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「···················え?」
あまりの唐突な出来事に裏返りの声が出てしまった。
「····春馬、だよね?」
主人公の虹宮はキラキラした顔で俺を見てきた。
「はい、そうです。」と答えてしまえばきっとこの場は上手く収まるだろう。
だが、俺は言いたくない。考えてみろ?
今朝、俺の家に居た不審者だぞ?
例えこのゲームの主人公だとしても不法侵入で訴えるよ?え?
そんな奴に俺の名前を覚えられてたまるか。
俺は意地を張ることにした。
「いえ、違いますけど?」
我ながら何にも同様しているようには見えない素振りだろう。
俺の答えに虹宮は目を丸くした。
が、その後すぐにニマ~とニヤけて悪巧みをしているような顔で話をした。
「え~?じゃあ、昨日の夜、飼い猫にデレデレだったのは誰~?」
そう言って携帯を取り出し、録画していたであろう動画を俺に向けて見せてきた。
『シルクぅぅ!』
『にゃあ』
『なんでお前はそんなに可愛いんだ?』
『にゃあー』
『んふふ!にゃー』
「···················」
それは昨日の夜の俺がシルクに癒されている時の映像だった。
「······や、ちがう。·····俺、じゃ········」
まさにこれは公開処刑だった。
この動画を見てクラスメイトが何やらボソボソを呟いているが俺には聞こえてこない。
「じゃあ~これも??」
そう言って、抱き枕を抱えて寝ている俺の写真を見せてきた。
もちろん、クラスの人たちに。
(·······え?なんでこいつ、持ってんだ?は?·······え?なんで家に·····?え?)
漂う不信感と羞恥心で俺の気持ちはぐちゃぐちゃだった。
「ね~?違う?」
(······こいつ·····っ!)
きっと俺の額には立派な青筋が立っていることであろう。
俺はこの際、もう開き直ろうと思った。
「·········よ。」
「え?」
「そうだよ!!おれだよ!!猫なで声で喋ってんのも、その写真も!大体なぁ···俺は抱き枕が無いと寝れないんだよ!文句あんのか!?」
「···············」
もう、最後の言葉は八つ当たりだった。
そして、俺の放った言葉にクラスがシーンと静まり返った。
*****
星吾side
今日、このクラスに1人の転校生がやって来た。
何やら、あんまいけ好かない奴だと俺の脳が言っていた。
名前を、虹宮唯。
容姿は一際目立ち、よく通るその声にクラスは興味を持っていた。
すると、虹宮は自分の席に着くのではなく春馬の目の前に立った。
春馬は驚いているのか口をポカンと開けて、目をぱちぱちさせていた。
(·····可愛い。可愛い。)
虹宮は春馬の前に立つなり、キスをした。
触れるだけの、だったが、俺は頭に血が登り今にも飛び掛りそうだった。
更なる連続で、春馬が飼い猫と猫なで声で喋っている動画と、抱き枕を抱いて寝ている写真を見せられた。
(·······は?かわいいかよ。)
春馬に対する好感が上がるのと同時に、虹宮に対する嫌悪感と不信感が俺を襲った。
(······俺も写真持ってないのに!)
チラと横を見ると春馬は手を握ってプルプルと産まれたての子鹿のようになっていた。
「そうだよ!!おれだよ!!猫なで声で喋ってんのも、その写真も!大体なぁ···俺は抱き枕が無いと寝れないんだよ!文句あんのか!?」
目に涙を貯めながら、顔を真っ赤にしながら訴えた。
(······抱き枕が無いと寝れないとか、················はぁ、天使かよ。)
俺が春馬に熱い視線を向けていると、虹宮が俺に向かって「くっつけ」と口パクで言ってきた。
その言葉に不思議と嫌味を感じなかった。
あまりの唐突な出来事に裏返りの声が出てしまった。
「····春馬、だよね?」
主人公の虹宮はキラキラした顔で俺を見てきた。
「はい、そうです。」と答えてしまえばきっとこの場は上手く収まるだろう。
だが、俺は言いたくない。考えてみろ?
今朝、俺の家に居た不審者だぞ?
例えこのゲームの主人公だとしても不法侵入で訴えるよ?え?
そんな奴に俺の名前を覚えられてたまるか。
俺は意地を張ることにした。
「いえ、違いますけど?」
我ながら何にも同様しているようには見えない素振りだろう。
俺の答えに虹宮は目を丸くした。
が、その後すぐにニマ~とニヤけて悪巧みをしているような顔で話をした。
「え~?じゃあ、昨日の夜、飼い猫にデレデレだったのは誰~?」
そう言って携帯を取り出し、録画していたであろう動画を俺に向けて見せてきた。
『シルクぅぅ!』
『にゃあ』
『なんでお前はそんなに可愛いんだ?』
『にゃあー』
『んふふ!にゃー』
「···················」
それは昨日の夜の俺がシルクに癒されている時の映像だった。
「······や、ちがう。·····俺、じゃ········」
まさにこれは公開処刑だった。
この動画を見てクラスメイトが何やらボソボソを呟いているが俺には聞こえてこない。
「じゃあ~これも??」
そう言って、抱き枕を抱えて寝ている俺の写真を見せてきた。
もちろん、クラスの人たちに。
(·······え?なんでこいつ、持ってんだ?は?·······え?なんで家に·····?え?)
漂う不信感と羞恥心で俺の気持ちはぐちゃぐちゃだった。
「ね~?違う?」
(······こいつ·····っ!)
きっと俺の額には立派な青筋が立っていることであろう。
俺はこの際、もう開き直ろうと思った。
「·········よ。」
「え?」
「そうだよ!!おれだよ!!猫なで声で喋ってんのも、その写真も!大体なぁ···俺は抱き枕が無いと寝れないんだよ!文句あんのか!?」
「···············」
もう、最後の言葉は八つ当たりだった。
そして、俺の放った言葉にクラスがシーンと静まり返った。
*****
星吾side
今日、このクラスに1人の転校生がやって来た。
何やら、あんまいけ好かない奴だと俺の脳が言っていた。
名前を、虹宮唯。
容姿は一際目立ち、よく通るその声にクラスは興味を持っていた。
すると、虹宮は自分の席に着くのではなく春馬の目の前に立った。
春馬は驚いているのか口をポカンと開けて、目をぱちぱちさせていた。
(·····可愛い。可愛い。)
虹宮は春馬の前に立つなり、キスをした。
触れるだけの、だったが、俺は頭に血が登り今にも飛び掛りそうだった。
更なる連続で、春馬が飼い猫と猫なで声で喋っている動画と、抱き枕を抱いて寝ている写真を見せられた。
(·······は?かわいいかよ。)
春馬に対する好感が上がるのと同時に、虹宮に対する嫌悪感と不信感が俺を襲った。
(······俺も写真持ってないのに!)
チラと横を見ると春馬は手を握ってプルプルと産まれたての子鹿のようになっていた。
「そうだよ!!おれだよ!!猫なで声で喋ってんのも、その写真も!大体なぁ···俺は抱き枕が無いと寝れないんだよ!文句あんのか!?」
目に涙を貯めながら、顔を真っ赤にしながら訴えた。
(······抱き枕が無いと寝れないとか、················はぁ、天使かよ。)
俺が春馬に熱い視線を向けていると、虹宮が俺に向かって「くっつけ」と口パクで言ってきた。
その言葉に不思議と嫌味を感じなかった。
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