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SIDE セイ&静流
しおりを挟む今日俺達は結婚した
出会ってまだ少ししか経ってない
人生とは不思議なものだ
兄ちゃんが理一と出会って
ただそれだけだと思っていた
俺は今まで通り、大学を4年で卒業して兄ちゃんを支える為に組に入るのだと思っていた
全てを諦め、唯一の希望は兄ちゃんの存在だけ
こうやって生きていくのだと思っていた
けど……
矢沢の事件が起こり状況は一変した
組長達を裏切る好機が訪れたのだ
まさか麒麟会会長が直々にやってくるとは思いもしなかったけど
でもその出会いが今に繋がっている
まるでロボットだと思っていた静流は愛情深く、仲間を大切にし、仲間にだけ弱い姿を見せてくれる
少し…いや、結構人とズレた所もある人だけどそれを仲間がフォローしている
俺の目を綺麗だと言ってくれた
俺を愛していると言ってくれた
俺はこの男が好きだ
この男を一目見た時から囚われていたんだ
決して抜け出す事のできない
龍洞静流という大きな檻の中に
自分から飛び込んでしまった
ずっと囚われていたい
死ぬ時すら静流の腕の中で死にたいと思うど俺は静流を愛している
今日セイと結婚した
俺が誰かを愛し愛される人生を送れるとは思っていなかった
他の人と違うという事は、良い事は一つもなかった
化け物と言われ、まるで兵器のように扱われた
寄ってくる奴は決まって権力か金かこの見た目か、そのどれもかを手にしたくて『愛してる』と近づいてきた
『お前の事気に入らねぇ』って近づいて来たのは穂高だけだった
でも最初は、気を引く為にそう言っているのだと思い完全に無視をした
穂高はそれにブチ切れて殴り合いの喧嘩勃発
お互いボロボロになった後、穂高から言われた
『お前の周りはそんな奴しかいねーかもしんねーけど、俺の周りは違うからな!お前に一生かけて教えてやる!』
頭のおかしい奴だと思った
でも穂高がアメリカへ来る度友人の話をするものだから、興味が湧いてきてしまった
そして俺は日本へと来た
日本で穂高の友人である旬達と出会い『友情』と言うものを知った
それから麒麟会を継いで、旬と光一を引き入れた
麒麟会を継いだ時は、運営は最悪の状態だった
しかし各系統の組がしっかりと支えてくれていた為、総崩れせずに済んでいた
命を狙われるのも日常茶飯事で、あの時旬と光一が支えてくれていなければ、俺は全てが面倒になり独裁者となっていたと思う
そして虎と出会い、その虎を追いかけて鷹が麒麟会へ来た
それからも問題は沢山あったけど支えてくれる皆のおかげでやってこれた
でも足りなかった
俺と同じ目線で先を読み下を動かせる奴が
日本に来た時に出会った橘晶が欲しかった
まさか晶から接触して来てくれるなんて思わなかったけど
この成長した晶との出会いが俺の人生を大きく方向転換させる事になる
セイとの出会いだ
恋とは落ちるものと聞いた事があるけど、確かにその通りだ
底の見えない大きな穴に落ちてしまった
俺の心に空いた穴を塞ぐ為に存在しているかの様に思えた
愛しくて愛しくて、失えば狂ってしまうんじゃないか、生きていけないんじゃないかと恐怖するほど
セイは俺の全てになった
そんなセイと今日結婚した
「セイ」
「静流」
何度も抱き合った後、腕枕をすれば擦り寄ってくる愛しい伴侶
「俺……人を愛する事がこんなにも幸せな事だと思わなかった」
「静流………」
「セイ、俺…怖い………」
セイをギュッと抱きしめる
「……怖い?」
「こんなに幸せなのに、いつかこの幸せがなくなってしまうんじゃないかって……」
「静流……大丈夫だよ。幸せが無くなる時は俺達が一緒に死ぬ時だから。」
まるで聖母のような微笑みをするセイを思わず抱きしめる
「静流、静流はもっともっと幸せにならなきゃいけないんだよ。」
「もっと…?」
「うん。キリスト教の教えでは、死ぬ時は幸せも不幸も同じ量を経験して死ぬんだって。
静流はずっと幸せだって思えない人生を送ってきた。
だからこれからは幸せを沢山感じなきゃいけないんだよ」
死ぬ時は幸せも不幸も同じ量……か………
「じゃあセイも沢山幸せにならなきゃね?晶とのが居てくれたと言っても、セイも中々な人生歩んでるから」
「確かにそうかも」
プッと二人で吹き出した
「ねぇ……セイ?」
「ちょっ!!既に何回したと思ってるの?!」
硬く勃ち上がったそれをセイの腹に押し当てる
「覚えてないなー。だって仕方ないじゃん?セイと抱き締めあってるんだから。」
「いや……俺もう出ないから…」
「大丈夫。これがあるし。」
コックリングを見せニッコリと笑う
「それ………」
口元を引き攣らせるセイは逃げようと腕の中でもがく
「セイ、今日はいっぱい愛させて?」
耳元で囁いてキスをすれば「ぅにゃ…」と可愛い声を出してくれる
すぐに上に覆いかぶさり激しくキスをした
次の日、どこの嫁も足腰が立たずグッタリとしていて俺達旦那組は嫁の機嫌をとるのに必死で仕事をほっぽっていた
でも優秀な部下たちのお陰で仕事は滞りなくその日は終了した
本当に良い仲間達に巡り会えたな
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