12 / 12
12. 五月十八日:夫婦水入らず、そして―――
しおりを挟む
その日の夜。信長は一人天守の最上階で葡萄酒を飲んでいた。元々下戸で酒を飲んでも口を付ける程度だが、今宵は無性に酔いたい気分だった。
肴は置いていない。あるとすれば、昼間この国の未来について語り合った余韻か。外を眺めながら、ゆっくりと杯を傾ける。
葡萄酒には硝子製の無色透明なギヤマンの杯がよく映える。その見た目も洗練されて美しいが、眺めているだけでも遥か遠く先の南蛮に思いを馳せることが出来る。
一口葡萄酒を含むと、舌の上で果実の爽やかな風味とまろやかな酸味が広がる。南蛮からの渡来品でなかなか手に入らない品だが、清酒よりも飲みやすくて信長は好きだった。ふわふわとした気分なのは酒に酔っているのか、見果てぬ夢に酔っているからか。ただ、ここ暫くで一番心地いい。
「あらあら、珍しいですね」
一人の時間を満喫しているところに、濃姫が侍女を伴わず一人でふらっと入ってきた。
濃姫は自然な流れで信長の向かいにある椅子に腰を下ろした。その席は昼間信忠が座っていた場所だったな、と信長はぼんやりと考える。
「私もお相伴しても宜しいですか?」
おっとりとした口調で訊ねた濃姫に、信長は無言で首肯する。ちょうど一本目を空けたところだったので、小姓を呼んでギヤマンの杯と一緒に葡萄酒を持ってくるよう命じる。
届けられたギヤマンの杯を濃姫に手渡すと、信長は葡萄酒の栓を開けて濃姫の杯に注ぐ。
葡萄酒の赤紫色は血を連想するせいか嫌煙する者も多いが、濃姫は物怖じすることなく一息に飲み干した。男勝りな飲みっぷりに信長は惚れ惚れと眺めていた。
自らの杯にも葡萄酒を注いで一口飲むと、ポツリと呟いた。
「俺も、老いたわ」
先日の武田征伐から帰ってきた際も濃姫に同じ台詞を口にしたが、今回は前と比べてやや軽い感じだった。
「老いるのは嫌なことだとばかり思っていたが、案外楽しいのかもしれない」
杯を手の中で弄びながら呟くと、信長は杯に視線を向けながら続けた。
「今日、信忠と話し合った」
「はい」
「なかなか面白い議論を交わして、信忠に後事を託しても大丈夫だと分かった。すると、途端に肩の荷が少し軽くなった」
「それは良うございました」
濃姫がニコリと笑うと、信長も釣られて頬が緩んだ。葡萄酒を一口含むとさらに続けた。
「俺も今年四十九。この先どれだけ生きられるか分からんが、将来を担う者の為に何か残してやりたいという気持ちを初めて抱いた。無論、余生は好きなようにやらせてもらうが、後を継いだ者がやりやすいように下地は整えてやろうと思う」
自分は神でも仏でもなく、一人の人間だ。いつか必ず寿命が尽きる時が訪れる。老い先短い者が未来ある者のやりやすいように繋ぐのも、先達の役割だと気付いた。
そういえば父も俺を後継と決めたら、俺のやりたいようにさせてくれた。見えない所で俺が好き勝手出来るよう配慮していたのかと考えると、感慨深い気分になる。
「それで宜しいと存じます」
濃姫は鷹揚に応えた。葡萄酒を一口含むと果実の甘味と酸味が口の中で弾けた。
毛利を従えれば、その先に梃子摺りそうなのは九州の島津のみ。それでも、秀吉に中国筋の兵を授ければ二年程で片付けてくれるだろう。四国も渡海して足場固めを済ませればあっという間に平らげられる。北陸の上杉は風前の灯、関東の北条も辞を低くして接してくるから条件次第で配下同然に扱える。そう考えれば、東国は奥羽を残すのみ。中国で秀吉と光秀を争わせたように勝家と一益を競わせれば、東国も早く片付けられる。全て換算すれば早くて三年、遅くとも十年以内には天下布武を果たせる。
天下布武を成し遂げた後は、全国津々浦々に楽市楽座を広め、暦から貨幣、枡に至るまでバラバラになっている仕様を統一。差異のある価値を共通にして、売買を円滑に行えるように改めよう。関も廃して水運の通行料も禁じれば、人や物の行き来が活発になる。商いを奨励させて庶民に戦乱の世が終結したことを印象付ければ、固く締めていた財布の紐を緩めて銭を使うようになる。新たな銭で商いは盛んになり、実入りも増えて生活も豊かになる。利益から利益を生む好循環が整うわけだ。
その為には、今の段階から先を見据えて動かなければいけない。貨幣や枡の規格は豪商に協力を求めれば何とかなるが、問題は宮中の役人が管轄である暦だ。旧来のやり方を頑なに踏襲するばかりで改善しようという気概すら持たない無能者の集まりと言っていい。宣教師の話では南蛮では我が国で使われているものとは全く異なるやり方を用いているとか、唐でも以前から使われているものを誤差が少ないやり方に改善が進んでいると聞く。古くから非効率な方法を革新する意思を強く示さなければいけない。……今度上洛する際に帝へ上申してみるか。
「そういえば、濃は京を見たことはあったか?」
ふと思いついたことを聞いてみると、濃姫は静かに首を振った。
「いいえ。私は清洲と岐阜と安土だけですね」
「……何処か行ってみたい場所はあるか?」
まずい質問をしたと思い信長は尋ねると、濃姫は即答した。
「私は上様と一緒の世界を見れるだけで満足です」
真っ直ぐな言葉で返されて信長は頬を赤らめる。色白な肌に朱が差すと一目で分かる。
そう言われると、濃姫が知らない世界を見せてあげたくなるではないか。
「……ならば、その望みを叶えてやろう」
杯に残っていた葡萄酒を一気に呷ると、濃姫の瞳を見つめながら続けた。
「まず手始めに、京だ。千年王都と呼ばれるだけあって、流れる水や薫る風も趣を感じられる。毛利攻めから戻ったら必ず招く」
「まあ。そのお言葉、信じていいのですか?」
思いがけない提案に目を輝かせる濃姫に、信長は力強く頷く。
「当然だ。俺がこれまで約束を違えたことがあったか?」
聞かれて、濃姫は首を振る。思い返せば、信長は濃姫が嫁いできてから、ずっと約束したことは絶対に守ってきた。公的には伊勢長島一揆の際に偽りの誓約を結んで皆殺しにしたが、私的な時に限れば交わした約束は必ず果たしてきた。世間では信長を冷酷と評するけれど、付き合ってみれば温かみのある優しくて律儀な人だと濃姫は思う。
政略結婚という形で濃姫が織田家にやって来て間もない頃、信長は意識して濃姫の部屋へ足繁く通った。市中の噂や馬鹿話を仕入れてきては身振り手振りを交えて話したり、遠乗りの途中で見つけた可憐な野花を摘んで渡したり。今となっては、良い思い出だ。
「待っておれ、濃。毛利攻めから帰ってきたら、俺は一旦骨休めする。その時は必ず濃が知らない世界を見せてやるからな」
はっきり宣言した信長は、不意に濃姫の顔に急接近して―――優しく唇を重ねた。
事後にどうして俺はこんな衝動的な行為をしたのか、自分でもよく分からなかった。
「南蛮では愛する者に接吻すると聞く……嫌だったか?」
「いえ、まだ上様から愛されていると思い、濃は嬉しゅうございます」
直後、瞬く間に信長の顔は真っ赤に染まった。葡萄酒を呷った酔いが急激に現れたものではないのは明白だった。
初な反応に濃姫は「うふふふふ」と楽しそうに笑う声が、二人だけの部屋に響いていた。
五月二十九日、信長は合流した信忠の兵と共に安土を出発。この時、信長の手勢はおよそ百人、信忠の手勢も二千程度と、普段と比べて極端に少なかった。
信長一行は琵琶湖を船で横断して当日中に上洛、宿所の本能寺へ入った。本能寺は法華宗の寺であるが、信長が毎回京都を訪れた際に滞在する為、堅牢な造りに改装されていた。
翌六月一日には朝廷へ参内。予め武家伝奏の勧修寺晴豊にその旨を伝えてあった。帝と対面した際に、全国各地で使われている暦を一つに統一するよう要請した。これはこの先の天下統一を果たした後のことを見据えての提言であった。一方で、帝や公家衆は信長から突然の要請に困惑した……とされる。
そして日付は変わり、信長にとって運命の日を迎える―――
(了)
肴は置いていない。あるとすれば、昼間この国の未来について語り合った余韻か。外を眺めながら、ゆっくりと杯を傾ける。
葡萄酒には硝子製の無色透明なギヤマンの杯がよく映える。その見た目も洗練されて美しいが、眺めているだけでも遥か遠く先の南蛮に思いを馳せることが出来る。
一口葡萄酒を含むと、舌の上で果実の爽やかな風味とまろやかな酸味が広がる。南蛮からの渡来品でなかなか手に入らない品だが、清酒よりも飲みやすくて信長は好きだった。ふわふわとした気分なのは酒に酔っているのか、見果てぬ夢に酔っているからか。ただ、ここ暫くで一番心地いい。
「あらあら、珍しいですね」
一人の時間を満喫しているところに、濃姫が侍女を伴わず一人でふらっと入ってきた。
濃姫は自然な流れで信長の向かいにある椅子に腰を下ろした。その席は昼間信忠が座っていた場所だったな、と信長はぼんやりと考える。
「私もお相伴しても宜しいですか?」
おっとりとした口調で訊ねた濃姫に、信長は無言で首肯する。ちょうど一本目を空けたところだったので、小姓を呼んでギヤマンの杯と一緒に葡萄酒を持ってくるよう命じる。
届けられたギヤマンの杯を濃姫に手渡すと、信長は葡萄酒の栓を開けて濃姫の杯に注ぐ。
葡萄酒の赤紫色は血を連想するせいか嫌煙する者も多いが、濃姫は物怖じすることなく一息に飲み干した。男勝りな飲みっぷりに信長は惚れ惚れと眺めていた。
自らの杯にも葡萄酒を注いで一口飲むと、ポツリと呟いた。
「俺も、老いたわ」
先日の武田征伐から帰ってきた際も濃姫に同じ台詞を口にしたが、今回は前と比べてやや軽い感じだった。
「老いるのは嫌なことだとばかり思っていたが、案外楽しいのかもしれない」
杯を手の中で弄びながら呟くと、信長は杯に視線を向けながら続けた。
「今日、信忠と話し合った」
「はい」
「なかなか面白い議論を交わして、信忠に後事を託しても大丈夫だと分かった。すると、途端に肩の荷が少し軽くなった」
「それは良うございました」
濃姫がニコリと笑うと、信長も釣られて頬が緩んだ。葡萄酒を一口含むとさらに続けた。
「俺も今年四十九。この先どれだけ生きられるか分からんが、将来を担う者の為に何か残してやりたいという気持ちを初めて抱いた。無論、余生は好きなようにやらせてもらうが、後を継いだ者がやりやすいように下地は整えてやろうと思う」
自分は神でも仏でもなく、一人の人間だ。いつか必ず寿命が尽きる時が訪れる。老い先短い者が未来ある者のやりやすいように繋ぐのも、先達の役割だと気付いた。
そういえば父も俺を後継と決めたら、俺のやりたいようにさせてくれた。見えない所で俺が好き勝手出来るよう配慮していたのかと考えると、感慨深い気分になる。
「それで宜しいと存じます」
濃姫は鷹揚に応えた。葡萄酒を一口含むと果実の甘味と酸味が口の中で弾けた。
毛利を従えれば、その先に梃子摺りそうなのは九州の島津のみ。それでも、秀吉に中国筋の兵を授ければ二年程で片付けてくれるだろう。四国も渡海して足場固めを済ませればあっという間に平らげられる。北陸の上杉は風前の灯、関東の北条も辞を低くして接してくるから条件次第で配下同然に扱える。そう考えれば、東国は奥羽を残すのみ。中国で秀吉と光秀を争わせたように勝家と一益を競わせれば、東国も早く片付けられる。全て換算すれば早くて三年、遅くとも十年以内には天下布武を果たせる。
天下布武を成し遂げた後は、全国津々浦々に楽市楽座を広め、暦から貨幣、枡に至るまでバラバラになっている仕様を統一。差異のある価値を共通にして、売買を円滑に行えるように改めよう。関も廃して水運の通行料も禁じれば、人や物の行き来が活発になる。商いを奨励させて庶民に戦乱の世が終結したことを印象付ければ、固く締めていた財布の紐を緩めて銭を使うようになる。新たな銭で商いは盛んになり、実入りも増えて生活も豊かになる。利益から利益を生む好循環が整うわけだ。
その為には、今の段階から先を見据えて動かなければいけない。貨幣や枡の規格は豪商に協力を求めれば何とかなるが、問題は宮中の役人が管轄である暦だ。旧来のやり方を頑なに踏襲するばかりで改善しようという気概すら持たない無能者の集まりと言っていい。宣教師の話では南蛮では我が国で使われているものとは全く異なるやり方を用いているとか、唐でも以前から使われているものを誤差が少ないやり方に改善が進んでいると聞く。古くから非効率な方法を革新する意思を強く示さなければいけない。……今度上洛する際に帝へ上申してみるか。
「そういえば、濃は京を見たことはあったか?」
ふと思いついたことを聞いてみると、濃姫は静かに首を振った。
「いいえ。私は清洲と岐阜と安土だけですね」
「……何処か行ってみたい場所はあるか?」
まずい質問をしたと思い信長は尋ねると、濃姫は即答した。
「私は上様と一緒の世界を見れるだけで満足です」
真っ直ぐな言葉で返されて信長は頬を赤らめる。色白な肌に朱が差すと一目で分かる。
そう言われると、濃姫が知らない世界を見せてあげたくなるではないか。
「……ならば、その望みを叶えてやろう」
杯に残っていた葡萄酒を一気に呷ると、濃姫の瞳を見つめながら続けた。
「まず手始めに、京だ。千年王都と呼ばれるだけあって、流れる水や薫る風も趣を感じられる。毛利攻めから戻ったら必ず招く」
「まあ。そのお言葉、信じていいのですか?」
思いがけない提案に目を輝かせる濃姫に、信長は力強く頷く。
「当然だ。俺がこれまで約束を違えたことがあったか?」
聞かれて、濃姫は首を振る。思い返せば、信長は濃姫が嫁いできてから、ずっと約束したことは絶対に守ってきた。公的には伊勢長島一揆の際に偽りの誓約を結んで皆殺しにしたが、私的な時に限れば交わした約束は必ず果たしてきた。世間では信長を冷酷と評するけれど、付き合ってみれば温かみのある優しくて律儀な人だと濃姫は思う。
政略結婚という形で濃姫が織田家にやって来て間もない頃、信長は意識して濃姫の部屋へ足繁く通った。市中の噂や馬鹿話を仕入れてきては身振り手振りを交えて話したり、遠乗りの途中で見つけた可憐な野花を摘んで渡したり。今となっては、良い思い出だ。
「待っておれ、濃。毛利攻めから帰ってきたら、俺は一旦骨休めする。その時は必ず濃が知らない世界を見せてやるからな」
はっきり宣言した信長は、不意に濃姫の顔に急接近して―――優しく唇を重ねた。
事後にどうして俺はこんな衝動的な行為をしたのか、自分でもよく分からなかった。
「南蛮では愛する者に接吻すると聞く……嫌だったか?」
「いえ、まだ上様から愛されていると思い、濃は嬉しゅうございます」
直後、瞬く間に信長の顔は真っ赤に染まった。葡萄酒を呷った酔いが急激に現れたものではないのは明白だった。
初な反応に濃姫は「うふふふふ」と楽しそうに笑う声が、二人だけの部屋に響いていた。
五月二十九日、信長は合流した信忠の兵と共に安土を出発。この時、信長の手勢はおよそ百人、信忠の手勢も二千程度と、普段と比べて極端に少なかった。
信長一行は琵琶湖を船で横断して当日中に上洛、宿所の本能寺へ入った。本能寺は法華宗の寺であるが、信長が毎回京都を訪れた際に滞在する為、堅牢な造りに改装されていた。
翌六月一日には朝廷へ参内。予め武家伝奏の勧修寺晴豊にその旨を伝えてあった。帝と対面した際に、全国各地で使われている暦を一つに統一するよう要請した。これはこの先の天下統一を果たした後のことを見据えての提言であった。一方で、帝や公家衆は信長から突然の要請に困惑した……とされる。
そして日付は変わり、信長にとって運命の日を迎える―――
(了)
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
木瓜の試練 ~人間五十年、生きるも死ぬも一瞬~
佐倉伸哉
歴史・時代
織田家の家紋に用いられている、木瓜。その花言葉は“早熟”“平凡”―――。
永禄三年(西暦一五六〇年)三月、熱田を散策する、織田“上総介”信長。
そこで偶然再会した古くからの馴染みである“弥助”から、駿河の米商人が米を買い集めているという情報を耳にする。
それは駿河・遠江・三河の三ヶ国を治める“海道一の弓取り”今川“治部大輔”義元が西上する兆しに違いなかった―――!!
家督相続を巡り勃発した内紛の傷が癒えていない織田家は、一枚岩とは到底言い難い状況。
今川勢西上の動きに籠城と抗戦で二分する家臣達。その家臣を信じきれない信長。
果たして、信長は迫り来る強敵・今川義元とどう対峙するのか―――!?
◇第125回文學界新人賞 応募作品(落選)◇
※この作品は第125回文學界新人賞に応募した作品を一部加筆修正しています。
<第6回歴史・時代小説大賞>にエントリーしました!
皆様の投票、よろしくお願い致します。
◆この作品は、『小説家になろう』(https://ncode.syosetu.com/n4425gc/)、私の運営するサイト『海の見える高台の家』でも掲載しています。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
信忠 ~“奇妙”と呼ばれた男~
佐倉伸哉
歴史・時代
その男は、幼名を“奇妙丸”という。人の名前につけるような単語ではないが、名付けた父親が父親だけに仕方がないと思われた。
父親の名前は、織田信長。その男の名は――織田信忠。
稀代の英邁を父に持ち、その父から『天下の儀も御与奪なさるべき旨』と認められた。しかし、彼は父と同じ日に命を落としてしまう。
明智勢が本能寺に殺到し、信忠は京から脱出する事も可能だった。それなのに、どうして彼はそれを選ばなかったのか? その決断の裏には、彼の辿って来た道が関係していた――。
◇この作品は『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n9394ie/)』『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093085367901420)』でも同時掲載しています◇
帰る旅
七瀬京
歴史・時代
宣教師に「見世物」として飼われていた私は、この国の人たちにとって珍奇な姿をして居る。
それを織田信長という男が気に入り、私は、信長の側で飼われることになった・・・。
荘厳な安土城から世界を見下ろす信長は、その傲岸な態度とは裏腹に、深い孤独を抱えた人物だった・・。
『本能寺』へ至るまでの信長の孤独を、側に仕えた『私』の視点で浮き彫りにする。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――
黒鯛の刺身♪
歴史・時代
戦国の巨獣と恐れられた『武田信玄』の実質的後継者である『諏訪勝頼』。
一般には武田勝頼と記されることが多い。
……が、しかし、彼は正統な後継者ではなかった。
信玄の遺言に寄れば、正式な後継者は信玄の孫とあった。
つまり勝頼の子である信勝が後継者であり、勝頼は陣代。
一介の後見人の立場でしかない。
織田信長や徳川家康ら稀代の英雄たちと戦うのに、正式な当主と成れず、一介の後見人として戦わねばならなかった諏訪勝頼。
……これは、そんな悲運の名将のお話である。
【画像引用】……諏訪勝頼・高野山持明院蔵
【注意】……武田贔屓のお話です。
所説あります。
あくまでも一つのお話としてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる