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目が覚めるとそこは見慣れない天井だった。
(····ここって·······)
「お?起きたか。体調どうだ?」
保健室の先生が顔を覗き込んできた。
「もう、平気です。」
朝より大分マシになった気がした。
「念の為体温測れ。」
そう言って体温計を渡してきた。
「はい。」
体温計は冷たくて少しブルっと震えた。
ピピピピ
「36.4です。」
「平熱だな。授業に戻っていいがまた体調悪くなるようなら文哉に言うんだぞ。」
「·····文哉?」
聞いたことの無い名前だなと思い頭にはてなマークが浮かんだ。
「あー二階堂のことだ。」
(へぇ二階堂先生って文哉って言うんだ。)
「仲良いんですね。」
質問すると桜井先生は頭をガシガシかいた。
「ま、まぁな。」
その顔はほのかに赤らめていてそれはとても可愛らしかった。
「あ!愛希と兄弟なんですか?」
話のワードを変えたくて咄嗟に思い出したように話を切り出した。
「あ?···そうだ。歳は離れてるが血の繋がった兄弟だ。」
「へ~、だから目元がそっくりなんですね。」
「目元?」
「はい。ぱっちり二重と少しタレ目なのがよく似てるな~って。」
「····そうか。」
(····なんかまずいこと言ったかな?)
決してそういう訳ではないと訂正しそうとしたらタイミングよくチャイムが鳴った。
「はいはい。これで話は終わり。元気なら戻れ。」
しっしっ、と手で去るように合図してきた。
「はい。ありがとうございました。」
俺は保健室を後にした。
*****
俺は結構な時間寝ていたらしく、時計を見るとお昼の時間だった。
(····お腹減ったな。)
俺の腹の虫が音を立てた。
今日は弁当を持ってくるのを忘れちゃったから購買で買うことにした。
ここの購買は特にパンが美味しいと評判だ。
購買へ足を運んでいると朝と同様にたくさんの人に見られた。
(·······え、何?)
その中には1年だけじゃなくて、2年、3年もいて威圧感が凄かった。
お昼時ってだけあって購買は混んでいた。
(·····パン、買えるかな?)
人混みを避けながら購買へ向かった。
「おばちゃん、何かパンある?」
パンを売ってる購買のおばちゃんに聞いた。
「こりゃ、可愛い子だね~。1年生かい?」
「はい。実はお弁当持ってくるの忘れてしまって·····。」
「そりゃ、可哀想に。ちょっと待ってな。」
「ありがとうございます。」
おばちゃんはそう言って調理場の方へ歩いていった。
俺がおばちゃんを待ってると3人の先輩が購買へ来た。
「おばちゃん~!」
1人の先輩がそう呼ぶとおばちゃんは奥からはいはい。と言って戻ってきた。
「あらあら。君もかい。」
「いや~お弁当忘れちゃって。」
「悪いけどパン1つしかないのよ~。それにこれは先に来たこの子のだから。」
おばちゃんはそう言って俺の手にパンを乗せてきた。
先輩は俺の方を見てきた。と思う。
俺は怖くて下を向いたまま話を進めた。
(·····これって譲ってあげなきゃだよね?)
「あ、おばちゃん。俺はいいよ。···良かったらどうぞ。」
そう言って先輩の手にパンを乗せた。
(····って、この人3年のクラスでぶつかった人だ!!)
「···え?って君、名前···「失礼します!!」」
俺は言葉をさえぎって逃げるように走った。
(あっぶねー!冷や汗たまらんわ!)
結局パンを買えなかった俺は諦めて教室に戻ることにした。
(····ここって·······)
「お?起きたか。体調どうだ?」
保健室の先生が顔を覗き込んできた。
「もう、平気です。」
朝より大分マシになった気がした。
「念の為体温測れ。」
そう言って体温計を渡してきた。
「はい。」
体温計は冷たくて少しブルっと震えた。
ピピピピ
「36.4です。」
「平熱だな。授業に戻っていいがまた体調悪くなるようなら文哉に言うんだぞ。」
「·····文哉?」
聞いたことの無い名前だなと思い頭にはてなマークが浮かんだ。
「あー二階堂のことだ。」
(へぇ二階堂先生って文哉って言うんだ。)
「仲良いんですね。」
質問すると桜井先生は頭をガシガシかいた。
「ま、まぁな。」
その顔はほのかに赤らめていてそれはとても可愛らしかった。
「あ!愛希と兄弟なんですか?」
話のワードを変えたくて咄嗟に思い出したように話を切り出した。
「あ?···そうだ。歳は離れてるが血の繋がった兄弟だ。」
「へ~、だから目元がそっくりなんですね。」
「目元?」
「はい。ぱっちり二重と少しタレ目なのがよく似てるな~って。」
「····そうか。」
(····なんかまずいこと言ったかな?)
決してそういう訳ではないと訂正しそうとしたらタイミングよくチャイムが鳴った。
「はいはい。これで話は終わり。元気なら戻れ。」
しっしっ、と手で去るように合図してきた。
「はい。ありがとうございました。」
俺は保健室を後にした。
*****
俺は結構な時間寝ていたらしく、時計を見るとお昼の時間だった。
(····お腹減ったな。)
俺の腹の虫が音を立てた。
今日は弁当を持ってくるのを忘れちゃったから購買で買うことにした。
ここの購買は特にパンが美味しいと評判だ。
購買へ足を運んでいると朝と同様にたくさんの人に見られた。
(·······え、何?)
その中には1年だけじゃなくて、2年、3年もいて威圧感が凄かった。
お昼時ってだけあって購買は混んでいた。
(·····パン、買えるかな?)
人混みを避けながら購買へ向かった。
「おばちゃん、何かパンある?」
パンを売ってる購買のおばちゃんに聞いた。
「こりゃ、可愛い子だね~。1年生かい?」
「はい。実はお弁当持ってくるの忘れてしまって·····。」
「そりゃ、可哀想に。ちょっと待ってな。」
「ありがとうございます。」
おばちゃんはそう言って調理場の方へ歩いていった。
俺がおばちゃんを待ってると3人の先輩が購買へ来た。
「おばちゃん~!」
1人の先輩がそう呼ぶとおばちゃんは奥からはいはい。と言って戻ってきた。
「あらあら。君もかい。」
「いや~お弁当忘れちゃって。」
「悪いけどパン1つしかないのよ~。それにこれは先に来たこの子のだから。」
おばちゃんはそう言って俺の手にパンを乗せてきた。
先輩は俺の方を見てきた。と思う。
俺は怖くて下を向いたまま話を進めた。
(·····これって譲ってあげなきゃだよね?)
「あ、おばちゃん。俺はいいよ。···良かったらどうぞ。」
そう言って先輩の手にパンを乗せた。
(····って、この人3年のクラスでぶつかった人だ!!)
「···え?って君、名前···「失礼します!!」」
俺は言葉をさえぎって逃げるように走った。
(あっぶねー!冷や汗たまらんわ!)
結局パンを買えなかった俺は諦めて教室に戻ることにした。
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