裏切りの蜜は甘く 【完結】

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22時30分

呼ばれた部屋へ向かうと、そこに居たのは吾妻組の若頭と喜多川の2人、護衛なのだろう麒麟会の組員が3人側に控えている


「そこに座って下さい」


喜多川に促され座ると、喜多川にコードのついたナックルの様な物を指に付けられた

つけた途端それが指を締める


「会長が戻られるまでに色々と確認する事があります。素直に話せば命までは取りません。ですが嘘を付いていると判断した場合や黙秘した場合、指に付けたその機械が指を切断しますのでちゃんと答えてくださいね?」


冷たい目で口元だけ笑う喜多川にゾッとし、頷く


「先に貴方の妻である百合さんを尋問させて頂きました。その後古株の組員からもお話をお聞きしたんですが……元々は貴方、百合さんのお姉さんと結婚するご予定だったとか。ところがお姉さんは拒否した…間違いないですか?」


「…そうです。」


「当時百合さんには婚約者が居たそうですね。でも貴方と結婚したくないお姉さんに、百合さんの婚約者は殺された。百合さんを貴方と結婚させる為に。貴方はその時どう思われましたか?」


「どうって……百合の家との結婚は父から言われたもので、私には拒否権などありませんでした。百合には可愛そうな事だとは思いましたが、極道の姐になるのですから乗り越えて貰うしかなかった。
もちろんできるだけ気を使い、百合が過ごしやすい様配慮はしましたよ。」


何故百合の話なんか…?


「その当時の百合さんの様子はいかがでしたか?」


「憔悴仕切っていました。何ヶ月も余り眠れないようで、食事も喉に通らない感じでしたね。」


「なるほど。それから暫くして晶が産まれましたよね?」


「はい。晶が産まれ百合も大分落ち着きました。」


「では…貴方はいつから百合さんのお姉さんと不貞を繰り返してたんですか?」


!!
何故そんな事まで………あの古株達が話したのか!!


「…………それは………」


「黙秘は許さないと言ったでしょ?」


突然小指に付けられた機械が締まり始める


「うッ………あ………………ッぐぅ…………ぅああああぁぁぁああ!!!!」



あまりの痛みに声が抑えられない

汗が吹き出す


コロっとテーブルに転がった指


俺の…指…………


「ぁ……あぁ………ッうぅ………」


痛みに耐えていると無情な声が降ってくる


「早く答えなさい。他の指も切り落としますよ?」


「………晶が…産まれて1年…経った時…突然訪ねて来た……それから何度も、龍崎と出かける先に…彼女は居ました……」


切断された指に心臓があるかの様に鼓動を刻むようにドクンドクンと痛む


「それから?」


「…彼女の……あの瞳に……囚えられて…彼女を俺のものにしたいと……」


「百合さんの婚約者を殺した人なのに?」


「…百合には………悪いとは…思った…だが、気持ちを抑える事はできなかった……」


「それでどうしたんです?」


「彼女に…椿に…愛を乞うた…だか椿は龍崎を愛していると……龍崎を自分にくれるなら、私も愛してくれると………」


「龍崎を差し出したんですか?」


「…そうするしかなかった………会うのはいつも3人で……」


「龍崎は承知したんですか?」


「………龍崎は椿に脅されていた……自分の言う通りにしなければ晶を殺すと…龍崎は晶を時期組長にしたかった……」


「だから龍崎は承知するしかなかった。最低ですね。」


喜多川の言葉が胸に刺さる


「それからどうしましたか?」


「数年…その関係が続いた…………だかある日、百合にバレて……」


「現場を見られてしまった。貴方達は先代と先代が連れて来た組員に捕らえられたんですよね?」


喜多川の言葉に頷く


「父には二度と椿と会うなと…もし会うならお前を組長の座から下ろすと脅された……百合も、私と龍崎には近づかなくなった………だが…2年後椿は龍崎に何度も会いに来た………」


「……それで?」


「龍崎は日に日にヤツレていった……でも私はそんな龍崎が羨ましかった………。その感情が憎しみに変わった……龍崎に会いに来る為無理をする椿は何故私には会いに来ないのか……そして…あの日龍崎にまた会いに来た椿を捕まえ………龍崎の眼の前で殺した…」


「……殺したんですか。遺体はどうしましたか?」


「山の中で焼いた……龍崎と共に……龍崎は私に感謝していた……私の気持ちも知らずに……忠誠を誓った……」


「なるほど。それから?」


「……晶が11歳を迎えた時、椿の家から内密に会いたいと連絡が来た。指定された場所へ行ってみると、そこは養護施設だった……椿は会わなかった2年の間に子を産み1年だけ育てて、養護施設に捨てたと聞かされた……私の子か龍崎の子かは分からない……だが引き取る事にした……愛した女の子供だったから………」


「…では何故セイ君に虐待を加えたんですか?」


「引き取ってから、誰にも知られない様にDNA鑑定をした………………結果………アイツは…龍崎の子だと分かった………分かった時、憎しみが心を支配した………」


「随分勝手な言い分ですね。龍崎はセイ君が自分の子であると知っているのですか?」


勝手なのは分かっている…でも許せないものは許せない……


「教えてませんよ。誰にも教えてない……教えたら、彼奴等はセイを大切にしようとするでしょ。そんな事絶対させない……私から椿を奪っておいて、セイまで手に入れるなんて許さない…」


「ひん曲がった嫉妬ですね。とても醜い……」


喜多川は溜息を吐いた


「では次に、佐山に関してです。佐山は元々どこの誰ですか?」


「佐山は……私が昔世話になった先輩の息子です…佐山の両親は汚職事件で逮捕され、裁判中に自ら命を断った…一人息子の佐山は親戚からも見放され当時勤めていた会社もクビになり、暫く海外へ渡っていたが、日本に戻ってきてホームレスの様な生活をしていた…それを私が見つけ連れてきました……」


「汚職事件というと、前会長のあれですか。」


その言葉に頷く


「それで今回、金が欲しい貴方と龍洞財閥に復讐したい佐山と、龍洞財閥と麒麟会を乗っ取りたい海外の傭兵部隊の隊長が手を組んだと。」


「…はい。」



「わかりました。後は会長が戻ってきてから話しをしましょう。その間に貴方はその指の手当をして貰ってください」


そう言われ、もう感覚の鈍くなってきている指を見る


機械を外された指は綺麗に切断され、血は止まらず流れ続けている


机に転がった指を見ながら、次に会長に会った時には指ではなく首が物理的に飛ぶのだろうかと半ば他人事の様に思った








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