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第二章 出稼ぎライフの始まりです

この旅で学んだこと

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 とりあえず、無事に名付けが終わったことにホッと胸を撫で下ろす。

『あっ、そうだ。ハクアって呼べるのは、ユーリアだけだからね。他の者が呼ぶことはないよ。これは、僕とユーリアとの契約なんだから』

 思い出したかのように、ハクアが告げる。

「契約?」

『そう、契約。僕とユーリアが深く繋がった証だよ、名付けはね。名前って、個を特定し縛るものだから』

 そう言われてもよくわからない。でも、ハクアはとても嬉しそう。声が弾んでる。私も嬉しくなった。

 それでも、ハクアが言った【契約】って言葉に引っ掛かってしまう。

 だけど、今は詳しいことは訊かないでおこうと思う。たぶん訊いても、はぐらかされる気がするから。話す気があるなら、今話すよね。話さないってことは、まだ早いって考えてるのかもしれない。まぁそのうち、深く知ることになると思うよ。学園とかでね。

 ただわかってるのは、私に拒否権がないってことぐらいかな。

 ハクアに選ばれた時点で、契約を結ぶことが決定していたみたいだから。

 私が知らないところで、勝手に決められた未来ーー。

 普通なら、少しは抵抗があるよね。聖女っていうのが名誉職でも。私は憧れもしてなかったけどね。

 そんな私が、今はハクアと一緒にいて受け入れてる。

 不思議と……それが嫌じゃないの。戸惑とまどいはあったけどね。お金が稼げるってことも大きかったかな。お金は大事だし、必要だった。う~ん、なんて表現したら正解なんだろ。そうだ!! しっくりくる、それが一番近いかも。

 確かに、決められた未来だけど、その未来を楽しむのも楽しまないのも自分次第。なら、楽しんだ方が断然いいよね。

 だから、私は精一杯楽しもうと思う。

 そのためには、たくさんの努力が必要だと思うの。勉強もマナーも。だって、それらを知らなかったら、学園や教会で浮きそうじゃない。

 教会の中もそう。礼節っていうのかな、そういうのがちゃんと存在しているの。

 私はこの旅で、それを知った。学んだ。

 それに、聖女のスキル持ちは、平民よりも貴族の方が多いって聞いた。数少ない聖女様も皆貴族様。そこに、私は飛び込むの。身分は隠せないから、平民だってことで、私は人よりも目立つはず。

 でもね、それはしょうがないことだって理解してる。だからせめて、悪目立ちはしたくないの。馬鹿にされたくないの。それでも、されると思ってるけどね。だって、年季が違うもの。しかたないわ。それでも、胸を張って歩きたいんだよ。

 それが、楽しむってことにつながるって思うから。

 私がこの旅で学んだことだよ。



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