初恋

桜 詩

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駆け足の時

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キースと出逢い過ごした春と夏。

その短い期間はレオノーラにとって、楽しくもあり、そして男女の差を身を持って解らせた、そんな想い出だった。

キースたちには女だと告げないまま別れていた。それは、レオとして覚えておいてもらいたかったからだ。レオノーラはあの仲間でいたかった。女の子のレオノーラは、仲間になれなかったと思うから…。

そして、8年後レオノーラが近衛騎士という道を選択して働きだしたところ、キースはわざわざ会いに来てくれた。

キースはすっかりと荒っぽい少年の面影は失せて、すっかり洗練された貴公子となってレオノーラの元に現れたのだった。

王宮で務めていたレオノーラにも、キースの噂は届いていた。
かなりの令嬢たちが彼に、求婚をしてほしいと望んでいるという事を。
だから。すでに道を別にしたレオノーラとキースに接点が再び訪れるとは本当に想像もしていなかったのだ…。

その後も、レオノーラとキースは時々王宮で会うこともあったが、あくまでレオノーラは勤務中。私語はなかった。

きっかけはルナとフェリクスか…。
ルナがフェリクスとの仲が取りざたされる噂が流れて、レオノーラはフェリクスに会いにウィンスレット邸を訪ねたのだ。フェリクスがちょうど外出していた為に、レオノーラを出迎えたのはフェリクスの友人であるキースだった。

それが再び会うきっかけ…その後、なぜか言いくるめられて9年ぶりにドレスをきて、キースのエスコートで一緒に舞踏会に行った…ルナの噂を消すために。

レオノーラのエスコートをしたキースは完璧な貴公子だったし、でもその一回きりで終わると思っていたのだ。
しかし、レオノーラにとってみれば、ヒールを履いてそれよりも高い身長のキースは貴重な存在だった。
背の高いレオノーラはヒールを履くとどうしても男性と同じくらいか、少し上回ってしまう。
長身の二人でいると、その容姿からも目立ってしまって仕方なかった。キースも目立つが、レオノーラ自身も自慢ではないが美貌の騎士と呼ばれていて、その自覚はあった。
そのお陰で狙い通りルナの噂が終息に向かったのは本当に良かった。

で…少しの後の事…なぜか当然の求婚。
わからない!
キースはなぜかレオノーラに求婚した。どこでそんな風に思ったのやら…

なのにそんなレオノーラの混乱を他所に、レオノーラとキースの婚約は成立し、婚礼まで一直線だった。

慌ただしく過ぎ行く中で、レオノーラはキースとゆっくり話す機会がないまま、婚礼の日を迎える事になってしまったのだ…!

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