BloodyHeart

真代 衣織

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朗報

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「今日は飲まなきゃやってらんねぇと思ったけど、合コンきたーっ!」
 アイスボックスの入ったレモンサワーを飲み、伊吹は浮かれ上がった。
「伊吹さん、志保さんいるでしょ? アンタは誘っていません」
 横から旭が言葉を刺す。
「合コン行くぐれぇ、志保は文句言わないって。なっちーも行こうよ? 女は好きじゃなくっても酒は好きだろ?」
 悪びれずに伊吹は言葉を返す。那智に問い掛けた。
「はい、行きますよ」
 五人で居酒屋に来た為、那智は伊吹の隣、上座位置に座っている。和やかに即答し、那智は参加を決めた。
「大丈夫? そしたらなっちーに全部持ってかれちゃわない?」
 旭の向かいに座る三宅豊が口を挟む。サラダを食べ、中ジョッキに注がれた生ビールを美味しそうに飲んだ。
「若林君も行こうよ?」
 向かいに座る若林も伊吹は誘う。
 若林は捜査会議に参加していた一番若い警察官だ。
『今日は飲まなきゃやってられないでしょ?』
 そう声を掛け、伊吹が居酒屋に誘っていた。
「私は同性愛者ですから、その心配は要りませんよ」
 三宅豊の心配を那智は打ち消す。
「なっちーがそうでも相手が惚れそう。慶応出だし、優男風イケメンで、世の女が一番結婚したいタイプだし……。あぁ結婚したい」
 嘆くように三宅豊は願望を言う。
「えっ、同性愛者なんですか?」
 初耳にも関わらず、平然とする三宅豊に反し、若林は驚いている。
「はい。にいや君も東工大じゃないですか?」
 笑みを崩さずに那智は認め、三宅豊の方を向く。コップに注がれた焼酎を飲む。
「偏差値の割りに知名度イマイチなんだよ。あの大学は……」
 軽く自嘲し、三宅豊はサラダを食べる。
「えっ、外部入隊なんですか? 体格良いのに……」
 又しても若林には驚く情報だった。
「ずっとサッカーやってたからね」
 三宅豊は少し物哀しそうに言った。
 若林よりも三宅豊は二センチ身長が高い、百七十七センチだ。身体つきは筋肉質で引き締まっている。
 対イーブル軍の非戦闘部隊は外部からも人員を募集している。
 だが、戦闘を想定した訓練があり、相応な体力が必要になる為、外部入隊希望者は少ない。
「——御注文、下げるお皿等は御座いますか?」
 接客ロボットが五人の座敷前に来た。
 伊吹が対応する。
 那智が端に寄せていたグラスと皿をロボットの腹に入れる。
「えっと、レモンサワーと……。旭はジーマ? コーラ?」
「まだ酔いたくないから、コーラ」
「俺、生っ」
 旭に続いて三宅豊も注文を言う。
「なっちーは焼酎大ジョッキ?」
「注文出来ないでしょう。同じストレートで」
 ふざけた伊吹に笑って那智は注文をする。
「若林君は?」
「すみません。同じウーロン茶で」
 遠慮を表に若林は注文を頼んだ。
「同い年なんだからさ、敬語はいいよ」
 適当に食事を注文し、ロボットを見送った後、伊吹は振り向いて若林を気遣った。
「そうそう、俺も歳近いし」
 三宅豊も気遣う。隣にいる若林の肩を叩く。
「にいや、今年三十三だろっ?」
 近くないと旭は指摘している。
「近いって事にしといてよ」
 三宅豊は若く見られたかった。
「えっ? 三宅部長、若く見えますね」
 年齢を聞き、若林は更に遠慮を見せる。
「にいやでいいよ。部長って言われると照れる」
 言いながら、三宅豊はトングで手羽先を取る。若林の取り皿と自身の取り皿に置いた。
「すみません。三宅部長、お名前は?」
「豊」
「何でにいやなんですか?」
「にいやっぽいから」
 自覚している印象を三宅豊は自ら口にする。
「兄貴ってガラじゃないし。イメージにぴったりじゃん」
 部署の違う旭も認めている。
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