25 / 74
第三章 学園生活の始まりです
入寮日です
しおりを挟む今日は入寮日。
朝からとっても良い天気、雲一つない晴天です。
筆記用具や教科書、制服などの学用品は先に寮の部屋に運ばれているので、今日持って行くのは私物だけ。
この一か月間、王都で色々な品を買ったから私物が増えた。量は、村から持ってきたリュックとは別にトランク一個分増えたぐらいかな。多いのか少ないのか、よくわかんないけど。勿論、ライド様に買ってもらった鞄も持って行くわよ。お気に入りだし、この中には私の全財産が入ってるんだから。
「……一緒に行かなくて大丈夫ですか?」
「心配です。そこまで一緒に参ります」
ジュリアス様とライド様が馬車の乗り口で、心配そうに私に言った。
実はこの会話、朝からずっとしている。完全に私の保護者だね。兄さん的な存在かな。
私が「寂しい」って一言言ったら、絶対一緒に来てくれるはず。それはすごく嬉しい。本当は一緒に来て欲しいけど、これ以上は甘えられない。だって、私知ってるもの。ジュリアス様もライド様も、本当は忙しい人なんだって。だから、仕事の邪魔はしたくない。寂しいのを我慢する。それに、私は一人じゃないからね。
ハクアともう一人。
まだ会ったことがないんだけど、教皇様っていう、大神殿で一番偉い人の推薦の子が一人、私のフォローをしてくれるらしいの。勉強やマナーをジュリアス様やライド様に代わって教えてくれるんだって。二人もよく知ってる子らしいよ。「信頼できる」って言ってたから安心してる。できたら、友だちになりたいな。その子とは、現地で集合することになっているの。
「行ってきます。ジュリアス様、ライド様、本当にお世話になりました。立派な聖女になれるよう、日々学園で頑張ります」
私は教えてくれたカーテシーをしてみせた。まだまだ拙いものだけど。
「行ってらっしゃい、ユーリア様」
「身体に気を付けてください。私もジュリアスも応援してます」
ジュリアス様とライド様の笑顔に見送られて、私は一か月いた大神殿をあとにした。
はしたないけど、私は窓を全開にして叫んだ。
「ありがとうございました。行ってきます」ってね。
『頑張らないといけないね』
ハクアが私の膝の上でニコッと微笑みながら言った。
「うん、頑張らないと。私を支えてくれた大勢の人がいるから。その人の気持ちに答えるために。そして、私を信じ選んでくれたハクアのためにも、頑張らないといけないよね」
『身体を壊さない程度にね』
「そうだね。あっ、でも、ポーションを何本か買ってるから大丈夫だよ」
給料が入った日に買ったの。必要になると思ってね。私の回復魔法はまだまだだし、平民だから、すぐに怪我とか治してくれないだろうし。となると、自分の身を護るものとして必要だと思ったの。
『それ、大丈夫って言わないよ』
ハクアにそんなこと言われちゃった。呆れ顔のハクアも可愛い。
「そうかな……」
そんな話をしていると学園に到着した。
31
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
稀代の悪女は死してなお
楪巴 (ゆずりは)
児童書・童話
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女は処刑されました。
しかし、彼女には思惑があるようで……?
悪女聖女物語、第2弾♪
タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……?
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
楪巴 (ゆずりは)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる