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1話 パーティー追放

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「お前が居るとパーティーの価値が下がる! 出てけ!」

 レドルンドがそう言うと、周りにいた冒険者が一斉に笑い出した。

 レドルンドは、このパーティーのリーダーで、僕の倍くらい背が高く右手には剣を持っていた。
 パーティーに入ったばかりの頃から僕に対してだけ当たりが強く、いかにも僕のことが嫌いそうだった。
 今までは、僕に対して何をするかわからないレドルンドに対し、怖くて反抗することが出来なかった。
 でもいざとなったら反抗できるだろうと内心何処か思っていた僕が間違っていた。
 恐怖で震える左手をもう片方の手で押されながら僕は、レドルンドに理由を聞いた。

「ど、どうして!」
「お前のその雑魚スキルのせいで俺たちの価値が下がってんだよ!」

 レドルンドが、そう声を荒げて言った。

 僕には唯一のスキルがあった。
 それは「透視」と言う何かを透かして見ることができるスキルらしいが、僕にはずっと何も見えていなかった。  
 何故なのかはわからないが、こんなスキルを使うこともできないくらい自分が弱い可能性があるってことは何となくわかっている。

 ただ、僕が今こんな状況になっているのはそれだけが理由じゃない。
 このスキル「透視」が、女性の服を透かして見ることができるんじゃないかと勝手に噂され、それが他の冒険者たちに広まってしまった。
 でもこのスキルはそんな有能な能力は今の僕が見る限り持っていない。
 それなのに、僕は女性の服を透かして見る事が出来るスキルを持っていると言う嘘の噂でパーティーの価値を下げていると言われ続けてきた。
 もちろん、その自覚はあったがどうすればいいのか自分でも分からなかった。
 でも、僕はパーティーを自分から抜けるわけにはいかない。
 幼い頃に両親から捨てられた僕は、なんとか自分で生きていくためお金を稼がないといけなかった。
 そのために僕は周りからなんと言われようとこのパーティーの役に立とうと全力で協力してきた。
 
 なのに……

「僕には何も見えてない!」
「じゃあお前のその透視とか言うスキルはどうゆう効果なんだよ!」

 そうレドルンドに言われるが何も答えられない。
 このスキルの効果がわからないせいで、噂を否定しても何も答えられず、本当に透視できていると思われ逆効果になる。
 これを何度繰り返したことか……
 ただ僕にはこうして否定し噂が広まるのを止める事しか出来なかった。

「何も言わないって事は、本当に見えてるって事じゃね?」

 周りの冒険者は、小声でそう口づさんだ。

 男冒険者には馬鹿にされ、女冒険者には避けられ、それでも折れる事なくパーティーに協力してきたのに……
 ついに今日はパーティーにも……

 考えれば考えるほど打開策が分からなくなる。
 僕は、後がなく泣き崩れてその場でしゃがみ込んでしまった。
 レドルンドは、その場を盛り上げ、掛け声をしながら泣き崩れた僕の頭に3発蹴りを入れてその場を去った。

「じゃあな。ヴィリー」
 
 他の冒険者たちも、レドルンドに続き呆れたような顔をしながらその場を去り、僕は1人取り残された。

 こうして僕は、パーティーを追放された。

 
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