裏切りの蜜は甘く 【完結】

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SIDE セイ

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「ただいまー………」


ソファーで仕事をしていると、疲れた声が玄関の方から聞こえた


パソコンを閉じ席を立つと兄ちゃんが部屋に入って来た


「兄ちゃん!!」


兄ちゃんは疲れ切った顔をしていた


「セイ~!!」


ギュッと強く抱きしめられる



「どうしたの??何があったの??」


こんな憔悴しきった兄ちゃんは久しぶりだ



「セイ、大変な事になったんだ………」


兄ちゃんを抱きしめたままソファーに座らせ話を聞く事にした



兄ちゃんの話によると、やはり組長は会長へ嘘の報告をしていたらしい
そして麒麟会への上納金をくすねたのは姐さん

それだけで無く、橘組の上納金にも不正をして申告していたようだ

俺が準備した傘下の上納金の資料では、白虎系列から麒麟会へ渡る上納金は約3億5000万のはずだった。
でも俺が噂で聞いたのは最低1億
事実を調べようとしたが、麒麟会のシステムにハッキングは難しくバレると不味いので無理はせず調べなかった

噂通りなら2億5000万を組長は懐に収めていた事になる

そして、事実確認の為に上納金の資料を作った俺に会いたがっているのだと

本当の理由は、兄ちゃんが信頼している人間に興味を持った為みたいだが


会長に、兄ちゃんが信頼しているのは最低2人だと言い当てられた
その話しの流れで、その一人が榊さんだと話したらしい


多分兄ちゃんは、今麒麟会で拘束されている榊さんを取り戻し俺と合流させ隠そうと思ったんだろう

ところが、相良組の若頭が榊さんの事を知っていたせいで話しはややこしくなった

兄ちゃんの親友であり俺のボディーガードの榊さんは、7年前に大阪で失踪した事になってしまっているらしい


瀧本さんが個人的に現在も探しているのだとか





そして解決しなければならない事が山程残った状態(一つも解決してない)で会長達が今日橘組に泊まる事になったとか、会長が頭を使いすぎて子供返りしたとか聞かされると、さすがに俺の頭もついていかない


そりゃ兄ちゃんも疲弊するわけだ


なんでも、会長はIQが高すぎて凡人よりも脳を活発化させていて、活発化させ過ぎるとショートを起こすらしい

その反動で璃一のように子供返りしてしまうのだとか

俺もIQは人より高い方だが会長の様なことはおきない

以前から会長はAIが組み込まれたロボットって思っていたが、あながち間違いでは無かったようだ
次元が違う

にしても33歳で子供返り……ねぇ………




因みに兄ちゃんは何故か会長に気に入られてしまったらしく、会長や他の人達を強制的に名前で呼ばされる事になったらしい


しかも麒麟会のトップから手の内を全部晒す、隠し事は一切しないと言われたそうだ


今後の橘組をどうするのか、組長達の処分をどうするのか、組長達が懐に入れた金の行方、話し合う事は山程ある


「璃一の事だね。組長達から言われる前に、兄ちゃんから話しておいた方が良いかと思うよ。下手に疑われても困るしね」


「そうだよなぁ……今回はただ親父達を失脚させれたら良かっただけなのに、何故こうなるんだ……」


項垂れる兄ちゃんの頭を撫でる


「それは兄ちゃんの魅力のせいでしょ?普段から仏頂面なくせに、面倒見良くて頼りがいがあってさ。皆兄ちゃんの事好きになっちゃうんだよ…」


何だか寂しくなってきた

会長に兄ちゃん取られたらどうしよう……



「セイ?」


俯いた俺の顔を両手で掴み顔を上げさせる兄ちゃんは嬉しそうに笑っている



「セイは本当に可愛いな。俺はいつまでもお前の兄ちゃんだよ。誰にも俺達の間に入る事はできない。それが例え璃一であっても静流であってもな。」



「ホント…?」



「勿論。それぞれ大切だけど、大切の意味合いが違うだろ?」


「うん」


「今回の件が解決したら昔みたいに一緒に居られるから。一緒に頑張ってくれるか?」


「うん、一緒に頑張ろう。今日寝る時はこっちに帰ってくる?」


「そのつもりだ。静流も子供返りしてるし、長々と話しはしないだろうから。静流もこれ以上情報を頭に入れない方が良いだろう」


兄ちゃんの言葉に頷く


「そうだね。会長、体調は大丈夫なのかな?もし診察が必要なら、橘組の次男として呼んでくれたら行くから。」



「わかった。一応聞いてみるよ。この後、夕飯を取りながら旬達と明日のスケジュールを組み立てながら取るから一緒に食べれそうにないんだ。
ごめんな…」



「わかった。璃一と食べるよ。」



「ああ。そうしてくれ」




兄ちゃんはその後、璃一の様子を見に行きまだ寝ている璃一の額にキスをした


「じゃあ行ってくるな。」


俺にもキスをし少しスッキリした顔で出ていった













この時俺はまだ知らなかった


運命はとっくに巡り始めていた事を


俺達の出会いは必然だったのだろう


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