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お題『「十一対十……ここで出すサーブはもちろん、俺が1番得意な……!」 浅く息を吸い込んだ俺は、静かにボールをトスした。』
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「十一対十……ここで出すサーブはもちろん、俺が1番得意な……!」
浅く息を吸い込んだ俺は、静かにボールをトスした。高々と上がりきったボールは緩やかに空中で静止し、その一瞬の浮遊が終わると同時に落下が始まる。やがて、落ちてきたボールが得意なサーブに一番最適なタイミングに差し掛かった辺りで、俺はその一撃を繰り出した。綺麗に側面を撫でられたボールが、鋭い回転と共に敵陣へと切り込む。そしてそのままネットを超え、台も超えて……オーバーとなった。
「ちくしょおおお!」
俺は膝から崩れ落ちた。1番得意なサーブが、我ながら完璧な形で出たというのに。その時、俺の脳裏には部活で過ごした3年間が走馬灯の様に駆け巡っていた。中学で3年間卓球を続け、そこまででも無いがそこそこの実力はあると思っていた入部当初、俺は周りのレベルの高さに驚いていた。そして案の定、最初の部内戦では酷い負け方をしまくってビリになった。しかし俺は諦めず、自分が誇りを持てる武器を作ったのだ。それがこのサーブであった。勿論他の練習も欠かさなかったが、せめてサーブだけは1番でありたいという意思の元、俺は3年間の大半をサーブ練習に費やしたのだった。……しかし、そんな俺のサーブはあと一点で勝敗が決まるという重要な場面で失敗してしまった。最後の最後で俺は、相棒に裏切られた気分だった。
『先いっぽーん!』
応援席からの声援が届く。さあ、デュースからの 再開だ。
浅く息を吸い込んだ俺は、静かにボールをトスした。高々と上がりきったボールは緩やかに空中で静止し、その一瞬の浮遊が終わると同時に落下が始まる。やがて、落ちてきたボールが得意なサーブに一番最適なタイミングに差し掛かった辺りで、俺はその一撃を繰り出した。綺麗に側面を撫でられたボールが、鋭い回転と共に敵陣へと切り込む。そしてそのままネットを超え、台も超えて……オーバーとなった。
「ちくしょおおお!」
俺は膝から崩れ落ちた。1番得意なサーブが、我ながら完璧な形で出たというのに。その時、俺の脳裏には部活で過ごした3年間が走馬灯の様に駆け巡っていた。中学で3年間卓球を続け、そこまででも無いがそこそこの実力はあると思っていた入部当初、俺は周りのレベルの高さに驚いていた。そして案の定、最初の部内戦では酷い負け方をしまくってビリになった。しかし俺は諦めず、自分が誇りを持てる武器を作ったのだ。それがこのサーブであった。勿論他の練習も欠かさなかったが、せめてサーブだけは1番でありたいという意思の元、俺は3年間の大半をサーブ練習に費やしたのだった。……しかし、そんな俺のサーブはあと一点で勝敗が決まるという重要な場面で失敗してしまった。最後の最後で俺は、相棒に裏切られた気分だった。
『先いっぽーん!』
応援席からの声援が届く。さあ、デュースからの 再開だ。
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