っていた。
ここの自販機、何かと先輩たちに遭遇するケースが多い気がする。夢国さんも命先輩と会っているし。三年生のフロアだから、当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
意外なことに、周囲に人だかりはできていなかった。一、二年生はともかく、同学年の三年生の間では雪菜先輩のアイドル的な人気は落ち着いたのかもしれない。
「こんにちは、雪菜先輩」
「あ、古町さん。飲み物買いに来たの?」
声をかけると、雪菜先輩はこちらに手を振って応えてくれた。八戸波先生が言っていた通り、普段の雪菜先輩と比べて確かに上機嫌に見える。
そもそも不機嫌な現場を見たことない気がするけれど。あっても、怒ったり拗ねたりしてるくらいで。
「ココア買いに来たんですか?」
「うーん。そうだったんだけどね。最近ココアばかりだから、たまにはコーヒーにしようかなって」
「苦いのお得意でしたっけ?」
興味本位で訊いてみると、雪菜先輩は少し恥ずかしそうに目を逸らした。無糖の紅茶は飲んだりしていたが、コーヒーの苦味は別の問題らしい。かくいう私も、ブラックコーヒーを飲む自信はない。
「ほら、缶コーヒーって微糖でも結構甘いから」
「確かにそうですね。雪菜先輩好みのコーヒーは多いかもしれません」
そこから少し迷い、最終的に雪菜先輩は青い缶の微糖コーヒーを購入した。私もその後にココアを三缶連続で購入する。ペットボトルのものも何故か置いてあるのだが、缶より少し割高だ。
偶然とはいえ雪菜先輩に会えたんだし、例の話、少し訊いてみよう。
「あの、雪菜先ーー」
「ゆきな~ん、遅い~。って、琉歌ちゃん」
話を切り出そうとすると、振って湧いたように命先輩が雪菜先輩の背中に飛びついた。雪菜先輩は慣れっこなようで、少しよろけこそしたものの、普通に受け止めていた。
体感結構強いよね、雪菜先輩。
「ハロ~。今日もキュートだね~。またお菓子作ってくれたの~?」
「がめついぞ、命。この前体重増えたの気にしてただろ」
「あはは。作る予定は建てているので、お待ちいただければ」
命先輩は笑顔で喜びながら、雪菜先輩に太ると言われたことが気に入らなかったのか背中に乗りながら雪菜先輩の頬をつねっている。
言っちゃいけないこと言ったからなのか、素直に受け入れてるなぁ。
「それで……。さっき何か言おうとしてなかった?」
「あ、えっと。先輩たちに訊きたいことがあって。前に、私似た生徒っていましたか?」
急に話が戻ってきたことに驚いて、前置きなしで本題に入ってしまった。先輩たちも質問の意図がわからないようで、互いに一度見つめ合うと、私の方に顔を向け首を傾げていた。命先輩に至っては、雪菜先輩から降りて天を仰いでいる。
そういう反応になりますよね。私だってそうなりますし。
「その、沙穂さんから昔の雪菜先輩と私が似てるって言われたので」
「あー、それならなんとなくわかる」
逃げ道として沙穂さんが言っていたらしいことを話すと、命先輩はあっさりと納得した。雪菜先輩は変わらず首を傾げている。
「なんだろ。世話焼きな感じ? あと遠慮しいとこ~」
そこまで言うと命先輩は私の後方に周り抱きついて、「琉歌ちゃんのが素直だけどね~」と付け加えた。雪菜先輩もその自覚はあるようで、苦い顔で黙っている。先日、沙穂さんに指摘された分余計に実感しているのだろう。
つい話題を逸らしてしまったけれど、パッと出てくるようなことはないか。それなら、この学校の生徒じゃない? それとも、寝ぼけて間違えただけで似ていないとか。
「ありがとうございます。雪菜先輩ほど努力家ではないので、身に余る言葉が気になっただけなんです」
そう言って私は命先輩のハグから抜け出し、教室へと戻って行った。振り返って一礼すると、雪菜先輩は小さく、命先輩は両手で大きく手を振って見送ってくれた。
結局、誰なんだろう。「おしえ」って。
『姉貴に聞いてみたけど、琉歌っぽい子は知らんってさ。強いて言うなら、ユキ先輩が似てるってさー』
沙穂さんにも心当たりはないか。雪菜先輩と交流が深かったからもしかして先生とも、って思っていたけれどそうでもないのかな? それにしても、私と雪菜先輩が似てる……、わかるような、わからないような。まあ、強いて言えばだからあまり似てはいないのか。
『情報ありがとう。あとは先輩たちに訊いてみる。またお菓子作って持って行くね』
返信をしてからおよそ三秒。志穂ちゃんから返信がきた。
「オッケ。私はクッキー、姉貴は羊羹が食べたいってさ。楽しみにしてるぜ」
やっぱり返信早いなあ。志穂ちゃんの技術もそうだけれど、それに対応しているスマホもすごいよね。もしくは、私の返信を予測して打ってるとか。……後者の方が怖いなぁ。志穂ちゃんならできそうだから怖いけれど。
「何か面白いことでもありましたの?」
志穂ちゃんの謎の技術力に苦笑していると、夢国さんが話しかけてきた。七津さんは当たり前のように夢国さんに覆い被さっている。最近は寒さが増してきたからか、夢国さんの抵抗は日に日に弱まり、七津さんが半ばコート代わりになっている気がする。
「うん。志穂ちゃんのお姉さんが羊羹食べたいって言うから作ってって」
「羊羹作れるの!? 私も食べた~い」
「七津さんと夢国さんの分も一緒に作るね」
雪菜先輩と命先輩にも作ってあげよう。あと、カトリさんも和菓子好きそうだったし、七津さんに多めに作ってあげれば大丈夫かな。先生には、甘さ控えめのクッキーだけにしておこう。
「志穂さんにお姉さんが、って。そういえば、礼さんと妹仲間だと、喜んでいましたわね」
「うん。沙穂さんっていうの。細かいところは似ているけれど、志穂ちゃんとは似てないかも」
そんな話をしていると、予鈴が鳴り授業開始五分前。少し急いで授業準備を終わらせる。少しして先生が入ってきて授業が始まった。いつも通り、シャーペンを握り板書を取る。真面目に話を聞きながら、チラチラと時計の針を確認する。八戸波先生ともう一度会えるまで、まだまだ長い。
全部の授業が八戸波先生が担当だったら良いのに。そう考えると、小学生が少し羨ましいな。
我ながら意味のわからないことで羨んでいるなと思いながら、授業は進んでいく。数コマの授業をこなし、待ちに待った現代文。八戸波先生の授業になった。授業中は、一日の中で最も長く先生の声を聴いていられる。大好きな少し掠れた声が記憶に残り、現代文の成績も上がってきている。
前はテストの解き方もなんとなくだったけれど、今は理解しながら解けるんだよね。
「よし。キリがいいから、ここまで。予習復習はいつも通りだ」
楽しい時間はあっという間。現代文の授業は時計の針を一度もみることなく終わってしまう。体感では十分も経っていないような気がしてしまう。けれど、今日はまだ少しだけ八戸波先生と一緒にいられる。
「課題、お持ちしますね」
「悪いな、古町。もうそろそろ内申点カンストじゃないか?」
「やりたくてやっているだけなので」
内申点にカンストの概念てあるのかな?
八戸波先生の冗談に本音を返しつつ、少し疑問を持ちながら重なったプリントを持つ。私が移動できるのを確認すると、先生はゆっくりと歩き出して扉を開けた。先生の後ろをついて歩きながら、夢国さんたちに視線を向けると笑顔で手を振ってくれていた。それに笑顔で応え、私もゆっくりと廊下に出る。
「そういえば。今朝、三条がやたら機嫌がよかったんだが、何か知ってるか?」
廊下に出てすぐ、八戸波先生は思い出したように話題を振った。足は止めず、ゆっくりと教務員室に向かっている。
「多分ですけれど。志穂ちゃ……。友杉先輩とお話しできたからだと思います」
「なるほどな。本当の姉妹みたいに懐いていたっけか、三条のやつ」
そうかそうか。と、八戸波先生は少し嬉しそうに笑っていた。今朝の私の予想とは違い、沙穂さんと先生の間にもそれなりに交流はあったらしい。
先生は一年生の頃から生徒会長をやっていた雪菜先輩を気にかけていたみたいだけれど、沙穂さんも生徒会役員だったのかな? 部活には入っていなかったみたいだし、あそこまで甘えられる関係を築ける場所は、それこそ限られているだろうし。
理由はどうあれ、嬉しそうな先生を見られるのは嬉しい。
「ありがとな、古町。ご苦労さん」
そんなことを考えている間に気がつけば教務員室。ボーナスタイムも終わりを迎える頃だ。
「お役に立ててなによりです。失礼します」
教務員室で八戸波先生が頭を撫でてくれることはない。先生の熱を感じられないことをもどかしく思いながら、お礼の言葉で心が膨れることで我慢する。一礼をして、教務員室から退室する。
階段近くまできているので、二階にある自販機によることにした。最近、何かと見かけて匂いが香ってくるココアが飲みたくなってしまった。
夢国さんたちの飲み物も買っていってあげよう。同じココアでいいかな? それともお茶? 夢国さんなら紅茶、七津さんなら緑茶な気がするけれど。うーん、今回はココアで統一しよう。
二人に買っていく飲み物も決めて、階段をゆっくりと降りる。昼休みなので、まだ時間に余裕はある。二階に降りると、雪菜先輩が自販機の前で顎に手を当てて何を買うか迷っていた。
ここの自販機、何かと先輩たちに遭遇するケースが多い気がする。夢国さんも命先輩と会っているし。三年生のフロアだから、当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
意外なことに、周囲に人だかりはできていなかった。一、二年生はともかく、同学年の三年生の間では雪菜先輩のアイドル的な人気は落ち着いたのかもしれない。
「こんにちは、雪菜先輩」
「あ、古町さん。飲み物買いに来たの?」
声をかけると、雪菜先輩はこちらに手を振って応えてくれた。八戸波先生が言っていた通り、普段の雪菜先輩と比べて確かに上機嫌に見える。
そもそも不機嫌な現場を見たことない気がするけれど。あっても、怒ったり拗ねたりしてるくらいで。
「ココア買いに来たんですか?」
「うーん。そうだったんだけどね。最近ココアばかりだから、たまにはコーヒーにしようかなって」
「苦いのお得意でしたっけ?」
興味本位で訊いてみると、雪菜先輩は少し恥ずかしそうに目を逸らした。無糖の紅茶は飲んだりしていたが、コーヒーの苦味は別の問題らしい。かくいう私も、ブラックコーヒーを飲む自信はない。
「ほら、缶コーヒーって微糖でも結構甘いから」
「確かにそうですね。雪菜先輩好みのコーヒーは多いかもしれません」
そこから少し迷い、最終的に雪菜先輩は青い缶の微糖コーヒーを購入した。私もその後にココアを三缶連続で購入する。ペットボトルのものも何故か置いてあるのだが、缶より少し割高だ。
偶然とはいえ雪菜先輩に会えたんだし、例の話、少し訊いてみよう。
「あの、雪菜先ーー」
「ゆきな~ん、遅い~。って、琉歌ちゃん」
話を切り出そうとすると、振って湧いたように命先輩が雪菜先輩の背中に飛びついた。雪菜先輩は慣れっこなようで、少しよろけこそしたものの、普通に受け止めていた。
体感結構強いよね、雪菜先輩。
「ハロ~。今日もキュートだね~。またお菓子作ってくれたの~?」
「がめついぞ、命。この前体重増えたの気にしてただろ」
「あはは。作る予定は建てているので、お待ちいただければ」
命先輩は笑顔で喜びながら、雪菜先輩に太ると言われたことが気に入らなかったのか背中に乗りながら雪菜先輩の頬をつねっている。
言っちゃいけないこと言ったからなのか、素直に受け入れてるなぁ。
「それで……。さっき何か言おうとしてなかった?」
「あ、えっと。先輩たちに訊きたいことがあって。前に、私似た生徒っていましたか?」
急に話が戻ってきたことに驚いて、前置きなしで本題に入ってしまった。先輩たちも質問の意図がわからないようで、互いに一度見つめ合うと、私の方に顔を向け首を傾げていた。命先輩に至っては、雪菜先輩から降りて天を仰いでいる。
そういう反応になりますよね。私だってそうなりますし。
「その、沙穂さんから昔の雪菜先輩と私が似てるって言われたので」
「あー、それならなんとなくわかる」
逃げ道として沙穂さんが言っていたらしいことを話すと、命先輩はあっさりと納得した。雪菜先輩は変わらず首を傾げている。
「なんだろ。世話焼きな感じ? あと遠慮しいとこ~」
そこまで言うと命先輩は私の後方に周り抱きついて、「琉歌ちゃんのが素直だけどね~」と付け加えた。雪菜先輩もその自覚はあるようで、苦い顔で黙っている。先日、沙穂さんに指摘された分余計に実感しているのだろう。
つい話題を逸らしてしまったけれど、パッと出てくるようなことはないか。それなら、この学校の生徒じゃない? それとも、寝ぼけて間違えただけで似ていないとか。
「ありがとうございます。雪菜先輩ほど努力家ではないので、身に余る言葉が気になっただけなんです」
そう言って私は命先輩のハグから抜け出し、教室へと戻って行った。振り返って一礼すると、雪菜先輩は小さく、命先輩は両手で大きく手を振って見送ってくれた。
結局、誰なんだろう。「おしえ」って。
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