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第4章:新しいキャリア
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香澄が目を覚ますと、隣には誰も居なかった。
花連のぬくもりを探してみたが、ベッドには自分の体温しか残っていない。
部屋を見回すとローテーブルの上に、一枚のメモが残されていた。
ベッドから降りた香澄がメモを手に取り、目を通す。
『頑張ってね!』という、シンプルなメッセージ。
どうやら花連は早起きして、この部屋から居なくなってしまったらしい。
時計を見ると午前七時。出勤まで時間はある。
香澄はスマホを手に取り、初めて自分で晴臣にメッセージを送る。
香澄:朝食、サンドイッチをお願いできますか。
晴臣:うん、わかった。すぐ持っていくね。
たったそれだけで、もう部屋に花連が居ないのだと実感してしまう。
今までは『香澄ー! 何食べるー?』という声が響いてきた時間だ。
胸の喪失感を埋めるように、香澄は顔を洗いに洗面台に向かった。
****
インターホンが鳴り、モニターを確認してから玄関へ行き、ドアを開ける。
ドアの向こうでは晴臣が、いつものように微笑んで紙袋を持っていた。
「はい、オーダーのサンドイッチ。
今日は頑張ってね」
香澄も微笑みを返して紙袋を受け取る――いつもより、瓶牛乳一本分ほど軽かった。
「ありがとう、マスター」
「どういたしまして」
晴臣が軽やかに手を振り、去っていく。
香澄はドアを閉めると、紙袋の中身を確認する。
コーヒーの紙コップがひとつと、サンドイッチが一人前。
花連が居ないことを突き付けられながら、香澄は朝食を済ませていった。
久しぶりに化粧を施し、スラックスを履く。
ジャケットを羽織り、ショルダーバッグの中身を点検していく。
すぐに取りに帰ってこれるとはいえ初出勤だ。
気を引き締めて準備をしてから時計を見る――午前九時前。
香澄は九時に間に合うように家を出て、エレベーターで三階に向かった。
****
エレベーターを降りると、オフィスのドアの前で烏頭目が待っていた。
「おはようなのです!
今日も元気に行くですよ!
一言でいえば、『最初が肝心』です!」
「はい、烏頭目さん。わかってます」
烏頭目がアンロックし、ドアを開ける。
その背中に続いて香澄はオフィスの中に入っていった。
応接室に通された香澄の前に、烏頭目が書類を置いた。
「それに署名と印鑑をくださいです!
他の手続きはもう終わっているので、それで正式に入社が決まるです!」
雇用契約書と書かれた書類に署名捺印をし、烏頭目に返す。
「これでいいですか?」
烏頭目が書類を確認してから笑顔で告げる。
「はい! 大丈夫です!
あとでスマートロック用のセキュリティキーを教えるです!
今後はいつでも好きなように入ってくるといいです!」
香澄が目を瞬かせて尋ねる。
「このオフィス、セキュリティはどうなってるんですか?」
「『あやかし』関係の警備業者がビルを見張ってるです!
一言でいえば、オーナーの経営する会社のひとつです!」
ということは、この『マヨヒガ』という場所は、『あやかし』関係者のみで全てが構築されているのだろう。
ここに入社した以上、もう香澄もその『あやかし』関係者になったのだ。
奇妙な連帯感を持ちながら、香澄が告げる。
「烏頭目さんは何時ごろに出社してるんですか?」
「私は九時にはオフィスにいますですよ?
リモートワークしたければ、申請すれば対応しますです!
でも貸与しているノートPCより、オフィスのPCの方が快適ですよ?」
烏頭目が説明しながら、社員証をテーブルに置いた。
「そちらはカードキーになってますです!
ストラップで首から下げておくといいです!」
カードケースに入った社員証を手に取ると、熱海旅行で撮影されたらしき香澄の笑顔が映っていた。
――何もこんな写真を使わなくてもいいのに。
クスリと笑みを漏らしながら、青いストラップを首にかけた。
一か月ぶりの社員証から、じんわりと温かいものを感じた。
烏頭目が立ち上がって告げる。
「席に案内しますです!」
香澄もうなずいて立ち上がり、烏頭目のあとに続いた。
****
香澄の席は、湖八音の隣だった。
新しいパーティーション付きの広い机が置いてあり、大型のタワーPCが足元に置いてある。
広い机の上にはモニターが二枚置いてあり、アカウントを記した付箋紙が張りつけられていた。
「セットアップは終えてあるので、あとは好みに調整してくださいです!
十時になったら案件の説明を始めますのです!」
それだけ言うと、烏頭目は自分の席に戻っていった。
香澄は長い背もたれの椅子に腰を下ろし、その弾力性に目を見開いた。
「なんですかこれ、すごいクッションが効いてるんですけど」
隣の席から湖八音が顔を出し、真顔で告げる。
「椅子は良いものを使う――デスクワークの定石です。
腰を悪くしてから後悔しても、遅いですから」
「はぁ……」
戸惑いながらPCを立ち上げ、ログインする。
今まで体験したことが無いほどのレスポンスの良さに、思わず湖八音に尋ねる。
「これ、いくらぐらいのPCなんですか?」
「PCというのは不正確ですね。
ワークステーションといいます。
百万円程度の安物ですよ」
値段を聞いて、香澄が目を見開いた。
「百万円が安物って、どういうことですか?!」
「黄原が使ってるワークステーションは三百万円ほどします。
それに比べたら半分以下です」
「何がどうなったら、そんなに高くなるんですか……」
湖八音がフッと笑みをこぼして告げる。
「クリエイティブ分野というのは、それくらいスペックを必要とします。
青天井と言って、欲を言えば切りが無くなります。
所詮は企業の固定資産なので、値段なんて気にしなくていいですよ」
呆然としながら、香澄はハードウェアを確認してみる。
画面には見たことも聞いたこともないようなモデル名が並んでいた。
――これがワークステーションなのか。
香澄がぽつりと告げる。
「こんなすごいスペック、何に使うんですかね……」
隣の席から湖八音の声が返ってくる。
「主にレンダリングですね。
映像制作の世界では、数千万円のクラスターサーバーを組むこともあります。
それに比べたら安物のシステムですよ」
異世界の金銭感覚にくらくらしながら、香澄は環境をセットアップしていった。
****
十時になり、烏頭目が椅子を持って香澄の席にやってきた。
「それでは水無瀬さんに任せる案件の話をしますです!
耳の穴をかっぽじってよく聞くと良いです!」
香澄がうなずくと、烏頭目が指示を飛ばしていく。
指示通りにファイルサーバーを開いて行き、そこからフォルダをデスクトップにコピーした。
「それが今回のキャラクターデザインとなりますです!
一日が終わったら、さっきのフォルダに日付の名前でフォルダを作ってデータをコピーしてくださいです!
決してローカルで保持して帰る真似はしないでくださいです!」
「あの……バージョン管理システムは使わないんですか?」
「バイナリファイルは差分を取れるわけでもないです!
我が社みたいな小規模のオフィスなら日付管理で充分なのです!
LFSを入れてもいいですが、システムが膨れ上がるだけで恩恵は少ないのです!」
元システムエンジニアの香澄には、中々のカルチャーショックだ。
今どき、バージョン管理システムすら使わないで作業をすることに心細さすら感じていた。
「バックアップはどうなってるんですか?」
「それは毎日走ってますですよ?
一か月分は巻き戻せますから、安心しておくといいです!」
香澄は密かに胸を撫で下ろした。
そこまで無関心という訳ではないらしい。
効率を考えた結果の最適化が、今の運用なのだろう。
烏頭目が元気よく告げる。
「ではキャラデザを開いてくださいです!」
香澄が画像ファイルを開くと、女の子の三面図が表示された。
どこかの地方系ゆるキャラのような、特産品を見にまとった女の子だ。
烏頭目が香澄に告げる。
「今回のは、自治体の依頼によるものなのです!
正確にはPR映像製作を請け負った会社からの発注なのです!
来春からプロジェクトがスタートなので、それまでに間に合えばオーケーなのです!」
香澄が不安げに眉をひそめて尋ねる。
「私に、作れますかね」
烏頭目が笑顔で応える。
「問題ないのです!
年内は私がメンターとしてサポートしますです!
それまでに業務の感覚を掴んで欲しいのです!」
香澄はうなずくと、強い眼差しで画面を見つめた。
――今度はこの子に、命を吹き込むんだ。
モデリング用のアプリを立ち上げ、香澄は画面に向かった。
花連のぬくもりを探してみたが、ベッドには自分の体温しか残っていない。
部屋を見回すとローテーブルの上に、一枚のメモが残されていた。
ベッドから降りた香澄がメモを手に取り、目を通す。
『頑張ってね!』という、シンプルなメッセージ。
どうやら花連は早起きして、この部屋から居なくなってしまったらしい。
時計を見ると午前七時。出勤まで時間はある。
香澄はスマホを手に取り、初めて自分で晴臣にメッセージを送る。
香澄:朝食、サンドイッチをお願いできますか。
晴臣:うん、わかった。すぐ持っていくね。
たったそれだけで、もう部屋に花連が居ないのだと実感してしまう。
今までは『香澄ー! 何食べるー?』という声が響いてきた時間だ。
胸の喪失感を埋めるように、香澄は顔を洗いに洗面台に向かった。
****
インターホンが鳴り、モニターを確認してから玄関へ行き、ドアを開ける。
ドアの向こうでは晴臣が、いつものように微笑んで紙袋を持っていた。
「はい、オーダーのサンドイッチ。
今日は頑張ってね」
香澄も微笑みを返して紙袋を受け取る――いつもより、瓶牛乳一本分ほど軽かった。
「ありがとう、マスター」
「どういたしまして」
晴臣が軽やかに手を振り、去っていく。
香澄はドアを閉めると、紙袋の中身を確認する。
コーヒーの紙コップがひとつと、サンドイッチが一人前。
花連が居ないことを突き付けられながら、香澄は朝食を済ませていった。
久しぶりに化粧を施し、スラックスを履く。
ジャケットを羽織り、ショルダーバッグの中身を点検していく。
すぐに取りに帰ってこれるとはいえ初出勤だ。
気を引き締めて準備をしてから時計を見る――午前九時前。
香澄は九時に間に合うように家を出て、エレベーターで三階に向かった。
****
エレベーターを降りると、オフィスのドアの前で烏頭目が待っていた。
「おはようなのです!
今日も元気に行くですよ!
一言でいえば、『最初が肝心』です!」
「はい、烏頭目さん。わかってます」
烏頭目がアンロックし、ドアを開ける。
その背中に続いて香澄はオフィスの中に入っていった。
応接室に通された香澄の前に、烏頭目が書類を置いた。
「それに署名と印鑑をくださいです!
他の手続きはもう終わっているので、それで正式に入社が決まるです!」
雇用契約書と書かれた書類に署名捺印をし、烏頭目に返す。
「これでいいですか?」
烏頭目が書類を確認してから笑顔で告げる。
「はい! 大丈夫です!
あとでスマートロック用のセキュリティキーを教えるです!
今後はいつでも好きなように入ってくるといいです!」
香澄が目を瞬かせて尋ねる。
「このオフィス、セキュリティはどうなってるんですか?」
「『あやかし』関係の警備業者がビルを見張ってるです!
一言でいえば、オーナーの経営する会社のひとつです!」
ということは、この『マヨヒガ』という場所は、『あやかし』関係者のみで全てが構築されているのだろう。
ここに入社した以上、もう香澄もその『あやかし』関係者になったのだ。
奇妙な連帯感を持ちながら、香澄が告げる。
「烏頭目さんは何時ごろに出社してるんですか?」
「私は九時にはオフィスにいますですよ?
リモートワークしたければ、申請すれば対応しますです!
でも貸与しているノートPCより、オフィスのPCの方が快適ですよ?」
烏頭目が説明しながら、社員証をテーブルに置いた。
「そちらはカードキーになってますです!
ストラップで首から下げておくといいです!」
カードケースに入った社員証を手に取ると、熱海旅行で撮影されたらしき香澄の笑顔が映っていた。
――何もこんな写真を使わなくてもいいのに。
クスリと笑みを漏らしながら、青いストラップを首にかけた。
一か月ぶりの社員証から、じんわりと温かいものを感じた。
烏頭目が立ち上がって告げる。
「席に案内しますです!」
香澄もうなずいて立ち上がり、烏頭目のあとに続いた。
****
香澄の席は、湖八音の隣だった。
新しいパーティーション付きの広い机が置いてあり、大型のタワーPCが足元に置いてある。
広い机の上にはモニターが二枚置いてあり、アカウントを記した付箋紙が張りつけられていた。
「セットアップは終えてあるので、あとは好みに調整してくださいです!
十時になったら案件の説明を始めますのです!」
それだけ言うと、烏頭目は自分の席に戻っていった。
香澄は長い背もたれの椅子に腰を下ろし、その弾力性に目を見開いた。
「なんですかこれ、すごいクッションが効いてるんですけど」
隣の席から湖八音が顔を出し、真顔で告げる。
「椅子は良いものを使う――デスクワークの定石です。
腰を悪くしてから後悔しても、遅いですから」
「はぁ……」
戸惑いながらPCを立ち上げ、ログインする。
今まで体験したことが無いほどのレスポンスの良さに、思わず湖八音に尋ねる。
「これ、いくらぐらいのPCなんですか?」
「PCというのは不正確ですね。
ワークステーションといいます。
百万円程度の安物ですよ」
値段を聞いて、香澄が目を見開いた。
「百万円が安物って、どういうことですか?!」
「黄原が使ってるワークステーションは三百万円ほどします。
それに比べたら半分以下です」
「何がどうなったら、そんなに高くなるんですか……」
湖八音がフッと笑みをこぼして告げる。
「クリエイティブ分野というのは、それくらいスペックを必要とします。
青天井と言って、欲を言えば切りが無くなります。
所詮は企業の固定資産なので、値段なんて気にしなくていいですよ」
呆然としながら、香澄はハードウェアを確認してみる。
画面には見たことも聞いたこともないようなモデル名が並んでいた。
――これがワークステーションなのか。
香澄がぽつりと告げる。
「こんなすごいスペック、何に使うんですかね……」
隣の席から湖八音の声が返ってくる。
「主にレンダリングですね。
映像制作の世界では、数千万円のクラスターサーバーを組むこともあります。
それに比べたら安物のシステムですよ」
異世界の金銭感覚にくらくらしながら、香澄は環境をセットアップしていった。
****
十時になり、烏頭目が椅子を持って香澄の席にやってきた。
「それでは水無瀬さんに任せる案件の話をしますです!
耳の穴をかっぽじってよく聞くと良いです!」
香澄がうなずくと、烏頭目が指示を飛ばしていく。
指示通りにファイルサーバーを開いて行き、そこからフォルダをデスクトップにコピーした。
「それが今回のキャラクターデザインとなりますです!
一日が終わったら、さっきのフォルダに日付の名前でフォルダを作ってデータをコピーしてくださいです!
決してローカルで保持して帰る真似はしないでくださいです!」
「あの……バージョン管理システムは使わないんですか?」
「バイナリファイルは差分を取れるわけでもないです!
我が社みたいな小規模のオフィスなら日付管理で充分なのです!
LFSを入れてもいいですが、システムが膨れ上がるだけで恩恵は少ないのです!」
元システムエンジニアの香澄には、中々のカルチャーショックだ。
今どき、バージョン管理システムすら使わないで作業をすることに心細さすら感じていた。
「バックアップはどうなってるんですか?」
「それは毎日走ってますですよ?
一か月分は巻き戻せますから、安心しておくといいです!」
香澄は密かに胸を撫で下ろした。
そこまで無関心という訳ではないらしい。
効率を考えた結果の最適化が、今の運用なのだろう。
烏頭目が元気よく告げる。
「ではキャラデザを開いてくださいです!」
香澄が画像ファイルを開くと、女の子の三面図が表示された。
どこかの地方系ゆるキャラのような、特産品を見にまとった女の子だ。
烏頭目が香澄に告げる。
「今回のは、自治体の依頼によるものなのです!
正確にはPR映像製作を請け負った会社からの発注なのです!
来春からプロジェクトがスタートなので、それまでに間に合えばオーケーなのです!」
香澄が不安げに眉をひそめて尋ねる。
「私に、作れますかね」
烏頭目が笑顔で応える。
「問題ないのです!
年内は私がメンターとしてサポートしますです!
それまでに業務の感覚を掴んで欲しいのです!」
香澄はうなずくと、強い眼差しで画面を見つめた。
――今度はこの子に、命を吹き込むんだ。
モデリング用のアプリを立ち上げ、香澄は画面に向かった。
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