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SIDE 光一
しおりを挟む「失礼します」
ついさっき出ていった虎が戻ってきた
「え?虎??どした!?」
春が慌てる
虎が無表情な上に目に怒りを宿している
まさか……プロポーズ失敗?
多分皆の頭の中に浮かんだろう、その言葉
どうしようって皆の顔に書いてある
「本日18時に競技場において下剋上バトルを行う事を許可して頂きたいのですが。」
「「「「「下剋上バトル!?」」」」」
おいおい、マジかよ………
「誰と誰のバトルなの?」
静流が会長としての顔で尋ねる
「鷹と『組員見習い』の高瀬です」
「……まてまて、どうしてその2人が?実力差半端ねーぞ?」
確実に高瀬が死ぬやつだろ
「高瀬が、鷹に『会長専属組員になれたのってどうせその顔で取り入ったんでしょ?どう見ても三宅さん小さいし力無さそうだし、強そうに見えないですもん。』と。
元々見習いが専属組員へ付き纏う事も禁止されてますが決まりを守らない為既に15回ペナルティーを受けていたんです。
今回は鷹をデートに誘いに来て拒否され、説教され逆上したというところです。」
虎が高瀬のマネをしながら理由を話すが似すぎていてイラッときた
「ああ。光一から聞いていた問題児ね。いいよ、普通にクビにしても鷹にストーカーしそうだし、高瀬の様な奴が出てきたら面倒だからね。
本来の鷹をこの機会に披露するのも良いんじゃない?」
静流はニッコリ笑う
「本来の鷹って何?」
晶が首を傾げる
「鷹って、上を立てるから常に後衛してるけど本来は特攻型でクソ強いんだよ。
高校卒業して直ぐ専属組員試験受けに来て一発合格だぜ?
戦い方によったら璃一より強いかもしれない。」
俺がそう言うと晶は驚いた顔をする
記憶を思い出した璃一の強さをこの前実際に見ただけに、鷹まで璃一並みだなんて信じれないんだろう
「鷹は隠すのが上手いんだよ。弱く見せる事に長けてるというのかな。自分より強い相手でも、実力よりも弱く見せる事によって相手の隙をつき勝ってしまうんだ。」
入社試験で見せた鷹の戦闘能力は静流の折り紙付きなんだよな
「へぇ…その鷹を今日見れるってこと?」
わくわくしたように晶が言う
「許可が出ましたので、客席からご覧になれます。では私は準備がありますので失礼します。」
虎は一礼して出ていった
「因みに下剋上バトルって何なの?」
晶は知らなかったらしい
「下剋上バトルとは、下の者が上の者に戦いを挑む事ができる制度。前会長の時の一般組員の幹部が実力ではなく舎弟頭のお気に入りで成り立っていたんだ。
俺の代で実力主義に変わったことによってこの制度を作った。
簡単に言えば殺し合い。
下剋上バトルの時に相手を殺してしまってもお咎めなしなんだよ。
命をかけて下剋上バトルをし、下剋上が成功すれば下の者は上の者の役職を奪う事ができる。
しかし失敗すれば、死ぬ。」
静流がそう説明すると、晶はうーんと唸る
「でもそれじゃあ、上の者が下剋上バトルを受けるメリットないよね?」
「うん。でも下剋上されるって事は、舐められてるか部下から認められていないかな訳だから、プライドがあれば必ず受けるしかない。
この下剋上は行われても行われなくても、麒麟会組員全員に通達される。
もし上の者が下剋上を受けなければ、他の組員からどう思われると思う?」
「なるほどね。下剋上を受けなければ、実力がないのかと思われて誰もついてこなくなる…か。」
「そういう事。だから専属組員は常に光一の指導のもと鍛錬を欠かさない。」
「下剋上され、もし負ければ本人だけじゃなく静流にも危険があるかもしれないもんな。」
「うん。」
この下剋上は一般組員同士なら傍観できるが、今回の様に一般組員が専属組員へ下剋上を申し込めば静流の許可が必要になる
下剋上を申し込んだ組員がもしもスパイだったり暗殺者だった時、もし専属組員が負けてしまったら静流の命に関わるからだ
「前にも一度、一般組員から専属組員への下剋上あったよね?」
樹がお菓子を食べながら言う
「あぁ、虎の時だろう。」
春がテーブルの上の書類を片しながら答える
「虎も下剋上したのか?」
晶がタバコに火をつけながら聞く
「いや、虎が入社して数日後、下剋上されたんだよ。」
静流が晶の懐からタバコをくすねながら答えた
静流がタバコ吸うなんて珍しいな
セイに出会ってから禁煙してたのに
「入社して直ぐって事?なんで?」
晶は静流を咎めることなく、火をつけてやっている
「虎が昔虐められたり喧嘩売られたりしてたのは知ってるだろ?
虎を学生時代虐めていた奴が一般組員に居たみたいでな。
専属組員は麒麟会の華形だろ?そこに虎がいる事が納得できなかったみたいでな。
こちらに確認もなしに虎を競技場に連れて行って下剋上を申し渡したんだ。
他の組員から俺の所へ連絡が来て、静流達を連れて急いで競技場に向かったんだ。
虎には下剋上の事自体まだ説明してなかったから、案の定虎は防御のみで相手を攻撃していなかった。」
「あれは最低だったねー。」
俺の説明に、樹は懐かしそうな顔をする
「一旦中止させ、虎に下剋上について説明した。その上で下剋上を受けるか虎に決めさせたんだ。
虎は下剋上を受けた。
相手を怪我させても、殺してしまっても咎められないと知った虎は相手を直ぐにボコボコにした。
けどなぁ……武器は使用禁止のルールを破って、相手はナイフを隠し持ってたんだ。
こっそりと上司が渡してたらしくてな。
流石に静流がキレたんだよな。」
「うん、全てのルールを無視したからね。もう麒麟会に必要ない、排除しないとなって思って虎に『虎へ命令する。アイツを殺せ』って命令した。
虎は顔色も変えずに『わかりました。』って言って有言実行。虎は武器も無かったけど、速攻で終わらせた。
その時に、異例ではあるけど虎は光一の直属の部下になったんだよね?」
「ああ。静流の命令をすぐ実行できる奴はなかなかいないからな。常に無茶言うから。」
「確かに」
春も晶も笑う
「そろそろ行く?セイ達はまだ帰って来ないんだろ?」
今日、旬とセイと璃一は3人で出かけている
3人だけでは駄目だと言ったが榊を連れて行く、ちゃんと特注のGPSをつけて行くという条件で外出を許可した
3人はショッピングモールへでかけているようだ
晩御飯も食べてくると言う嫁達に、仕方ない…と俺達は俺達で集まっていたというわけだ
「セイ達はご飯食べてから帰ってくるから早くても20時かな……」
静流が寂しそうな顔をする
「まぁまぁ、たまには嫁にも羽根を伸ばさせてやらないと飛び立たれたら困るだろ?」
フォローにもなってないフォローを樹がいれる
「…………飛び立つ…?」
静流の顔が怖くなる
既にプチ家出された事のある静流には禁止の話題だ
「ほら!行くぞ!時間そろそろだから!」
晶が静流を無理やり立たせ部屋を出ていった
「あっぶねー…」
そんな樹の言葉を聞きながら、俺達も部屋を出た
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