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ついにこの日が来てしまった

俺とラウの結婚式当日である


カイン達の結婚式と同じ感じだと思っていたんだけど、国によって結婚式のやり方が違っていた


まず花嫁側は自宅に居て新郎側の親族が迎えに来て花嫁はその親族に連れられ神殿まで馬車で向かうらしい

神殿に着くと招待客が待ち構えていて、新郎と新婦の結婚に反対の者がこの時に名乗りを上げる

たいていが、新婦側の父や兄弟が名乗りを上げて、新郎は名乗りを上げたものと決闘をし勝たなくてはならない


簡単に言うと、弱い奴に娘はやらん!!という物らしい


これで新郎が負けたらどうなるんだ?と思ったが、基本的に本気の決闘ではないらしく負ける事はめったにないそうだ


しかし俺は異世界の人間だし、現在城に住んでいるし…どうするんだろう?と思っていたらモアとカインが俺の実家扱いになっていて驚いた


確かに、この世界に来た時は白の国だったけど…


と言う事で、ラグ父さんとルカルド兄さんが迎えに来てくれることになっている


この世界に召喚され始めて過ごした懐かしいあの部屋まで


カイン達はすでに青の国に行っているらしく、父さん達を転移魔法で送ってくれるのはモアらしい


ただこっちから青の国に行くのは俺が転移魔法を使わないといけなくて、それが一番緊張している

失敗したら大変なことになるからね…

カインとモアに鬼の訓練を受けたから大丈夫だとは思うんだけど…


いやぁ……あの2人マジで鬼だよ!!

カインは知ってたけどさぁ……モアまで鬼畜だとは思わなかった!!


スパルタとはこの事かと思わされた…



父さんと兄さんが白の広場に到着したらしく、宰相補佐の方が知らせに来てくれた


俺は急いで広場に向かった


あー…転移魔法上手くできるかなぁ………

結婚式よりこっちの方が緊張するとか何の日だよって感じだ




「おはよう、ソウ。一昨日ぶりだな、準備はできてるか?」

「ルカルド兄さん!おはよう!準備は大丈夫、皆さんが完璧に仕上げてくれたから!」


城の入口には昨日からお世話をしてくれた執事さんや従者さん、侍女さん達が見送りに出てきてくれている



「皆さんお世話になりました。また直ぐに遊びに来ると思いますが、その時はよろしくお願いします。」


二泊三日お世話になった皆に挨拶をして、父さん達が乗っている豪華な馬車に乗り込む


「ソウ様、青の国の国王様、王太子様お気をつけて」


執事長さんが俺の長いマントを皺にならないように馬車の座席へ乗せてくれる

足首まであるから座ると地面に着いちゃうんだよなぁ…

婚礼衣装も国によって全然違うのは面白いな



皆に手を振ってから移転魔法を展開させた


一瞬で青の国の砦まで飛んだ


ちゃんと移転できてホッとした


ここからは馬車で青の国の神殿まで向かう


神殿までの道のりは国民の居住地となっているので、道の両側から「結婚おめでとうございます!」の歓声が上がっている

その声に手を振り答える

日本じゃ考えれなかった事だな…

こんなに多くの人に祝福してもらえるだなんて

それに異世界に召喚されて、まさか自分が同性結婚するだなんて…


ここに召喚された時は最悪だと思ったけど、今はすごく幸せだ


馬車は順調にゆっくりと進んでいく


1時間ほど走ると、木々が増えてきた


繁華街の隣は市民の憩いの場になっていて、大きな建物は無くカフェや本屋がポツンポツンとある


そこを抜けると神殿の広場に到着する


広場のその手前から式の参列者が列になっていて、神殿の広場の門の所にレイドが居るらしい


そして神殿の広場で決闘が行われるのだとか


もうすぐレイドに会える

一昨日ぶりなだけなのに、もう何年も会っていないかのように寂しくてたまらない




馬車がもっと速度を落とし始めた


「……そろそろ着くようじゃな」


父さんが外を見ながら言うので、視線を向けると式の参列者が道の両脇に並びフラワーシャワーをしている


「おぉ……凄いな……」


圧巻な景観に言葉が漏れる


「……そう言えば、ラウの決闘相手ってモア王子だって聞いてるけど大丈夫なのか?」


兄さんの言葉に「えぇ!?」と叫んでしまった


「なんでモア!?いくら八百長でもいいのか!?次代の王が他国の王子に負けるとか!」


「八百長って??」


「あー…もともと結果が決まってる試合のこと…」


「なるほど、まぁ…結婚式の古い習わしだから、一種の見世物的な感じで許されるんじゃないか?」


まぁ……習わしだしな?

モアもレイドもパフォーマンス程度にするよな

あの2人が本気でやり合ったら結婚式どころじゃなくなるもんな


にしても2人の手合せって初めて見るなぁ…

ちょっと楽しみだな





こんな事を思っていた俺はまだまだあの2人の事をわかっていなかったと後悔することになる





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