王妃が死んだ日

本編

終夜

血の雨を降らせることは本意ではないとして、暗殺計画の筆頭であるウォルポール侯爵のみ毒杯を賜り、その他の王妃暗殺未遂計画に関わった者は身分剥奪の上労役に課せられることになった。彼らの爵位は国に返還されるか、遠縁を当主として一階級か二階級の降爵。混乱の原因を招いたとして、マーガレット・ファロンには１０年間の王都立ち入り禁止が命じられた。
一方で、王妃の協力者は功績に応じて爵位を授与されたり、領地を与えられた。
それら諸々の処分が終わった後、王妃ユリアーナは女王として即位した。






カトラル大陸の歴史が変わり始めたのは、クレスウェル王国に初の女王が誕生してからのことだと伝わる。それ以前に王妃として３年間即位していたユリアーナが女王として即位して以降、男子の爵位継承や女子への教育が見直され、根本的に制度が変わった。
ユリアーナ女王自身は、従妹姫のオリヴィアが成人し、婚姻の儀を結んだのを契機として彼女が育った国へと帰ってしまったが、オリヴィア女王はユリアーナ女王の方針を受け継ぎ、長い統治を敷いた。彼女は長男に王位を譲り、以降、長序の順を基本とした爵位継承が行われていくことになる。
不思議なことに、統治体制が変化してから、歪な男女比は解消されたそうだ。
カトラル大陸で初めて男系女系の双方を認めた国として、クレスウェルは長く大陸の中心であり続けた。








――――――――

いろんな人目線での番外編を書いたあと、ユリアーナの公主時代のお話をぽちぽち投稿していきます！