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第二部 医学の知識と若木の令嬢 第八章 若木の精霊
86. お母さんの目的
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薬草園の前でじっと動かないお母さん。
えっと、どうしようか?
『あら、ノヴァ、シシ。帰ってきていたの』
「ただいま、お母さん」
「にゃう」
『お帰りなさい。というのもおかしな話ね。この家はあなたの家だけど私の家ではないのだから』
そういわれてみればそうかも。
なんだかちょっと変な感じ。
『ノヴァ、この薬草園はあなたが管理しているの?』
「うん、そうだよ。なにかおかしなところでもあった?」
『いいえ。よく手入れされているわ。気候にあわせて結界を張り、特徴を出しているのもよくできている。砂漠の花まで咲いているのだから十分すぎるほどよ』
なんだかお母さんに褒められるとちょっと照れくさい。
商隊の人たちが砂漠の花も仕入れてくれたおかげだね。
『さて、世間話はこれくらいでいいでしょう。ノヴァ、アストリートを呼んでちょうだい』
「アストリートさんを? なにかあったの?」
『ちょっとした用事よ。私は急がないけど、人が聖獣を待たせるのはあまりよいことではないのでしょう? 早く呼んできてあげなさい』
「うん、わかった」
お母さんがアストリートさんに用事か。
一体どうしたんだろう。
中庭から裏口を通って家の中に入ると、ローレンさんとニケさんがいた。
ふたりともすっごく怯えているけど、なにかあったのかな?
「ふたりとも、なにかあった?」
「なにかあったじゃありません! なんですか、あの魔力に満ちた動物は!?」
「ん? お母さんだよ?」
「ノヴァ様のお母様……聖獣フラッシュリンクス様!?」
「うん、そう。それがどうかした?」
「い、いえ。私が裏庭で薬草を見ていると、突然姿を現し、『いい薬草園ね』と声をかけられてしまい、慌てて逃げ出してきたものですから」
「そうなんだ。ニケさんは?」
「私も裏庭で洗濯物を干している最中に見つかって……逃げ出したのは失礼にあたりませんでしょうか?」
「お母さんは気にしていないみたいだよ。多分、逃げ出されたことを不思議にでも思っているんじゃないかな?」
「そ、そうですか」
変なの。
とりあえず、ニケさんは洗濯物を干す途中だったそうなので、私が一緒にお母さんのところに行ってあげて事情を説明した。
お母さんも『驚かしてごめんなさい』と言っていたし、悪気はなかったんだよ。
見た目が大きい猫のせいでちょっと怖いけど。
ニケさんを物干し場まで送り届けたあとは、もう一度家の中に戻ってアストリートさん探し。
店舗の方にはいなかったから、アストリートさんの部屋かな?
ちょっと声をかけてみよう。
「アストリートさん、いますか?」
「はい。なんでしょう?」
よかった、アストリートさん、ここにいた。
出かけてなくて助かったよ。
ああ、でも、ヘレネさんを連れて出かけると余計なトラブルに巻き込まれるか。
「お母さんがアストリートさんを訪ねてやってきました。会えますか?」
「お母さん……ノヴァ様のお母様ですか!?」
「はい、お母さんです」
「かしこまりました! 直ちにそちらに行きます!」
部屋の中から少しかけてくるような足音が聞こえ、すぐに扉が開かれた。
その先にはアストリートさんと、面白くなさそうな顔をしたヘレネさんがいる。
ヘレネさんはなにがそんなに面白くないのかな?
「お待たせしました。お母様はどちらに?」
「裏庭にある薬草園のところにいました。多分、いまもそこにいるはずです」
「わかりました。急ぎましょう」
アストリートさんが急いで移動をし始めようとしたところ、ヘレネさんがその腕をつかんで足を止めさせた。
今度は一体なに?
「アストリート様、なにをそんなに慌てているのですか?」
「慌てもします! ノヴァ様のお母様が来ているのですよ! 機嫌を損ねないようにしなければ……」
「たかが平民の女性でしょう? それなのに慌てる必要など」
「あなたはなにも聞いていないのですか!? ノヴァ様のお母様は聖獣フラッシュリンクス様です!」
「それは騎士団長から内密に聞かされました。そんな眉唾物の話、信じるわけがないでしょう」
「ああ、もう! とにかく、腕を放してください! すぐにでもごあいさつに行かなければ……」
ヘレネさん、護衛としてどうかと思っていたけど、騎士団長の話さえ信じていなかったんだ。
こんな人を護衛としてよこすだなんて、公爵様もなにを考えているんだろう。
私が考えごとをしている間もふたりは言い争いを続けているし、困ったな。
『あら、ずいぶんと騒がしいわね。一体何事かしら』
あ、お母さんが家の中へやってきていた。
それを見てふたりは別々の顔をする。
アストリートさんは顔から血が引いているし、ヘレネさんは怪訝そうな顔をしている。
どうしたものか。
「お母さん、中に入ってきたの?」
『あら、だめだったかしら』
「ううん、だめじゃないけど」
『それならいいじゃない。ところで、このふたりはなんで揉めていたの?』
「アストリートさんがお母さんのとこに行こうとしていたのをヘレネさんが妨害していたの」
『ふうん。それで、そっちの腕をつかんでいる女性がヘレネでしょうけど、その女は何者?』
「アストリートさんの護衛役だよ。公爵様がつけてよこしたの」
『なるほど。でも、制御できていないようね』
「だね。私にも不満があるみたいだし」
『そうなの? 少し力の差を見せつけてあげれば大人しくならない?』
「人の世界は獣の世界とは違うよ、お母さん」
私とお母さんはのんびり話をしているけど、横目で見ればアストリートさんは青くなってきている。
倒れないよね?
「そんなことより、アストリートさんに用事ってなに?」
『ああ、それ。早く伝えた方がいいわね』
そこまで話したところでヘレネさんの手を振りほどいたアストリートさんがお母さんの前までやってきて深いお辞儀をした。
貴族がそこまで頭を下げるだなんて珍しいんじゃないかな?
「申し訳ございません、フラッシュリンクス様! ごあいさつが遅れてしまい」
『気にしていないわ。どうやら、そこの無礼者のせいだし』
「それは……本当に申し訳ございません。部下の不行き届きで」
『あら。あちらはあなたの部下になどなっていないつもりのようよ? あくまでも仕事であなたと一緒にいるのであって主従関係はないと』
「やはりですか。重ねてお詫びいたします」
『あれが部下だと思うなら、しっかり手綱を握ることね。それで、あなたへの用件なんだけど』
「待て、そこの魔獣! 私が無礼者だと言うのか!?」
お母さんとアストリートさんの話を遮ってヘレネさんが叫んだ。
そういうところが無礼者だと思うんだけどな。
『あなた、自覚がなかったの? 十分過ぎる無礼者よ。少なくとも、一緒にいる相手の品格が疑われる程度にはね』
「なんだと……言わせておけば!」
ヘレネさんが剣を抜いてしまった。
家の中にいても革鎧と剣は常に身に着けていたんだよね。
でも、お母さんに剣を向けるのって相当まずいんじゃないかな?
アストリートさんはもう顔面蒼白だし。
『ふう。本当に無礼者ね。あなたの護衛対象が私のことを聖獣と呼んでいたのにもかかわらず、魔獣呼ばわりするだなんて。それでなくとも、人の言葉を発するだけの知能を持った相手に剣を向けることがどれだけ愚かなことかわかっているの?』
「黙れ! お前など、私の剣で成敗してくれる!」
ヘレネさんは問答無用というべき態度でお母さんに斬りかかった。
でもお母さんはその剣を受け止めることもせず、ただ、結界でその剣を消し去っただけだね。
ヘレネさんも剣が半ばから消え去っているのを見て驚愕しているし。
『まったく、命知らずな人ね。人の言葉を発する獣は人と同等かそれ以上の知性を持つ、それくらい覚えておきなさい』
「な、なんだと!?」
『まだ刃向かうの? 仕方ないから私の刻印を刻んであげる』
お母さんはヘレネさんに飛びかかり、右肩から左脇腹と左肩から右脇腹へのふたつの傷を刻んだ。
ヘレネさんが身に着けていた革鎧程度ではお母さんの爪を防げるはずもなく、焼けた匂いをただよわせて、膝から崩れ落ちる。
あーあ、私知らない。
「ヘレネ!?」
『大丈夫よ。死なないように手加減して聖刻を刻んであげたから。一カ月くらいは傷が癒えずに残ったままだし、それ以上経っても傷の治りはすごく遅いけど』
お母さんにしては手加減した方だよね。
気にせず胴体を真っ二つにすることだって出来たんだから。
『さて、邪魔者が入ったせいで伝えられなかったあなたへの用件を伝えるわ』
「は、はい。なんでしょうか?」
『樹木の精霊と交渉をして人と契約してもいいという精霊を見つけることができたの。あなた、精霊と契約してみるつもりはない?』
えっと、どうしようか?
『あら、ノヴァ、シシ。帰ってきていたの』
「ただいま、お母さん」
「にゃう」
『お帰りなさい。というのもおかしな話ね。この家はあなたの家だけど私の家ではないのだから』
そういわれてみればそうかも。
なんだかちょっと変な感じ。
『ノヴァ、この薬草園はあなたが管理しているの?』
「うん、そうだよ。なにかおかしなところでもあった?」
『いいえ。よく手入れされているわ。気候にあわせて結界を張り、特徴を出しているのもよくできている。砂漠の花まで咲いているのだから十分すぎるほどよ』
なんだかお母さんに褒められるとちょっと照れくさい。
商隊の人たちが砂漠の花も仕入れてくれたおかげだね。
『さて、世間話はこれくらいでいいでしょう。ノヴァ、アストリートを呼んでちょうだい』
「アストリートさんを? なにかあったの?」
『ちょっとした用事よ。私は急がないけど、人が聖獣を待たせるのはあまりよいことではないのでしょう? 早く呼んできてあげなさい』
「うん、わかった」
お母さんがアストリートさんに用事か。
一体どうしたんだろう。
中庭から裏口を通って家の中に入ると、ローレンさんとニケさんがいた。
ふたりともすっごく怯えているけど、なにかあったのかな?
「ふたりとも、なにかあった?」
「なにかあったじゃありません! なんですか、あの魔力に満ちた動物は!?」
「ん? お母さんだよ?」
「ノヴァ様のお母様……聖獣フラッシュリンクス様!?」
「うん、そう。それがどうかした?」
「い、いえ。私が裏庭で薬草を見ていると、突然姿を現し、『いい薬草園ね』と声をかけられてしまい、慌てて逃げ出してきたものですから」
「そうなんだ。ニケさんは?」
「私も裏庭で洗濯物を干している最中に見つかって……逃げ出したのは失礼にあたりませんでしょうか?」
「お母さんは気にしていないみたいだよ。多分、逃げ出されたことを不思議にでも思っているんじゃないかな?」
「そ、そうですか」
変なの。
とりあえず、ニケさんは洗濯物を干す途中だったそうなので、私が一緒にお母さんのところに行ってあげて事情を説明した。
お母さんも『驚かしてごめんなさい』と言っていたし、悪気はなかったんだよ。
見た目が大きい猫のせいでちょっと怖いけど。
ニケさんを物干し場まで送り届けたあとは、もう一度家の中に戻ってアストリートさん探し。
店舗の方にはいなかったから、アストリートさんの部屋かな?
ちょっと声をかけてみよう。
「アストリートさん、いますか?」
「はい。なんでしょう?」
よかった、アストリートさん、ここにいた。
出かけてなくて助かったよ。
ああ、でも、ヘレネさんを連れて出かけると余計なトラブルに巻き込まれるか。
「お母さんがアストリートさんを訪ねてやってきました。会えますか?」
「お母さん……ノヴァ様のお母様ですか!?」
「はい、お母さんです」
「かしこまりました! 直ちにそちらに行きます!」
部屋の中から少しかけてくるような足音が聞こえ、すぐに扉が開かれた。
その先にはアストリートさんと、面白くなさそうな顔をしたヘレネさんがいる。
ヘレネさんはなにがそんなに面白くないのかな?
「お待たせしました。お母様はどちらに?」
「裏庭にある薬草園のところにいました。多分、いまもそこにいるはずです」
「わかりました。急ぎましょう」
アストリートさんが急いで移動をし始めようとしたところ、ヘレネさんがその腕をつかんで足を止めさせた。
今度は一体なに?
「アストリート様、なにをそんなに慌てているのですか?」
「慌てもします! ノヴァ様のお母様が来ているのですよ! 機嫌を損ねないようにしなければ……」
「たかが平民の女性でしょう? それなのに慌てる必要など」
「あなたはなにも聞いていないのですか!? ノヴァ様のお母様は聖獣フラッシュリンクス様です!」
「それは騎士団長から内密に聞かされました。そんな眉唾物の話、信じるわけがないでしょう」
「ああ、もう! とにかく、腕を放してください! すぐにでもごあいさつに行かなければ……」
ヘレネさん、護衛としてどうかと思っていたけど、騎士団長の話さえ信じていなかったんだ。
こんな人を護衛としてよこすだなんて、公爵様もなにを考えているんだろう。
私が考えごとをしている間もふたりは言い争いを続けているし、困ったな。
『あら、ずいぶんと騒がしいわね。一体何事かしら』
あ、お母さんが家の中へやってきていた。
それを見てふたりは別々の顔をする。
アストリートさんは顔から血が引いているし、ヘレネさんは怪訝そうな顔をしている。
どうしたものか。
「お母さん、中に入ってきたの?」
『あら、だめだったかしら』
「ううん、だめじゃないけど」
『それならいいじゃない。ところで、このふたりはなんで揉めていたの?』
「アストリートさんがお母さんのとこに行こうとしていたのをヘレネさんが妨害していたの」
『ふうん。それで、そっちの腕をつかんでいる女性がヘレネでしょうけど、その女は何者?』
「アストリートさんの護衛役だよ。公爵様がつけてよこしたの」
『なるほど。でも、制御できていないようね』
「だね。私にも不満があるみたいだし」
『そうなの? 少し力の差を見せつけてあげれば大人しくならない?』
「人の世界は獣の世界とは違うよ、お母さん」
私とお母さんはのんびり話をしているけど、横目で見ればアストリートさんは青くなってきている。
倒れないよね?
「そんなことより、アストリートさんに用事ってなに?」
『ああ、それ。早く伝えた方がいいわね』
そこまで話したところでヘレネさんの手を振りほどいたアストリートさんがお母さんの前までやってきて深いお辞儀をした。
貴族がそこまで頭を下げるだなんて珍しいんじゃないかな?
「申し訳ございません、フラッシュリンクス様! ごあいさつが遅れてしまい」
『気にしていないわ。どうやら、そこの無礼者のせいだし』
「それは……本当に申し訳ございません。部下の不行き届きで」
『あら。あちらはあなたの部下になどなっていないつもりのようよ? あくまでも仕事であなたと一緒にいるのであって主従関係はないと』
「やはりですか。重ねてお詫びいたします」
『あれが部下だと思うなら、しっかり手綱を握ることね。それで、あなたへの用件なんだけど』
「待て、そこの魔獣! 私が無礼者だと言うのか!?」
お母さんとアストリートさんの話を遮ってヘレネさんが叫んだ。
そういうところが無礼者だと思うんだけどな。
『あなた、自覚がなかったの? 十分過ぎる無礼者よ。少なくとも、一緒にいる相手の品格が疑われる程度にはね』
「なんだと……言わせておけば!」
ヘレネさんが剣を抜いてしまった。
家の中にいても革鎧と剣は常に身に着けていたんだよね。
でも、お母さんに剣を向けるのって相当まずいんじゃないかな?
アストリートさんはもう顔面蒼白だし。
『ふう。本当に無礼者ね。あなたの護衛対象が私のことを聖獣と呼んでいたのにもかかわらず、魔獣呼ばわりするだなんて。それでなくとも、人の言葉を発するだけの知能を持った相手に剣を向けることがどれだけ愚かなことかわかっているの?』
「黙れ! お前など、私の剣で成敗してくれる!」
ヘレネさんは問答無用というべき態度でお母さんに斬りかかった。
でもお母さんはその剣を受け止めることもせず、ただ、結界でその剣を消し去っただけだね。
ヘレネさんも剣が半ばから消え去っているのを見て驚愕しているし。
『まったく、命知らずな人ね。人の言葉を発する獣は人と同等かそれ以上の知性を持つ、それくらい覚えておきなさい』
「な、なんだと!?」
『まだ刃向かうの? 仕方ないから私の刻印を刻んであげる』
お母さんはヘレネさんに飛びかかり、右肩から左脇腹と左肩から右脇腹へのふたつの傷を刻んだ。
ヘレネさんが身に着けていた革鎧程度ではお母さんの爪を防げるはずもなく、焼けた匂いをただよわせて、膝から崩れ落ちる。
あーあ、私知らない。
「ヘレネ!?」
『大丈夫よ。死なないように手加減して聖刻を刻んであげたから。一カ月くらいは傷が癒えずに残ったままだし、それ以上経っても傷の治りはすごく遅いけど』
お母さんにしては手加減した方だよね。
気にせず胴体を真っ二つにすることだって出来たんだから。
『さて、邪魔者が入ったせいで伝えられなかったあなたへの用件を伝えるわ』
「は、はい。なんでしょうか?」
『樹木の精霊と交渉をして人と契約してもいいという精霊を見つけることができたの。あなた、精霊と契約してみるつもりはない?』
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