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最強とは?
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外は夕陽に赤く照らされている。既に対イーブル軍はドラキュラ達を一掃していた。
敷地内では、瓦礫の撤去に遺体回収、清掃と自衛隊が後始末に追われている。
全て横田隊長の指示だ。
『不測の事態に対応するべく来たなら、後始末は自衛隊の仕事だ』
そう厳しく横田隊長は命じていた。
「くそっ! これじゃ二週間は帰れねぇ——」
さすがの重労働に、自衛隊の中隊長は不満が漏れる。
瓦礫の撤去だけでも、かなりの重労働が予想されている。
一番楽な選択をしたつもりが、断トツで長い労働を強いられる事になってしまった。
だが、対イーブル軍に協力した三人は、報告書の作成に必要と言われ帰還する事になった。これも横田隊長の指示だ。
「この後に修復もあるんで、早急に終わらせて頂けませんか?」
「分かってるから、今やってんだろっ⁉︎」
上司に言われ、忠告を言いに来た若い作業員に、自衛隊の中隊長は当たり散らす。
その光景を見ている那智は、何時もの穏和な笑みより、とても楽しそうに微笑んでいた。
「結城君、今回は本当にごめんね」
申し訳なさそうな顔で近付き、横田隊長は腰低く謝罪する。
「いえ、横田隊長。緊急事態事案が通りましたから、お気になさらず——。それに、板挟みに遭っていた事くらい想像出来てますよ」
「よかった——。分かってくれるんだね」
何時も通りの穏和さに、横田隊長は心から安堵する。
「ですが、命令に従う部下としては、自身の隊員を一番に考えて頂きたいと願います」
「そうだよね。本当にその通りだよね」
心が痛む指摘だ。
「あ、あの……結城君。それで、私が嫌になったとかはないよね?」
「何を言ってらっしゃいますか? 着任早々、私を異例の若さで副隊長に任命して下さった。なのに私は、警察部隊への異動を申し出た。その時、副隊長の任も解かずに、特別に掛け持ちを許可して下さった方——。一生感謝する上官を、嫌いになる訳ありません」
敬意を窺える言葉を那智は並べた。
特殊遊撃部隊が最強である為に、横田隊長は那智がどうして右腕に欲しかった。
最難関の危機対応の為には、年齢など気にしていられない。当時、既に最強であり頭も切れる那智を、横田隊長は自身の傍らに置きたかったのだ。
よかった——。
舞い上がる喜びを、横田隊長は満面の笑顔で見せた。
「ありがとう。結城君、嬉しいよっ。これからも宜しくね」
横田隊長は、那智の右手を取り、溢れる喜びを両手の熱い握手に込める。
「では、失礼致します」
握手が解かれ、那智は一礼して背中を向けた。
気に食わんのは、縋るその目や。
縋り付かれておったら、上には行けへん。
胸中で那智は断言する。
横田隊長に背を向け、那智が行く先は羽月の元だ。
「那智、行くぞ」
声を掛けた羽月のそばには、伊吹と旭にリリアがいる。
「なっちーも牛角行くよな?」
「はいっ。私も行きますよ」
伊吹の問いに心からの笑顔で那智は返事をする。
何故、那智が最強であるのかはいうまでもない。
果てなく上を目指し続ける上昇志向が、最強の強さへと導くからだ。
敷地内では、瓦礫の撤去に遺体回収、清掃と自衛隊が後始末に追われている。
全て横田隊長の指示だ。
『不測の事態に対応するべく来たなら、後始末は自衛隊の仕事だ』
そう厳しく横田隊長は命じていた。
「くそっ! これじゃ二週間は帰れねぇ——」
さすがの重労働に、自衛隊の中隊長は不満が漏れる。
瓦礫の撤去だけでも、かなりの重労働が予想されている。
一番楽な選択をしたつもりが、断トツで長い労働を強いられる事になってしまった。
だが、対イーブル軍に協力した三人は、報告書の作成に必要と言われ帰還する事になった。これも横田隊長の指示だ。
「この後に修復もあるんで、早急に終わらせて頂けませんか?」
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その光景を見ている那智は、何時もの穏和な笑みより、とても楽しそうに微笑んでいた。
「結城君、今回は本当にごめんね」
申し訳なさそうな顔で近付き、横田隊長は腰低く謝罪する。
「いえ、横田隊長。緊急事態事案が通りましたから、お気になさらず——。それに、板挟みに遭っていた事くらい想像出来てますよ」
「よかった——。分かってくれるんだね」
何時も通りの穏和さに、横田隊長は心から安堵する。
「ですが、命令に従う部下としては、自身の隊員を一番に考えて頂きたいと願います」
「そうだよね。本当にその通りだよね」
心が痛む指摘だ。
「あ、あの……結城君。それで、私が嫌になったとかはないよね?」
「何を言ってらっしゃいますか? 着任早々、私を異例の若さで副隊長に任命して下さった。なのに私は、警察部隊への異動を申し出た。その時、副隊長の任も解かずに、特別に掛け持ちを許可して下さった方——。一生感謝する上官を、嫌いになる訳ありません」
敬意を窺える言葉を那智は並べた。
特殊遊撃部隊が最強である為に、横田隊長は那智がどうして右腕に欲しかった。
最難関の危機対応の為には、年齢など気にしていられない。当時、既に最強であり頭も切れる那智を、横田隊長は自身の傍らに置きたかったのだ。
よかった——。
舞い上がる喜びを、横田隊長は満面の笑顔で見せた。
「ありがとう。結城君、嬉しいよっ。これからも宜しくね」
横田隊長は、那智の右手を取り、溢れる喜びを両手の熱い握手に込める。
「では、失礼致します」
握手が解かれ、那智は一礼して背中を向けた。
気に食わんのは、縋るその目や。
縋り付かれておったら、上には行けへん。
胸中で那智は断言する。
横田隊長に背を向け、那智が行く先は羽月の元だ。
「那智、行くぞ」
声を掛けた羽月のそばには、伊吹と旭にリリアがいる。
「なっちーも牛角行くよな?」
「はいっ。私も行きますよ」
伊吹の問いに心からの笑顔で那智は返事をする。
何故、那智が最強であるのかはいうまでもない。
果てなく上を目指し続ける上昇志向が、最強の強さへと導くからだ。
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