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SIDE 旬
しおりを挟む静流がセイ君と離れ離れになった時に溜まった仕事がやっと片付きました
あまりにも溜まっていたせいで、会合の日程に間に合わず会合は延期…………
その延期期間にずっと手を付けれなかった件をいくつか晶が請け負ってくれて色々な情報が集まりました
最近では樹と春人も泊まり込み日夜会議ばかり行っています
しかし静流もセイ君が側に居る事でやる気を出しそんな静流を見て麒麟会の部下達の士気も上がり、ハードスケジュールではありますが次の日曜日に総会を開く事になったのです
ですが嵐は突如としてやってきました…
「静流さん、長老様達も私が嫁ぐのが一番だと仰ってましたわ。いくら同性婚が認められているからと言っても貴方は龍洞財閥の会長ですわ。
ちゃんと女性と結婚し子供を設けるべきですわ。」
龍洞財閥の顧問達を纏めて老師会と呼ぶのですが、その老師会が動き出しました
この櫻川財閥の長女、櫻川玲美を静流の婚約者にと連れてきたのです
会議中の突然の訪問でしたが、老師会のメンバーと同行していた為下の者が通してしまったらしく、会議室の前まですんなりと辿り着いてしまったらしいのです
虎と鷹が会議室の外で食い止めていましたがあまりにも煩く、会議どころではなくなってしまった為ドアを開けると、顧問3名と櫻川会長と娘の玲美が押し入ってきました
そして静流が口を開かないことを良い事に、顧問は櫻川達を紹介し婚約者にすると言い出したのです
これは老師会の創意で拒否は出来ないと
我々一同呆れていましたが、今度はセイ君を攻撃してきました
男の嫁になんのメリットがあるのか
老師会は男なんぞ認めない
櫻川と縁を結べば日本は安泰だ
国民もこんな何も持っていない男なんぞを嫁にしても認めてくれない
などなど好き放題に言います
静流は何も言わず膝に寝そべってパソコンをイジったままのセイ君の頭を撫でています
我々も当の本人達2人がなんの反応も示さないので黙って成行きを見守ります
「聞いてらっしゃいます?静流さん、私初めて貴方に会った時から貴方の事を愛しておりますの。龍洞財閥と櫻川財閥が親族になれば右に出る者はおりませんわ。
なんなら、その男はペットとして飼っていただいて構いません。」
玲美は綺麗な顔はしていますが心はドブより汚かったようです
晶が遂に殺気立ちましたが、璃一が隣で手を握り宥めています
そんな璃一の顔も怒りで歪んでいます
「………静流疲れた」
フイに顔を上げたセイ君はそれだけ言いパソコンを閉じました
「休憩しようか。」
静流は目元を緩めセイ君を軽々と抱き上げると向き合うように膝に座らせます
我々も静流の休憩という言葉に個々に動き出します
電話を掛けに行く者、珈琲を入れに行く者、雑談する者
静流とセイ君は互いの耳元で囁き合ってクスクス笑っています
その姿に私だけでは無く晶もホッとした顔をしました
無視され続けている彼等は我々の行動に驚いた顔で突っ立っています
邪魔ですね
春人が差し出してくれた珈琲を受け取り一口飲んでから視線だけ静流達に向けるとセイ君とバチッと目が合いました
セイ君は目を細め悪戯っ子のようにニヤッと笑うと人差し指を口に当てました
……これは口を出さないようにってことでしょう
仕方がないと思いつつ、皆へチャットを飛ばします
旬【これから起きる事に口出し無用】既読
晶【またセイが悪戯っ子な顔してるぞ】既読
光【外に待機はさせとく】既読
春【なにやるのかな~?】既読
晶【ダークセイ降臨か?】既読
旬【ダークなセイ君はなかなか怖いんですが…】既読
春【確かに!いつもは好青年だから余計怖い!】既読
晶【そうか?毒舌なのは昔からだぞ?アイツ猫被るの得意だから好青年に見えるかもしれないけど猫ハグと凶暴な虎だぞ】既読
光【どっちにしろ猫科】既読
春【猫(ΦωΦ)】既読
旬【猫((≡゚♀゚≡))】既読
樹【アッチもネコwww】既読
晶【樹ぶっ殺】既読
樹【ホントの事じゃん!】既読
春【お兄ちゃんとしては弟のエロい部分は見たくないんだよwww】既読
光【自分もエロい事してるくせに?】既読
晶【してねぇよ!!】既読
旬【え?してないんですか??】既読
晶【黙秘する】既読
春【晶ED??】既読
光【静流に診てもらうか?】既読
晶【EDじゃねーし!】既読
樹【晶はED_φ(・_・】既読
旬【良い玩具貸しましょうか?】既読
晶【もうヤダ…お前達……】既読
晶をからかいつつチャットを終了させゾロゾロと席に戻ると見計らっていた静流が口を開きました
「いつまで居るつもりですか?会議ができないんですが。」
冷たい視線を顧問達に向けます
「何と言う口の聞き方!!私達の推薦があったからこそ会長にまでなれたというのに!」
「口の聞き方に気をつけなさい!私達が出向いてやったのにその態度は何なんだ!!」
顧問は怒りを顕にし怒鳴ります
「……口の聞き方に気をつけるのはあんた達じゃないんですかね?」
セイ君は静流の膝へ座り直し顧問達を見据えました
「お前…!」
「あんたにお前と言われる筋合いはないですよ。龍洞財閥の会長は龍洞静流だ。さっきから聞いてればあんた達何様ですか?
出向いてやった?誰も頼んでません、むしろ邪魔なんですけど。
推薦してやった?静流が会長の席を望んでたわけじゃない。あんた達が勝手に推薦したんでしょう。」
睨んでいる訳でもないのに、部屋の空気がピンと張り詰めます
静流はセイ君を後ろから抱きしめ肩に顔を埋め俯いたままです
「お前には関係ない!口を挟むな!」
「関係ないのはあんた達ですよ。顧問なんて名ばかりの爺共が。静流がお前達を頼った事が一度でもありますか?
話を通されてはいても相談された事はないでしょう。
お前達に相談してどうなります?知能も知識も静流より下のお前達が静流の何の役に立つって言うんです?
いつまでも寄生虫みたいに龍洞財閥に寄生して恥ずかしくないですか。龍洞財閥の名前を使って豪遊しまくって、権力を振りかざす。その金は静流が指示を出して部下が働いて稼いだ金です。お前達が使っていい金じゃないんですよ。
それにね、権力は己の為に振りかざすものでもないんですよ。そんな事も知らない馬鹿が龍洞財閥の顧問だなんて本当に恥晒しですね。」
なかなか辛辣な言葉で痛い所を突かれ返す言葉もないのか言葉を詰まらせる顧問達
「君、言葉がすぎるんじゃないのか?そう言う君こそ部外者だろう?こちらは今大人の話をしてるんだ。子供は黙っておくべきじゃないかね?」
今まで黙っていた櫻川会長がセイ君に嫌な笑みを向けます
自分達には老師会が付いていると高をくくっているのでしょうか
「部外者…ですか?」
そんな櫻川会長にセイ君はクスッと笑いました
「何がおかしいのかね?」
セイ君の態度に眉を寄せる櫻川会長
「ねぇ静流。俺部外者らしいよ?」
セイ君は肩にある静流の髪に指を差入れ撫でると、静流がゆっくりと頭を持ち上げました
「ヒッ!!」
静流の今にも人を殺しそうな目にロックオンされた櫻川会長はヨロヨロと後退りへたり込んでしまいました
「…俺のセイが部外者……?セイは俺の伴侶だよ?」
静流は目を細め一人一人顧問を見据えて行きます
顧問達はビクッと体をはねさせ俯きました
「顧問の皆さん、これ以上俺の邪魔したら………消すよ?櫻川財閥さんも、セイに何かしたら表舞台から抹殺してあげる。そこの女連れて早く帰ってくれない?
その女が視界に入るだけで殺したくなるからさぁ……」
普段苛ついても龍洞財閥の会長で居る時に殺気だけは放たない(相手はカタギの人間なので)静流が今回ばかりはそうではないようです
静流の殺気には慣れている私でもゾワッとし喉の奥が張り付く様な感覚になります
玲美のセイ君をペットにして飼えばいい発言に相当キレているのでしょう
時間差で怒りを顕にしないで欲しいです…
顧問達も櫻川会長も玲美も恐怖に固まり真っ青な顔をしたまま動きません
いえ、動けないと言った方が正しいですね
「しーずーる。」
そんな殺気をもろともしないのがセイ君です
「そんなに殺気立ってちゃ、この人達退出できないでしょ?」
「…………」
静流はそれでも殺気を抑える事をしません
「…仕方ないなぁ。」
セイ君はそう言うと体を捻り静流の両頬を掴むとキスを始めてしまいました
最近静流に毒されたのか、人前でも恥ずかしがる事無くイチャつく様になった二人
ですが流石にこれは驚きました
いつもは静流から手を出してセイ君が流されてというのが常だったのです
静流も目を見開き驚いていますが、相当セイ君からのキスが嬉しかったのか、目をふやけさせ手をセイ君の頭に移動させました
あ………スイッチ入った…………
私達は顔を見合わせ、床に座り込んだままの顧問達を無理矢理立たせ引きずりながら退出を余儀なくされたのでした
「今日の会議は終了ですね」
「だな」
「見張りも階段迄下げておこう」
「セイ君の声聞いた奴、生きていけないからね」
「晶~、お仕事終わりなら僕達も帰ろ?」
「そうだな。」
「お?お前達もか?」
「樹、マジで殺すぞ」
「お前達もってー?」
顧問達を敷地内から追い出した私達はバカ話をしながら帰宅したのでした
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