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流血の悪夢
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「やったなっ! どさくさまぎれに血と金が盗めた」
「隊長が隠してたゲートキー、一個盗んだ私が一番の勝者だね。私、凄い! 偉い!」
「やるよなっ。これで税関突破出来る」
男三人と女一人のドラキュラ四人組は、逃げられると確信していた。
ドラキュラ帝国では人間界とを繋ぐ駅で、帰還時に軍人だけに配られる通行証を提示するか、他国の五倍する通行料、もしくは同額分の血を提出する決まりになっている。行きは何も必要なく自由だ。
ドラキュラ帝国以外の国では、行きに往復の通行料を払い、外務省が発行した通行証を提示する。通行証の発行は、申請書が受理された場合に限られ、滞在日数及び行動範囲も制限される。
「さぁて、行くかっ」
リーダー格の男は斧に鎖で繋いだ、棘の生えた大きな鉄球を振り回した。
「うわっ‼︎」
「きゃぁっ‼︎」
四人の足元に銃弾が散らばる。
「——よう、外道供。逃してやる訳ねぇだろ。てめぇらは地獄のゲートを開けたんだ」
幾つかの照明が壊れた地下道を羽月が歩き迫る。色白な顔を、薄暗い灯が不気味に照らしている。
近付く足音に、四人全員が本能で恐れた。
姿を見せた男が、狂気の意味を否応なく分からせる。
狂気とは何でも出来る事だ。
歯止めを失い、破壊の限りを尽くしていく——。
全てが壊れ、何も失くなるまで……。破壊は決して止まりはしない。
「な、何怯んでいるだっ⁉︎ たっ、たった一人だぞっ! 掛かれっ‼︎」
自らを鼓舞する様に、リーダー格の男は怒鳴り命じる。
左側にいる男が、無数の血刃を現し、両手を前に向けて放つ
左手のグローブからシールドを出し、羽月は防いだ。
右側の男が、飛び掛かり剣をシールドに振り下ろした。瞬間に、シールドが消える。
羽月は左側にいた男の腕を掴み、三人に叩き付けた。
投げながら、抜いたゴッドスターを二発撃ち、男二人の腹を破裂させた。
マシンピストルと刃ではシールドは破れない。剣撃でも、かなりの威力が必要になる。人間が持っている武器で、シールドを破れるのはゴッドスターだけだ。
右側にいた男を盾にし、弾丸を避けたリーダー格の男が立ち上がる。
「な、ナメんなよっ! こ、これはゴッドスターじゃ壊せないぞ! 特注品の鉄球だっ‼︎」
怒鳴り、斧に付いた鉄球を振り回す。
「ほう——。そうか」
挑発する様な言葉を漏らし、馬鹿にした様な薄笑みを羽月は向けた。
振り回される鉄球を、羽月は二回避けた後、ゴッドスターで鎖を撃った。
派手な音を立てて、鎖の外れた鉄球が転がる。
「……っ⁉︎」
鉄球の失くなった斧を、リーダー格の男は茫然と見た……。
瞬間だった。
羽月は、ゴッドスターを一発撃った。
「教えてくれて、ありがとな」
武器を持った右腕が、二本飛んでいく。
羽月は一発の弾丸で、リーダー格の男の右腕と、その後ろにいた女の右腕を脇の側から欠損させた。
対象の強度にもよるが、ゴッドスターは距離が近ければ同時に爆破が可能だ。
「強盗と強姦に、憂さ晴らしに王女を集団リンチ——。代償は、てめぇらの断末魔だ」
持て余す狂気が分かり易い顔で、羽月はリーダー格の男を容赦無く踏み付ける。爆破され、流血している傷口をだ。
耐え切れない悲鳴が地下道に響き渡る。
ゴッドスターは弾薬が爆発する為、マシンピストルや他の銃と違い排莢は出ない。
「おっ、王女が戦っているんでしょっ⁉︎ そんな事してる暇はないよっ‼︎」
震え上がる女が、もっともな事を怒鳴った。
直後、顎を蹴り飛ばされ気管を爆破された。女の口から血が噴き出す。
魔人は、ゴッドスターで急所を撃たれた場合、即死が出来ない。二十分前後の間、治癒も出来ずに苦しみ続けて死ぬ。
「——あめぇよ。これだけじゃ足りねぇな。苦しむのも、震え上がるのも、これからだ」
乾いた表情を見せ、羽月は言い捨てる。
腰のボディーバッグに付いた、魔界製のアーミーナイフを取り、振って鋭利な刃を出した。刃は折りたたみ時より、一・五倍長い。
羽月は、そのナイフを男の右目に深く突き刺す。
グリグリと掻き混ぜられ、リーダー格の男は悶え苦しむ。
飛び散る返り血が、羽月の無表情な顔に掛かる。
狂気の沙汰を目にした三人は、自らにも襲い掛かるであろう悶絶必死に、悲鳴を上げて震えるしかなかった。
「隊長が隠してたゲートキー、一個盗んだ私が一番の勝者だね。私、凄い! 偉い!」
「やるよなっ。これで税関突破出来る」
男三人と女一人のドラキュラ四人組は、逃げられると確信していた。
ドラキュラ帝国では人間界とを繋ぐ駅で、帰還時に軍人だけに配られる通行証を提示するか、他国の五倍する通行料、もしくは同額分の血を提出する決まりになっている。行きは何も必要なく自由だ。
ドラキュラ帝国以外の国では、行きに往復の通行料を払い、外務省が発行した通行証を提示する。通行証の発行は、申請書が受理された場合に限られ、滞在日数及び行動範囲も制限される。
「さぁて、行くかっ」
リーダー格の男は斧に鎖で繋いだ、棘の生えた大きな鉄球を振り回した。
「うわっ‼︎」
「きゃぁっ‼︎」
四人の足元に銃弾が散らばる。
「——よう、外道供。逃してやる訳ねぇだろ。てめぇらは地獄のゲートを開けたんだ」
幾つかの照明が壊れた地下道を羽月が歩き迫る。色白な顔を、薄暗い灯が不気味に照らしている。
近付く足音に、四人全員が本能で恐れた。
姿を見せた男が、狂気の意味を否応なく分からせる。
狂気とは何でも出来る事だ。
歯止めを失い、破壊の限りを尽くしていく——。
全てが壊れ、何も失くなるまで……。破壊は決して止まりはしない。
「な、何怯んでいるだっ⁉︎ たっ、たった一人だぞっ! 掛かれっ‼︎」
自らを鼓舞する様に、リーダー格の男は怒鳴り命じる。
左側にいる男が、無数の血刃を現し、両手を前に向けて放つ
左手のグローブからシールドを出し、羽月は防いだ。
右側の男が、飛び掛かり剣をシールドに振り下ろした。瞬間に、シールドが消える。
羽月は左側にいた男の腕を掴み、三人に叩き付けた。
投げながら、抜いたゴッドスターを二発撃ち、男二人の腹を破裂させた。
マシンピストルと刃ではシールドは破れない。剣撃でも、かなりの威力が必要になる。人間が持っている武器で、シールドを破れるのはゴッドスターだけだ。
右側にいた男を盾にし、弾丸を避けたリーダー格の男が立ち上がる。
「な、ナメんなよっ! こ、これはゴッドスターじゃ壊せないぞ! 特注品の鉄球だっ‼︎」
怒鳴り、斧に付いた鉄球を振り回す。
「ほう——。そうか」
挑発する様な言葉を漏らし、馬鹿にした様な薄笑みを羽月は向けた。
振り回される鉄球を、羽月は二回避けた後、ゴッドスターで鎖を撃った。
派手な音を立てて、鎖の外れた鉄球が転がる。
「……っ⁉︎」
鉄球の失くなった斧を、リーダー格の男は茫然と見た……。
瞬間だった。
羽月は、ゴッドスターを一発撃った。
「教えてくれて、ありがとな」
武器を持った右腕が、二本飛んでいく。
羽月は一発の弾丸で、リーダー格の男の右腕と、その後ろにいた女の右腕を脇の側から欠損させた。
対象の強度にもよるが、ゴッドスターは距離が近ければ同時に爆破が可能だ。
「強盗と強姦に、憂さ晴らしに王女を集団リンチ——。代償は、てめぇらの断末魔だ」
持て余す狂気が分かり易い顔で、羽月はリーダー格の男を容赦無く踏み付ける。爆破され、流血している傷口をだ。
耐え切れない悲鳴が地下道に響き渡る。
ゴッドスターは弾薬が爆発する為、マシンピストルや他の銃と違い排莢は出ない。
「おっ、王女が戦っているんでしょっ⁉︎ そんな事してる暇はないよっ‼︎」
震え上がる女が、もっともな事を怒鳴った。
直後、顎を蹴り飛ばされ気管を爆破された。女の口から血が噴き出す。
魔人は、ゴッドスターで急所を撃たれた場合、即死が出来ない。二十分前後の間、治癒も出来ずに苦しみ続けて死ぬ。
「——あめぇよ。これだけじゃ足りねぇな。苦しむのも、震え上がるのも、これからだ」
乾いた表情を見せ、羽月は言い捨てる。
腰のボディーバッグに付いた、魔界製のアーミーナイフを取り、振って鋭利な刃を出した。刃は折りたたみ時より、一・五倍長い。
羽月は、そのナイフを男の右目に深く突き刺す。
グリグリと掻き混ぜられ、リーダー格の男は悶え苦しむ。
飛び散る返り血が、羽月の無表情な顔に掛かる。
狂気の沙汰を目にした三人は、自らにも襲い掛かるであろう悶絶必死に、悲鳴を上げて震えるしかなかった。
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