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第2部 街を駆け巡る〝ペットテイマー〟 第6章 〝ペットテイマー〟ドラマリーンでのハント
65. ウルフ狩りのステップワンダーによるウルフ狩りの説明
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ヴァイパーを大量に狩った翌日、今日はミィちゃんを冒険者ギルドの受付に預けたら新人冒険者たちを引き連れてウルフ狩りの講習会だ。
ちゃんと話を聞いてくれるかなぁ?
「おはようございます、シズク様」
「おはようございます。ウルフ狩り講習の受講者はもう集まっていますか?」
「はい。いまは別室で待たせていますが、どうなさいましょう?」
「では、私も最初に一言あいさつを。あ、ミィちゃんをお願いします」
「わかりました。それから、今日は私も新人冒険者の護衛兼監視役として付き添います。ご容赦くださいませ」
「いえ、気にしません。新人冒険者が待っている部屋に案内してください」
「承知いたしました。こちらへどうぞ」
早速、受付でかわいがられているミィちゃんを見送って私は新人冒険者たちの集まっているという部屋へ。
受付のお姉さんがドアを開けてくれるとそれぞれ思い思いの武装に身を固めた冒険者たちがいたよ。
うーん、でも、出発する前に前提から話さないとだめか。
「初めまして、皆さん。今日の講師役、アイリーン特使のシズクです。皆さんにウルフ狩りについて教えることになっています。なっていますが、最初に一言。ポールウェポンやロングランス、ロングソード、ロングボウなどを使っている人は冒険者ギルドに預けていってください。林や森の中では使えません」
私の宣言に部屋の中がざわついたけれど……事実なんだよね。
「林や森の中では木々が多く障害物になります。障害物のない場所でしたら、それらの武器も有効ですが、林や森の中でウルフ狩りをする限り、間合いの長い武器は木に引っかかるか、木に突き刺さってしまうかのどちらかです。冒険者ギルドから短い武器を借りていってください」
「それじゃあ、ロングボウがだめな理由は!?」
「第一に動きにくいこと。ロングボウでは重く、長いため枝にぶつかることもあります。枝にぶつかってしまえば余計な音を立てて獲物に発見され、不意打ちを受ける可能性が高まります。第二に林や森では長い距離を狙えないこと。ロングボウは長射程の武器ですが、森の中では木や藪が邪魔になって長距離を狙えません。短距離しか狙えないなら短弓でも威力が出るものを選んだ方がよいでしょう」
「わ、わかりました」
ふう、武器のダメ出しはこれくらいかな。
次、防具のダメ出しだね。
「それから、防具ですが手入れが不十分です。もっとしっかり手入れを行いましょう。皆さんの収入ではレザーアーマーですら高額な買い物でしょう? それなら、毎日夜寝る前にメンテナンスをしましょう。革が痛んでいては防具としての効果も半減ですよ?」
全員お互いの装備を見合っているけれど、私の目から見れば合格点をあげられる子はいないかな?
みんな胸当ては綺麗だけどガントレットが汚かったり、ガントレットは綺麗だけど肩当てが汚かったりと入念な手入れがされていないことがわかっちゃう。
この街で一番手に入れやすい革の防具がなんなのかは知らないけれど、メンテナンスをしっかりしておかないと半年もしないうちにひび割れとかを起こしちゃうよ?
「あ、あの。シズクさんのレザーアーマーは……? やけに光沢がありますが」
「ああ、これ。キラーヴァイパーのレザーアーマーです。アイリーンの街で得意にしている武具屋の余り物を特別安く売っていただけたのですが、着心地もよくて使いやすいですね。もちろん、毎日の夜に掃除やオイル塗りを欠かしていませんから、戦闘でついた傷以外は綺麗ですよ」
「キラーヴァイパーのレザーアーマー……それっていくらくらい?」
「適正価格は金貨3枚以上だって聞きました。それだって私がステップワンダーで使用する革の面積が少ないからこそのお値段です。人間族用だと……」
はて、人間や獣人、エルフ用だといくらくらいになるんだろう?
私、ステップワンダー基準の値段しか見てこなかったからなぁ。
「この街、ドラマリーンの武具屋で一般的なヒト族用のキラーヴァイパー製レザーアーマー一式を揃えるとなると金貨7枚程度です。キラーヴァイパーの皮を持ち込みで作ってもらえば金貨3枚程度まで減りますけどね」
「あ、補足ありがとうございます」
そっか、ドラマリーンの街でもヒト族用のレザーアーマー一式ってなるとそれくらいするんだ。
ミーベルンが将来なにになるかわからないけど、冒険者になりたいって言い出したときのために支度金はいまからでも貯めさせなくちゃね!
素材は全部私が渡す予定だけど!
「そんなにするんだ、キラーヴァイパーのレザーアーマーって……」
「いや、Cランクの先輩方でも季節に1回の大討伐で死人が出てるんだろう? それくらいはするって……」
「でも、金貨7枚か。私たちの稼ぎじゃ遠い先の話だよね」
うんうん、遠い先の話だよね。
私、なんでD+ランクなのにミスリル貨30枚とか持っているんだろう?
「シズクさん、その肩と腹部についた大きな傷跡は? 完全にキラーヴァイパーのレザーアーマーが貫かれているように見えますが」
「ああ、これ。右肩の傷はオークレンジャーのボルトで撃たれたときの、腹部の傷はオークナイトの剣で刺し貫かれたときの損傷です。素材は集まりましたし、特使としての任務を終えたら、夏に行う〝オークの砦〟攻めに向けてレザーアーマーも新調ですね。間に合わせとして継ぎ接ぎをしてもらっていますが、〝オークの砦〟を攻めるときにこの継ぎ接ぎの鎧ではどうなるかわかりませんから」
「オークってそんなに強いんですか? Eランクになったら討伐対象にできるのでそんなに強くないと思っていたんですが」
「少なくともアイリーンの街に攻め込んできたオークは強かったです。特別な武具に身を包み、オークエンペラーに率いられた大部隊。一般兵のオークですら鉄の鎧を身につけている者も多かったです」
「そんなに……」
「はい、そんなにです。それから、私が先輩冒険者から学んだ話では、普通のオークでも倒すには相当苦労するようですよ。木の鎧に身を包み、厚い脂肪で守られ、鉄製の武器を振り回す巨体。ゴブリン程度の攻撃だったら皮の盾で受け止めればいいでしょう。でも、オークの攻撃は、皮の盾で受け止めれば盾ごと腕を砕かれます。それくらい強さに差があります」
「そこまでですか……」
「私も『天職』と装備のおかげで、オーク相手に大立ち回りを演じることができましたが、普通はやるべきではないですね。今回の講習で戦うウルフとその一段階上のゴブリンの強さも別次元ですのでお忘れなく」
「冒険者ってもっと楽なものだと想像していたのに……」
「楽なお仕事なんてありませんよ。可能であれば冒険者ギルドの資料室に行って魔物学の本などを読み、モンスターや魔獣の生態系や行動パターン、倒し方を学んでおくといいでしょう」
懐かしいなぁ。
私がサンドロックさんに教わって学んでいたのも駆け出しの頃。
あの時蓄えていた知識ももう尽きる頃だし、もっと上位のモンスターや魔獣についての知識を仕入れないとだめかな?
「ともかく、今日はウルフ狩りの実体験と解体手順の説明と実践です。気を抜かないでください。気を抜けばウルフにだって殺されます」
「皆さん、本日の武器は冒険者ギルドから貸与もできます。特にシズク様から指摘された装備をお持ちの方々は借りていってください」
さて、説明が長くなっちゃったけどここからが本番だよね。
呆れられないように頑張らなくちゃ。
ちゃんと話を聞いてくれるかなぁ?
「おはようございます、シズク様」
「おはようございます。ウルフ狩り講習の受講者はもう集まっていますか?」
「はい。いまは別室で待たせていますが、どうなさいましょう?」
「では、私も最初に一言あいさつを。あ、ミィちゃんをお願いします」
「わかりました。それから、今日は私も新人冒険者の護衛兼監視役として付き添います。ご容赦くださいませ」
「いえ、気にしません。新人冒険者が待っている部屋に案内してください」
「承知いたしました。こちらへどうぞ」
早速、受付でかわいがられているミィちゃんを見送って私は新人冒険者たちの集まっているという部屋へ。
受付のお姉さんがドアを開けてくれるとそれぞれ思い思いの武装に身を固めた冒険者たちがいたよ。
うーん、でも、出発する前に前提から話さないとだめか。
「初めまして、皆さん。今日の講師役、アイリーン特使のシズクです。皆さんにウルフ狩りについて教えることになっています。なっていますが、最初に一言。ポールウェポンやロングランス、ロングソード、ロングボウなどを使っている人は冒険者ギルドに預けていってください。林や森の中では使えません」
私の宣言に部屋の中がざわついたけれど……事実なんだよね。
「林や森の中では木々が多く障害物になります。障害物のない場所でしたら、それらの武器も有効ですが、林や森の中でウルフ狩りをする限り、間合いの長い武器は木に引っかかるか、木に突き刺さってしまうかのどちらかです。冒険者ギルドから短い武器を借りていってください」
「それじゃあ、ロングボウがだめな理由は!?」
「第一に動きにくいこと。ロングボウでは重く、長いため枝にぶつかることもあります。枝にぶつかってしまえば余計な音を立てて獲物に発見され、不意打ちを受ける可能性が高まります。第二に林や森では長い距離を狙えないこと。ロングボウは長射程の武器ですが、森の中では木や藪が邪魔になって長距離を狙えません。短距離しか狙えないなら短弓でも威力が出るものを選んだ方がよいでしょう」
「わ、わかりました」
ふう、武器のダメ出しはこれくらいかな。
次、防具のダメ出しだね。
「それから、防具ですが手入れが不十分です。もっとしっかり手入れを行いましょう。皆さんの収入ではレザーアーマーですら高額な買い物でしょう? それなら、毎日夜寝る前にメンテナンスをしましょう。革が痛んでいては防具としての効果も半減ですよ?」
全員お互いの装備を見合っているけれど、私の目から見れば合格点をあげられる子はいないかな?
みんな胸当ては綺麗だけどガントレットが汚かったり、ガントレットは綺麗だけど肩当てが汚かったりと入念な手入れがされていないことがわかっちゃう。
この街で一番手に入れやすい革の防具がなんなのかは知らないけれど、メンテナンスをしっかりしておかないと半年もしないうちにひび割れとかを起こしちゃうよ?
「あ、あの。シズクさんのレザーアーマーは……? やけに光沢がありますが」
「ああ、これ。キラーヴァイパーのレザーアーマーです。アイリーンの街で得意にしている武具屋の余り物を特別安く売っていただけたのですが、着心地もよくて使いやすいですね。もちろん、毎日の夜に掃除やオイル塗りを欠かしていませんから、戦闘でついた傷以外は綺麗ですよ」
「キラーヴァイパーのレザーアーマー……それっていくらくらい?」
「適正価格は金貨3枚以上だって聞きました。それだって私がステップワンダーで使用する革の面積が少ないからこそのお値段です。人間族用だと……」
はて、人間や獣人、エルフ用だといくらくらいになるんだろう?
私、ステップワンダー基準の値段しか見てこなかったからなぁ。
「この街、ドラマリーンの武具屋で一般的なヒト族用のキラーヴァイパー製レザーアーマー一式を揃えるとなると金貨7枚程度です。キラーヴァイパーの皮を持ち込みで作ってもらえば金貨3枚程度まで減りますけどね」
「あ、補足ありがとうございます」
そっか、ドラマリーンの街でもヒト族用のレザーアーマー一式ってなるとそれくらいするんだ。
ミーベルンが将来なにになるかわからないけど、冒険者になりたいって言い出したときのために支度金はいまからでも貯めさせなくちゃね!
素材は全部私が渡す予定だけど!
「そんなにするんだ、キラーヴァイパーのレザーアーマーって……」
「いや、Cランクの先輩方でも季節に1回の大討伐で死人が出てるんだろう? それくらいはするって……」
「でも、金貨7枚か。私たちの稼ぎじゃ遠い先の話だよね」
うんうん、遠い先の話だよね。
私、なんでD+ランクなのにミスリル貨30枚とか持っているんだろう?
「シズクさん、その肩と腹部についた大きな傷跡は? 完全にキラーヴァイパーのレザーアーマーが貫かれているように見えますが」
「ああ、これ。右肩の傷はオークレンジャーのボルトで撃たれたときの、腹部の傷はオークナイトの剣で刺し貫かれたときの損傷です。素材は集まりましたし、特使としての任務を終えたら、夏に行う〝オークの砦〟攻めに向けてレザーアーマーも新調ですね。間に合わせとして継ぎ接ぎをしてもらっていますが、〝オークの砦〟を攻めるときにこの継ぎ接ぎの鎧ではどうなるかわかりませんから」
「オークってそんなに強いんですか? Eランクになったら討伐対象にできるのでそんなに強くないと思っていたんですが」
「少なくともアイリーンの街に攻め込んできたオークは強かったです。特別な武具に身を包み、オークエンペラーに率いられた大部隊。一般兵のオークですら鉄の鎧を身につけている者も多かったです」
「そんなに……」
「はい、そんなにです。それから、私が先輩冒険者から学んだ話では、普通のオークでも倒すには相当苦労するようですよ。木の鎧に身を包み、厚い脂肪で守られ、鉄製の武器を振り回す巨体。ゴブリン程度の攻撃だったら皮の盾で受け止めればいいでしょう。でも、オークの攻撃は、皮の盾で受け止めれば盾ごと腕を砕かれます。それくらい強さに差があります」
「そこまでですか……」
「私も『天職』と装備のおかげで、オーク相手に大立ち回りを演じることができましたが、普通はやるべきではないですね。今回の講習で戦うウルフとその一段階上のゴブリンの強さも別次元ですのでお忘れなく」
「冒険者ってもっと楽なものだと想像していたのに……」
「楽なお仕事なんてありませんよ。可能であれば冒険者ギルドの資料室に行って魔物学の本などを読み、モンスターや魔獣の生態系や行動パターン、倒し方を学んでおくといいでしょう」
懐かしいなぁ。
私がサンドロックさんに教わって学んでいたのも駆け出しの頃。
あの時蓄えていた知識ももう尽きる頃だし、もっと上位のモンスターや魔獣についての知識を仕入れないとだめかな?
「ともかく、今日はウルフ狩りの実体験と解体手順の説明と実践です。気を抜かないでください。気を抜けばウルフにだって殺されます」
「皆さん、本日の武器は冒険者ギルドから貸与もできます。特にシズク様から指摘された装備をお持ちの方々は借りていってください」
さて、説明が長くなっちゃったけどここからが本番だよね。
呆れられないように頑張らなくちゃ。
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