もふもふパラダイスと神の野望

祭りー国民

「お嬢さん、串焼きはいかが？美味しいよー！」

「果実水はいかがー？冷えてるよー！！」


城から神殿までの道のりにあるいくつものお店から威勢のいい声が飛ぶ。

今日は年に一度の神に感謝を捧げる祭りの日

今日から新たな一年の幕開けに、皆が笑顔を浮かべ、この日を楽しみにしていた。

私を除いて。


そう、私を除いてだ。


私は前世地球のアメリカに住んでいた。
国籍は日本だけど、留学していた学生だった。

銃社会アメリカで、突如起こった銃乱射事件の被害者となってしまった私は、気がつけばここ、ウェンゼル帝国の国民に生まれ変わっていた。


前世の記憶が戻ったのは私が12歳の時。

この国は12歳になると国が運営している魔法学校へ入学する。

その際、本人がどんな力をどの程度持っているか調べる事になっているのだが、私は２種類の魔法、光属性と水属性を持っていることがわかった。

まずこの世界では生まれながらに属性を2つ持っているのは珍しい。
ましてや光属性などは初めての事らしく、力を調べる神殿でちょっとした騒ぎになった。

そしてその時に私は思い出したのだ。


この世界がゲームに出てきたウェンゼル帝国だという事と、そのゲームの主人公に転生してるということを！

そのゲームでは、主人公の名前がミリアン＝ライザック(14)
私の今の名前だ。
主人公は国が運営している魔法学校へ12歳で入学する。その2年後魔王が誕生したと神託が降り、光魔法が使える主人公と、人国の魔術師である第一王子、王子の護衛騎士である騎士団長、神殿で神官を纏める神官長の4人で魔王を倒す旅にでる。

戦闘あり、恋愛ありのこのゲーム。
ゲームをする側は主人公を男女どちらでも選択できて同行者の性別もどちらにするか選択可能のゲームだった。
なので男女供に人気を博し、アメリカでも販売されていた。

私は現在14歳となった。
ゲーム通りなら、これから魔王が誕生するはずなのだが、神の神託では神子が現れるとか言っちゃってる…

どういう事なのか…
ゲームの登場人物と同名で顔も同じ、立場も同じ人達が居るこの世界。(12歳の時に調べ済み)


魔王が誕生しないなら、王子達に近づく事すらできないではないか！

私は前世、恋愛に夢を見ていた。
けど現実では、歯の浮くような甘い言葉を言ってくれるイケメンなんて存在しなかったし、彼氏は居たけどこの世界みたいに唯一の人ってわけでもなかった。

だから恋愛シュミレーションゲームに興味があったが、周りの目が怖くて一切やったことがなく、皆がやっている恋愛要素を含むこのゲームで、逆ハーを狙っていた。

けど、所詮はゲーム。
恋愛ゲームじゃないから逆ハーが無かった。

だからこそ、この世界に生まれたからには逆ハーをしようと思ってたのに！！