人気者達に何故か俺が構われすぎてます。

19

 教室に戻ると多くの生徒がグループを作って昼食を食べていた。


(愛希に礼言わなきゃだな······。)


王子達は相変わらず3人で楽しそうに昼食を食べていた。


(いやー近づきたくねぇ。)


礼は大事なことなので意を決して足を運んだ。


｢あ、····愛希保健室着いてきてくれてありがとな。｣


後ろから声をかけるとびっくりしたのか肩を震わせた。


｢春馬！もう大丈夫なのか？｣


｢あ、うん。｣


｢無理すんなよ。何かあったら言えよ。｣


｢ありがと俊介。｣


｢俺にも頼ってくれよ。｣


星吾は片腕を机につきながら空いた片手で横にいる俺の頭をポンポンと叩いてきた。


男にそれは····と思ったけど心做しか嬉しくてはにかんでしまった。


｢·····春馬～、そんな顔俺以外の前ですんなよ？｣


｢ん？··なんで星吾？｣


｢可愛いから。｣


(····可愛い？俺が？)


容姿の事をディスられた気分だった。

 
(俺は男ですー！)


頬を膨らませてムーってして目を逸らした。


ｸﾞｩｩｩｩｩ


轟音が教室に響き渡った。


ｶｱｧｧｧｧ


(は、····恥ずかしい！！)


俺よ。なんでこの状況で鳴る！？ほら！王子達驚いて引いた目で俺を見てるよ！？


｢可愛いなぁ((ﾎﾞｿｯ…｣


｢はぁ···天使((ﾎﾞｿｯ…｣


｢こりゃ敵が多いな((ﾎﾞｿｯ…｣


｢なんか言ったか？｣


ギロっと睨んだ。


｢いや。それよりお昼食べてないんだろう？はい、あーん。｣


俊介がパンを俺に向けてきた。


｢俺もはい、あーん。｣


｢2人ともずるい。春馬。はい、あーん。｣


(あざっす！みんな！)


そう言って口を開けて食べようとしたら、


チクチクチクチク


クラスの人の視線が集まった。


(ﾋｮｴｯ！····そりゃ、皆あーんされてるいい歳した男なんてキモイよな·····。)


俺は3人を無視して快達の元へ行った。


｢快～銀～歩夢ーー！｣


後ろから快の背中めがけて頭突きした。


｢うぉっ！？···って春馬！？｣


｢春馬どしたー？｣


快達といると家族とはまた違った安心が生まれる。


快がパンを食べていたから俺は甘い！と思って快の食べかけパンにかじりついた。


｢ちょっ！｣


｢ん～ふふ。もーらい！｣


｢お前なぁ～～！｣


｢あはははっ｣


｢快隙ありすぎだぞ？｣


(美味いなこのパン。)


しかし！これだけじゃ俺の腹は満たされない！


育ち盛りの男子高校生舐めんなよ。


｢お前な、腹減ってんなら言えよ。｣


｢····くれんの？｣


｢おう。はい俺特製たまごパン。｣


｢すげー！快料理出来るんだ！｣


サンドイッチの中には厚焼き玉子が入っていた。


｢そんぐらい出来るわ。春馬は？｣


｢ん～俺？まぁまぁ、かな。｣


曖昧に返してガブッと大きくかぶりついた。


｢んっ·····｣


｢は、春馬？｣


｢快のパン合わなかった？｣


｢不味かったか？｣


｢んぅ···うんめえ！！｣


なにこれ！凄！


卵は冷たいけどちゃんと柔らかくて、ふわふわだ！


(俺も作りてぇな····。よし！今度教えてもらおう！)


｢なんだ····ビビらせんなよ。｣


快が安堵の息を吐いた。


しっかし、スポーツも出来て頭も良くて性格も良くて料理もできて、おまけに顔も良いって····どんだけ恵まれた奴だよ！


(神様は、なんて不平等なんだ····。)


またしても俺は俺たち4人のことをずっと見ている攻略者達に気づくことが出来なかった。