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1 選択できる令嬢
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あ。思い出した。
朝、目が覚めるちょっと前、前世の記憶を思い出した。
私…飛行機事故に巻き込まれて死んだんだ。
最後の記憶は真っ青な空と焼けるような熱さと物凄い風、視界に飛び込んできた海。
今までのルチア ニューマンとしてのことも覚えてる。
病弱で気弱。今回も大切にしていた母の形見のペンダントを従妹のイライザに取り上げられて悲しくて何日もふさぎ込んでたんだ。
多分、生きる気力がなくなっちゃったのかな。
そこに幼稚園から短大まで女子校育ち、女の園でばりばり?働いてきた前世の記憶が入ってきたみたい。
頭がずきずきするけど、のども乾いたし薄く目を開ける。
「なにこれ…」
ベットサイドの水差しに濃いグレーのもやもやがまとわりついている。
目をこすりながら何度かパチパチ瞬きするともやもやは見えなくなったけど。
まるで、飲んだらだめだからね!とアピールしてるみたいでなんだかとっても良くなさそうだ。
うん。やめとこう。
それでもどうしても水が飲みたくてコップを見てたら、ひらめいた!
「私、魔法使えるじゃん。」
そうなのだ。
この世界には魔法がある。
魔法は誰でも使えて、才能や鍛錬でレベルが上がって自分の持ってるスキル系統の難しい魔法が使えるようになる。
今までのルチアはほとんど魔法が使えないダメダメっぷりだったけど、それはコツが分かってなかっただけで前世を思い出した今ならもっとうまく使えると思う。
「ウォーター」
恥ずかしいから小さくつぶやくと。
「おお…」
コップに水が溜まった。
しかもちょっとキラキラして見える。
これは飲んでも大丈夫?と思って眉間にしわを寄せてコップをにらむ。
「ふぉっ。」
コップのまわりにピンクのもやもやが現れた。
これはさっきの水差しのもやもやのピンクバージョンだなと思って、水差しをにらむとやっぱりグレーのもやもやにまとわりつかれてる。
んー。ピンクとグレーどっち飲むかって言ったら、ピンクだよね!
私、ピンク好きだし。
「ぷはっ。」
思い切ってコップの水をぐびぐび飲むと、めちゃくちゃ美味しい。
人生で一番ってくらい。
「そっか。」
ちょっと分かったかもしれない。
この水差しの水は何日も変えられていないはず。
侍女は何人もいるけど完全に叔母の言いなりで私の世話を放棄しているから、水差しの水を変えるわけない。
なんならちょっと体に悪いものでも入れているかもしれない。
グレーのもやもやは毒ってことかな?
ピンクは無毒ってこと?
考えながら、まだちょっとしょぼつく目で部屋を見渡すとピンクに見えるものが他にもあった。
幼いころから大切にしているうさぎのぬいぐるみは薄ピンクのもやに包まれている。
実際にはあのイライザでも取り上げないくらい年季がかって汚れているけど。
ほかには日記もピンクだ。
今までの私は寂しい気持ちを日記に書くことによって慰めていたんだよね。
日記をパラパラとめくると所々からグレーのもやがポッポッと出てきた。
…どうやらイライザはルチアの日記まで盗み読みしているらしい。
もやもやは毒というよりはグレーが悪いもので、ピンクが良いものってことかな。
すっきりして、目もパッチリ覚めたところでもやもやは消えた。
ではでは、やってみようかな。
「ステータス!」
異世界転生の定番、ステータスオープンをしてみた。
出来るような気がしてやってみたらできたよ。むふっ。
ルチア・ニューマン 13歳 聖女と魔術師のミックス
レベル:2
スキル:空間 火 風 水 選択
んー。
ちょっと気になるところが色々あるけど、まずミックスってペットじゃないんだから。
と思うけど、亡くなった母が聖女だったというのは聞いたことがあるし、父クロード ニューマン伯爵は城勤めとしか知らないけれど魔術師なのかもしれないから、その父と母の娘ということなのかな。
レベル2ってめちゃくちゃ低くない?
普通の大人で10くらいで冒険者や魔術師だと50くらいらしい。
レベルの上限は100とも150とも言われててはっきりとは分かってない。
病弱気弱でおまけに放置のルチアだから仕方ないけどこれは特訓が必要だね。
それにしても「空間 火 風 水」とは、前世の最後の記憶そのままじゃないですか。
飛行機から見えた空、飛行機の爆発による火と爆風、最後に落ちた海の水。
スキルは経験で身につくことがあるらしいけどすごく稀で、ほとんどは生まれた時から持ってるスキルしか使えないし、スキルの数もほとんどは1つで、2つは珍しいけどたまにいるくらいで、3つはかなり珍しい。
以前のルチルは「風 水」のスキル持ちでそれも結構珍しかったんだけど、5つに増えるなんてすごい事だと思う。
それから「選択」。これがグレーやピンクのもやもやのことなんだろうか。
選択ということはどちらを選べばいいか分かるってことだよね。
これはとても有用なスキルだと思う。
ルチアはこのままでは早死にするかどんよりした人生を送ることになっていただろうけど、せっかく前世を思い出したんだから楽しく暮らしたい。
憂鬱な家族とはおさらばして自立する。
素敵な家族をつくって美味しいものを食べて暮らすぞ!
朝、目が覚めるちょっと前、前世の記憶を思い出した。
私…飛行機事故に巻き込まれて死んだんだ。
最後の記憶は真っ青な空と焼けるような熱さと物凄い風、視界に飛び込んできた海。
今までのルチア ニューマンとしてのことも覚えてる。
病弱で気弱。今回も大切にしていた母の形見のペンダントを従妹のイライザに取り上げられて悲しくて何日もふさぎ込んでたんだ。
多分、生きる気力がなくなっちゃったのかな。
そこに幼稚園から短大まで女子校育ち、女の園でばりばり?働いてきた前世の記憶が入ってきたみたい。
頭がずきずきするけど、のども乾いたし薄く目を開ける。
「なにこれ…」
ベットサイドの水差しに濃いグレーのもやもやがまとわりついている。
目をこすりながら何度かパチパチ瞬きするともやもやは見えなくなったけど。
まるで、飲んだらだめだからね!とアピールしてるみたいでなんだかとっても良くなさそうだ。
うん。やめとこう。
それでもどうしても水が飲みたくてコップを見てたら、ひらめいた!
「私、魔法使えるじゃん。」
そうなのだ。
この世界には魔法がある。
魔法は誰でも使えて、才能や鍛錬でレベルが上がって自分の持ってるスキル系統の難しい魔法が使えるようになる。
今までのルチアはほとんど魔法が使えないダメダメっぷりだったけど、それはコツが分かってなかっただけで前世を思い出した今ならもっとうまく使えると思う。
「ウォーター」
恥ずかしいから小さくつぶやくと。
「おお…」
コップに水が溜まった。
しかもちょっとキラキラして見える。
これは飲んでも大丈夫?と思って眉間にしわを寄せてコップをにらむ。
「ふぉっ。」
コップのまわりにピンクのもやもやが現れた。
これはさっきの水差しのもやもやのピンクバージョンだなと思って、水差しをにらむとやっぱりグレーのもやもやにまとわりつかれてる。
んー。ピンクとグレーどっち飲むかって言ったら、ピンクだよね!
私、ピンク好きだし。
「ぷはっ。」
思い切ってコップの水をぐびぐび飲むと、めちゃくちゃ美味しい。
人生で一番ってくらい。
「そっか。」
ちょっと分かったかもしれない。
この水差しの水は何日も変えられていないはず。
侍女は何人もいるけど完全に叔母の言いなりで私の世話を放棄しているから、水差しの水を変えるわけない。
なんならちょっと体に悪いものでも入れているかもしれない。
グレーのもやもやは毒ってことかな?
ピンクは無毒ってこと?
考えながら、まだちょっとしょぼつく目で部屋を見渡すとピンクに見えるものが他にもあった。
幼いころから大切にしているうさぎのぬいぐるみは薄ピンクのもやに包まれている。
実際にはあのイライザでも取り上げないくらい年季がかって汚れているけど。
ほかには日記もピンクだ。
今までの私は寂しい気持ちを日記に書くことによって慰めていたんだよね。
日記をパラパラとめくると所々からグレーのもやがポッポッと出てきた。
…どうやらイライザはルチアの日記まで盗み読みしているらしい。
もやもやは毒というよりはグレーが悪いもので、ピンクが良いものってことかな。
すっきりして、目もパッチリ覚めたところでもやもやは消えた。
ではでは、やってみようかな。
「ステータス!」
異世界転生の定番、ステータスオープンをしてみた。
出来るような気がしてやってみたらできたよ。むふっ。
ルチア・ニューマン 13歳 聖女と魔術師のミックス
レベル:2
スキル:空間 火 風 水 選択
んー。
ちょっと気になるところが色々あるけど、まずミックスってペットじゃないんだから。
と思うけど、亡くなった母が聖女だったというのは聞いたことがあるし、父クロード ニューマン伯爵は城勤めとしか知らないけれど魔術師なのかもしれないから、その父と母の娘ということなのかな。
レベル2ってめちゃくちゃ低くない?
普通の大人で10くらいで冒険者や魔術師だと50くらいらしい。
レベルの上限は100とも150とも言われててはっきりとは分かってない。
病弱気弱でおまけに放置のルチアだから仕方ないけどこれは特訓が必要だね。
それにしても「空間 火 風 水」とは、前世の最後の記憶そのままじゃないですか。
飛行機から見えた空、飛行機の爆発による火と爆風、最後に落ちた海の水。
スキルは経験で身につくことがあるらしいけどすごく稀で、ほとんどは生まれた時から持ってるスキルしか使えないし、スキルの数もほとんどは1つで、2つは珍しいけどたまにいるくらいで、3つはかなり珍しい。
以前のルチルは「風 水」のスキル持ちでそれも結構珍しかったんだけど、5つに増えるなんてすごい事だと思う。
それから「選択」。これがグレーやピンクのもやもやのことなんだろうか。
選択ということはどちらを選べばいいか分かるってことだよね。
これはとても有用なスキルだと思う。
ルチアはこのままでは早死にするかどんよりした人生を送ることになっていただろうけど、せっかく前世を思い出したんだから楽しく暮らしたい。
憂鬱な家族とはおさらばして自立する。
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