裏切りの蜜は甘く 【完結】

SIDE 璃一

無事ホテルにチェックインできた

ホテルなんて初めてで、どんな所かドキドキしたけど、凄く綺麗でとても広い

部屋に案内され来てみると、ホテルと言うよりは家だった


キッチンもリビングもダイニングも有って、両隣に扉が何個もある


「ほわぁ～……すごい…」


気分が悪いのも忘れ思わず呟く


「２人共、俺は荷物を取りに行くから２人はゆっくりしといて。お腹が減ったらルームサービスでも頼んだらいいから。」


晶はそう言って出ていった


「璃一、部屋の中見てみる？それとも横になる？」


セイ先生に聞かれ、一度横になれば暫く起き上がるのはしんどいだろうと思い、先に部屋を見ると答えた


車椅子を押してもらい見た部屋は、ベッドルームが２つトイレもお風呂も２つ、ピアノが置いてある部屋が一つ喫煙ルームが一つ、サンルームも付いていた


多目的トイレが近いベッドルームで僕は休む事になった


杖も荷物と一緒にあるから、トイレに行くには車椅子に乗せて貰って介助してもらわないといけないからだ


「お腹は空いてない？」


「うん、むねがムカムカしてあたまがいたい…くるまにゆられたから、けがしてるところもいたい…」


大きなベッドで横になり、セイ先生の問診が始まる


「取り外し可能なギプスに変えたから強度が弱かったんだね。あのままの方が良かったね…」


ごめんねと謝るセイ先生に首を振る


「かーくんのくるまでは、きもちわるくならなかったし、いたくもなかったよ。おおさかのうんてんしゅさんがあらいうんてんだったから…」


「確かに荒かったね。俺も酔いそうになったよ」


久しぶりに見るセイ先生の笑顔


「おおさかのひとはみんなあんなかんじかな？」


それなら出かける時タクシーに乗るのは嫌だな…


「どうだろうね？でも他の車も我先にって感じだったから、出掛ける時は電車かレンタカーを借りて兄ちゃんに運転してもらおうか？」


晶の運転…見てみたい！


「うん！！」


「フフッ…璃一は本当に兄ちゃんが好きだね？」


「うん、だいすきだよ！セイせんせいもだいすき！」


「ありがとう。俺も璃一が大好きだよ」


優しく微笑むセイ先生に胸がポカポカする


「ご飯は兄ちゃんが帰って来てから一緒に食べよう。胸のムカつきと頭痛は車酔いだと思うから、少し眠れば治るよ。」


「わかった、じゃあセイせんせいもとなりでねて？ベッドひろすぎておちつかない…」


僕が眠ってる間に何処かに行っちゃいそうな気がしてそう言ってみる


「俺も？………いいよ。じゃあ兄ちゃんが帰ってくるまでお昼寝しよっか」



そう言って上着を脱ぎベッドへ入ってくれた


「おやすみ、璃一。」


「おやすみなさい」




暫くするとセイ先生の寝息が聞こえてきた


疲れたのかな？


眠ったセイ先生に安心して僕も夢の中へ入っていった