29 / 133
王女の日常
しおりを挟む
サキュバス王国に帰ったリリア王女は日常を取り戻していた。
朝食後に、メイド達と一緒に城内を掃除する。
秋葉原で購入した最新家電により以前とは違う。元々使っていた自動掃除機と違い、階段と細部も掃除出来る為、家具や家電を拭くだけで済む。一番大変だった大浴場の清掃も、自動風呂掃除機により備品を拭くだけで済んだ。
母であるサファイアに、メイドは手伝いが仕事、自分で出来る事は自分でと躾けられている。リリアとソフィアは、普段からメイド達と一緒に掃除をするのが日課だった。
購入した最新家電の中で、一番に皆を感動させた家電は、クリーニングメイトという家電だ。
縦、横ニメートル、幅七十センチの大きさで、一見はクローゼットのクリーニング家電。この家電は、アイロン掛けに除菌と高温乾燥が出来る。布団を干す必要も無くなり、皆で使って歓喜した。
以前と同じく、リリアは専属料理人と一緒に食事を作る。食べる時は、メイドと料理人も一緒のテーブルつく。ソフィアが、料理人とメイド達を友達と思っているからだ。主従関係がない様に普段から楽しく談笑している。
ソフィアは、誰に対しても友達の様に接して偉そうにしない。リリアが一番好きなところだ。
——夕方になり、リリア王女は学力確認の為に自室で試験を受けさせられた。
「問題ないですね。論文を含め、全部満点です」
採点を終えた専属の家庭教師が淡々と言う。
「はぁー。よかった」
安堵し、リリア王女は机に突っ伏した。
「問題なく留学出来ますね」
「監禁時も許しを得て、勉強と料理はさせてもらいましたから」
この家庭教師は誘拐されていた事実を知っている。
「何もないと廃人になる。脳は使わないと退化しますから正しい判断です」
「でも、勉強より料理の方が役に立ちました。皆んなが喜んでくれた事を思い出すと元気が湧いてきたんです」
「料理は前進しか出来ませんからね。正しい判断です」
淡々としていた家庭教師が不意にリリア王女の頭を撫でた。
突然、憂いを帯びて表情が変化する。
「——リリア様っ! やっと会えたぁ」
強く抱き締められた。家庭教師の目には涙が浮かんでいる。
「……私も、ずっと会いたかった」
リリア王女も抱き締め返す。
二人して涙腺が緩んだ。涙が頬を伝い落ちていく。
サファイア・テレジア女王に、決して甘やかさないようにと言われ、ずっと厳しく接してきた。それでも、必ず熱心に授業を受け話しを真剣に聞く。どれだけ厳しくしても頑張る。表には出さなかったが家庭教師はリリア王女が大好きだった。
リリア王女も大好きだった。自分の為に、厳しく接していると分かっているから、厳しさを受け入れ頑張ってこれた。
互いの思いを受け止めたくて抱擁は時を止めるように続いた。
朝食後に、メイド達と一緒に城内を掃除する。
秋葉原で購入した最新家電により以前とは違う。元々使っていた自動掃除機と違い、階段と細部も掃除出来る為、家具や家電を拭くだけで済む。一番大変だった大浴場の清掃も、自動風呂掃除機により備品を拭くだけで済んだ。
母であるサファイアに、メイドは手伝いが仕事、自分で出来る事は自分でと躾けられている。リリアとソフィアは、普段からメイド達と一緒に掃除をするのが日課だった。
購入した最新家電の中で、一番に皆を感動させた家電は、クリーニングメイトという家電だ。
縦、横ニメートル、幅七十センチの大きさで、一見はクローゼットのクリーニング家電。この家電は、アイロン掛けに除菌と高温乾燥が出来る。布団を干す必要も無くなり、皆で使って歓喜した。
以前と同じく、リリアは専属料理人と一緒に食事を作る。食べる時は、メイドと料理人も一緒のテーブルつく。ソフィアが、料理人とメイド達を友達と思っているからだ。主従関係がない様に普段から楽しく談笑している。
ソフィアは、誰に対しても友達の様に接して偉そうにしない。リリアが一番好きなところだ。
——夕方になり、リリア王女は学力確認の為に自室で試験を受けさせられた。
「問題ないですね。論文を含め、全部満点です」
採点を終えた専属の家庭教師が淡々と言う。
「はぁー。よかった」
安堵し、リリア王女は机に突っ伏した。
「問題なく留学出来ますね」
「監禁時も許しを得て、勉強と料理はさせてもらいましたから」
この家庭教師は誘拐されていた事実を知っている。
「何もないと廃人になる。脳は使わないと退化しますから正しい判断です」
「でも、勉強より料理の方が役に立ちました。皆んなが喜んでくれた事を思い出すと元気が湧いてきたんです」
「料理は前進しか出来ませんからね。正しい判断です」
淡々としていた家庭教師が不意にリリア王女の頭を撫でた。
突然、憂いを帯びて表情が変化する。
「——リリア様っ! やっと会えたぁ」
強く抱き締められた。家庭教師の目には涙が浮かんでいる。
「……私も、ずっと会いたかった」
リリア王女も抱き締め返す。
二人して涙腺が緩んだ。涙が頬を伝い落ちていく。
サファイア・テレジア女王に、決して甘やかさないようにと言われ、ずっと厳しく接してきた。それでも、必ず熱心に授業を受け話しを真剣に聞く。どれだけ厳しくしても頑張る。表には出さなかったが家庭教師はリリア王女が大好きだった。
リリア王女も大好きだった。自分の為に、厳しく接していると分かっているから、厳しさを受け入れ頑張ってこれた。
互いの思いを受け止めたくて抱擁は時を止めるように続いた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
札束艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
生まれついての勝負師。
あるいは、根っからのギャンブラー。
札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。
時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。
そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。
亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。
戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。
マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。
マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。
高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。
科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる