125 / 129
閑話休題〜完結後推奨〜
藍原と笹野※R18
しおりを挟む
笹野が目の前で俯いている藍原を眺めて苦言を呈した。
「分かってねぇな。あのさ、営業なんて半分騙し役みたいなもんだろ。お前が自信たっぷりに勧めて初めて相手はこっちの会社の商品に目を向けるんだ。お前がそんな気弱な顔で曖昧な返事返してたら買う客も買わねぇよ」
藍原が弱った顔をした。
「俺としては精一杯自信を持って売り込んでる。うちの会社の商材が悪いとは思ってないし、顧客にもメリットがあるって信じてるから」
「あっそ? んじゃなんでそんな情けない顔になるんだよ」
はー、とため息をついて根本的なところを指摘する。
「お前さ、もしかしてものが良くても俺なんかが売り込んでるから買ってもらえねぇとか思ってない?」
ぎくっとした藍原に馬鹿、と叱咤をする。
「お前、営業成績底辺のままもう2年だっけ? その間に自己肯定感へし折られちまったんじゃねえの?」
図星を突かれた顔のまま、藍原が必死で笹野に頼み込む。
「俺……結婚しようと思ってるんだ。お前が紹介してくれた子、すごいいい子で……俺でもいいって言ってくれるんだ。
このままじゃ萌絵に苦労しかさせられない。どうしたらいい? どうしたらお前みたいなエースになれるんだ? こんなこと自分で掴めってお前が思うのは当然だけどでも、頼む……ヒントでもなんでもいいから」
笹野がその瞬間酷く苛ついた顔をした。藍原が凍りつく。
「ご……めん……」
俯いてしまう藍原を眺めて、笹野がオフィス棟の廊下に目をやる。
「拓海」
低い声で名前を呼ばれ、藍原が恐る恐る顔を上げる。笹野の顔が逆光でよく見えない。
「お前、本当に教えて欲しいのか? 俺が真っ当な手段でばっか商談取ってきてるとでも思ってるのかよ。昔から言うよな。枕営業、って」
「え……」
藍原が凍りつく。にじり寄ってくる笹野に圧されてデスクに押し倒された藍原の目が、笹野に怯えていた。
据わっていた笹野の目が俄かに軽くなる。
「なんてな。バカ言うなよ、俺だってプライドがあんだよ。商談は真っ当な方法で取ってきてる。お前に足りないのは自分のことをバカみたいに信じられる能天気さだけだよ。根拠なんていらない。俺が勧める商品を相手が断るはずなんてないってアホみたいに思いこめ。それだけでお前は充分伸びるから」
寸前で欲望を自制した己を内心で褒めまくりながら笹野がさぁ、と片付けを始める。
「俺が教えられるのなんてそんなもんだよ。俺だってなんで自分がエースなんて呼ばれてんのかわかんねぇし」
背を向けた笹野を呆然と見ていた藍原の胸にちくりとした痛みが残る。
何なんだろう、これは。知らない感情だ。
テキパキと片付けを終えた笹野が呆れ混じりに藍原を振り返る。
「お前いつまでそのままでいんだよ。帰ろうぜ」
「笹野。俺さ、童貞なんだよ」
「…………はぁ?」
突然思い切ったように話し出した藍原を笹野が何を言い出したのかと見返す。
「お前、セフレ多いの知ってるから──その、あのさ……女の子抱く時ってどういう」
「あー……」
なるほど? 先ほどの流れで猥談に入るわけ? どういう思考回路だよ?!
ぐしゃっと前髪を掴んだ笹野が藍原の手首を掴む。ここじゃリスクがデカい。
仮眠室に藍原を連れ込み、簡易ベッドに突き飛ばす。
「笹野っ……何、ちょっ……」
笹野がネクタイを解く。藍原が抵抗できないように手首をしっかりと縛り付けて、簡易ベッドのヘッドボードに括り付けた。
「座学より実践した方が早い。どうすりゃいいのか教えてやるよ」
「ちょ、待て! 俺が抱く方なんだって……! しかも女の子と男相手じゃ違うだろっ……!」
「お前も良く知ってるだろ? 俺は両刀だ。女も男も手慣れてる。お前は身体でどう突かれりゃ気持ちいいのか覚えて帰ればそれでいい。そのまま真似しろ」
「そんなめちゃくちゃな理屈あるかっ……ひっ……」
藍原の股間に手を添えながら笹野が笑う。
「そんな必死に抵抗する割にこっちは期待してんじゃねーか。大丈夫だよ、お前とは経験値が違う。俺に教えてもらえるだけありがたいだろ」
言うなりファスナーをおろし、ベルトのバックルを外す。足首までスラックスを下ろしてやると、下着の中でテントを張っている藍原のものがシミを作っていた。なんだよ、と心の中で毒付く。
(経験なしのくせにエロい体してんじゃねーか……据え膳は食わないとな)
指先を引っ掛けてボクサーパンツを下ろす。未経験というだけあって綺麗な色のそれを見下ろして、揶揄う。
「すっげえ綺麗な色してんな。未使用って嘘じゃないみたいだな」
藍原の顔が屈辱に歪む。覆い被さってくる笹野が唇を重ねてくるのを、歯を食いしばって侵入させないように抵抗している。笹野が甘い声を出す。
「いいだろ。別に女の子じゃねーんだから、初めてを捧げる相手なんか特別じゃなくても。安心しろよ、痛くないように処女奪うのどうすればいいのかまでちゃんと教えてやる。萌絵ちゃんのこと気持ちよくさせたいだろ? ならお前がちゃんと覚えて帰れ。心配しなくてもお前は俺のセフレの一人ってだけ。明日になれば全部忘れてやる」
酷いことを言われているはずなのに、藍原の心は確実に軽くなった。割り切った関係。ただの指導。そして、明日になれば元の同僚。
力の抜けた藍原に、笹野が皮肉な笑みを浮かべる。
その手がまだ皮をかぶっている藍原のものに触れ、期待をさせるようにゆるゆると扱く。藍原の吐息が濡れていくのを楽しみながら、勃起してもかぶっている皮を軽く剥く。
「お前、包茎? っていうか剥かなかったのかよ」
藍原が首まで赤くなる。羞恥に顔を背けるその首筋を舌でなぞり上げながら、「まぁいてーからな。分かるけど」と宥めてやる。
「剥いてやるからちょっと我慢しろよ。それくらい本当は自分でやれよな」
ぴりっと走る痛みに藍原のものが萎えそうになるのを刺激を与えながら勃たせなおして、時間をかけて全て剥く。最小限の出血で留めた己の手腕に満足するものの、藍原は涙を浮かべていた。
「痛かった? そんなでもないだろ?」
恥垢をとってやりながら尋ねるが、藍原は屈辱に震えていてなかなか快楽には落ちてこない。
仕方ねぇなと呟いて、血の滲んでいる亀頭を突つく。
「とりあえずお前はこっちを使い物にしとかねぇと。女の子の中ってこんな感じだ、気持ち良すぎてすぐにイっちまわねぇように慣れとけ」
躊躇いもなく藍原のものを口に含んだ笹野に藍原がギョッとする。
待て、と声を上げかけるも、次の瞬間には感じたこともないほどの快楽に腰が引けた。
「ふぁまんしほ」
咥えたままで喋られると舌が触れて腰が砕ける。一瞬で絶頂寸前まで昂ってしまった藍原のものから笹野が呆れ混じりに口を離す。
敏感にされたばかりの粘膜への口淫に、藍原は全身から汗を吹き出していた。その上寸止めされたまま。完勃ちしたものを笹野が指先でツウっとなぞる。
「お前なぁ。処女膜破る前にイッてどうすんだよ。もうちょい頑張れよ」
はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返して、言われた通り藍原が全神経を振り絞って股間から意識を逸らす。
(やべーな。楽しいわこれ)
笹野がまた咥えてくるのを拳を握りしめて耐えている藍原。感じきっている顔が笹野を煽っているのに気づいていない。びくんっと跳ねる体の上で、まだ慎ましやかな乳首が笹野を誘っている。指先でクニクニと扱く。まだ未開発の藍原の体は、当然乳首ばかりいじっても快感を拾えない。
「女の子も実はそうなんだぜ。AVみてーに乳首でめちゃくちゃ感じてんのは開発された子だけ。乳首の開発ってどうやるか教えてやろうか」
尖りから指を離し、じわじわと乳輪を擦る。外から中心に、焦ったいほどの刺激で攻めていく。
「んっ……ん、んっ……」
藍原が悩ましい声を上げ始めるのを静かに笑って見下ろす。
「分かる? 外からここ。んで、仕上げにちょっと痛いくらいにつまんでやんの」
ぎゅっと強く摘み上げられ、藍原が痛みに唇を噛み締める。
「悪い。けどこれしばらくしたらどうしようもないくらい疼いてくるから」
笹野の言う通り、悲鳴をあげそうだった痛みが収まるのと入れ違いにジンジンと熱を持つ乳首に触れて欲しくてたまらないという疼きが襲ってくる。
カリッと笹野の指先が乳首を引っ掻く。藍原の背が跳ねた。
「な」
余裕の笑みでそう言われても、藍原の方は必死だ。なんとか声を抑えようと身を捩るたび、笹野の指先が容赦なくカリカリと引っ掻いてくる。
「も、やめっ……頼む、もう乳首やめてっ……んんんっ」
藍原が果てる寸前でまた笹野は指を離す。
「乳首イキしそうだった? これ、萌絵ちゃんにもやってみ」
荒々しい呼吸で必死に耐えている姿が堪らなく愛しくて、つい藍原から強請ってくるまで我慢させてみるかと悪ふざけにスイッチが入る。
寸止めを限界まで繰り返し、嬲られ尽くした亀頭が真っ赤に充血して震えるのを手のひらで撫で回す。先端を擦ってやるたびに、先走りを溢れさせながらぴくっと悦ぶものは正直だ。
乳首も徐々に性感帯として育ってくるのを満足そうに舌で押し潰してやると、藍原が身を捩りながら啼く。
垂れ流した蜜が、こちらも当然のように未使用の後ろの口をしとどに濡らしているのがひどく卑猥だった。前と乳首へのしつこい刺激で、まだ快感を知らないはずの後孔が期待しているようにひくついている。
「へぇ? まだ何にも知らないはずなのにエロい身体だな」
指先が蕾に触れる。
「待てっ……本当にそこ、使うのか……?」
「お前が前戯だけで萌絵ちゃんイかせられる自信があるならここでやめてもいいぜ」
ズルい尋ね方をしていると自覚しながらも、自信のない藍原が笹野に頼ってくるのをじっと待つ。
「……教えてくれ」
震えながらそう呟いた藍原に満足そうに笹野が頷く。
「女の子もそうだけど、いきなりちんこ突っ込んだらめちゃくちゃ痛え。特に経験なしならな。慣らすのが大事なんだよ。いわゆる手マンからってことな」
処女の子ならなおさらいきなり濡れたりしねぇから、ローション使え。そう言いながら「まぁ、お前は要らないくらい濡れてるからこのままだけど」と付け加える。藍原が羞恥に染まるのを楽しそうに見下ろして、指の異物感から意識を逸らさせるために首筋や耳、鼠蹊部などの性感帯を教え込む。
「普段何も入ってねぇんだから違和感はあるんだよ、どうしても。初めての子ならあんまそれに集中させちまうと気持ちよさがどっか行っちまうから──」
首筋に唇を滑らせながら、耳たぶを甘噛みする。
「こういうので気をそらせるんだ」
耳に直接吐息を吹き込んでやると、藍原があられもない声を漏らした。
「ああっん……っな、なにっ……こんな……」
「耳は弱い奴が多い。ゾワゾワするだろ?」
「んぁ……や、やめっ……」
藍原を酔わせながら笹野の指は少しずつ閉じた体を開いていく。人差し指は難なく受け入れるようになったのを見計らって、前を扱く。寸止めばかりされていたものは呆気なく絶頂に押しやられ、白濁が散る。ぎゅうっと指を締め付けた中が緩む瞬間を見計らって2本目を挿し入れる。異物感が増し、藍原の顔が歪む。
なるべくはやく馴染むよう、くいっと指先を腹側に折り曲げてやると、余韻に震えているしこりが指を押し返す。
「男と女はナカの気持ちいい場所が違うから、それはまぁネットとかで事前座学しとけ。とにかく気持ちいいところを狙って攻める」
宣言通り丸く撫でさするように前立腺を刺激してくる笹野に、藍原の思考がショートする。快感に飲み込まれてこちらの声が聞こえていないだろうと判断した笹野はそのまま薬指まで潜り込ませて丁寧に藍原を陥落させていく。藍原自身は気が付かないうちにスムーズに三本が出し入れできるように仕上げ、さて、と自らの前を寛げる。
充分昂めてやった。解してもやった。
「もうそろそろ待てねぇわ、俺」
藍原の返事は待たないまま、ズルッと指を抜き膕に手を差し入れて両足を担ぎ上げる。秘孔にひたりと当てられた熱いものに藍原が恐怖を滲ませる前に、ゆっくりと腰を進めていく。一瞬怯えた顔をしたものの、すぐに浅いところの弱点に雁首が届く。指とは比べ物にならない衝撃に藍原の口がはくはくと震えた。
「大丈夫だから怖がんな。痛くねぇだろ?」
笹野の言う通り、存分に準備をされた体はそれほどの痛みを覚えることもなく笹野を迎え入れる。それでも圧迫感に涙を滲ませている藍原のナカが笹野のものに馴染むまでしばらく待ち、ゆっくりと抽挿を開始する。
(俺、最低だわ……でもお前はこうでもしないと俺のことなんか見もしないだろ?)
パンパンと笹野の腰が藍原の尻にぶつかる。快感についていけずに笹野に縋るようにその名を呼び続ける藍原の手首を解放してやると、そのまま背に腕を回してしがみついてくる。可愛いが過ぎんだよ、と苛立ちのような感情が湧き上がる。泣こうが喚こうがもう止められない。
どこか冷めた自分が、誰よりも大切なはずの相手を騙して体を暴いたのは誰だと責めてくるのを聞こえないふりをして、目の前の藍原の痴態に集中する。
散々藍原をイかせた笹野のものは、最後まで藍原の中で果てることはなかった。
気絶するように眠ってしまった藍原の後処理をしてやって、服も元通りに整えてから仮眠室を出る。男子トイレでヌいてから、自己嫌悪に頭を抱えた。
翌朝気まずいに決まっていると覚悟をしながら出勤した笹野だったが、藍原は何も気にしていないとでも言うように普段通りだった。それは単純に笹野が掛けた暗示が効いているだけだったのだが、笹野を諦めさせるには充分だった。営業で鍛えた表情筋に感謝しながら、元通りの同僚としての関係に戻った二人だったが──なぜかそれを境に藍原の営業成績は目に見えて伸びた。
(……なんで?)
翌月の営業成績表で己に並んだ藍原の商談数に、笹野が呆気に取られているのを藍原が爽やかに笑って「お前のおかげだよ」と通り過ぎていく。
釈然としないものを感じながらも、その先なんだかんだと営業一課の花形として腐れ縁が続いていくのだった。
「分かってねぇな。あのさ、営業なんて半分騙し役みたいなもんだろ。お前が自信たっぷりに勧めて初めて相手はこっちの会社の商品に目を向けるんだ。お前がそんな気弱な顔で曖昧な返事返してたら買う客も買わねぇよ」
藍原が弱った顔をした。
「俺としては精一杯自信を持って売り込んでる。うちの会社の商材が悪いとは思ってないし、顧客にもメリットがあるって信じてるから」
「あっそ? んじゃなんでそんな情けない顔になるんだよ」
はー、とため息をついて根本的なところを指摘する。
「お前さ、もしかしてものが良くても俺なんかが売り込んでるから買ってもらえねぇとか思ってない?」
ぎくっとした藍原に馬鹿、と叱咤をする。
「お前、営業成績底辺のままもう2年だっけ? その間に自己肯定感へし折られちまったんじゃねえの?」
図星を突かれた顔のまま、藍原が必死で笹野に頼み込む。
「俺……結婚しようと思ってるんだ。お前が紹介してくれた子、すごいいい子で……俺でもいいって言ってくれるんだ。
このままじゃ萌絵に苦労しかさせられない。どうしたらいい? どうしたらお前みたいなエースになれるんだ? こんなこと自分で掴めってお前が思うのは当然だけどでも、頼む……ヒントでもなんでもいいから」
笹野がその瞬間酷く苛ついた顔をした。藍原が凍りつく。
「ご……めん……」
俯いてしまう藍原を眺めて、笹野がオフィス棟の廊下に目をやる。
「拓海」
低い声で名前を呼ばれ、藍原が恐る恐る顔を上げる。笹野の顔が逆光でよく見えない。
「お前、本当に教えて欲しいのか? 俺が真っ当な手段でばっか商談取ってきてるとでも思ってるのかよ。昔から言うよな。枕営業、って」
「え……」
藍原が凍りつく。にじり寄ってくる笹野に圧されてデスクに押し倒された藍原の目が、笹野に怯えていた。
据わっていた笹野の目が俄かに軽くなる。
「なんてな。バカ言うなよ、俺だってプライドがあんだよ。商談は真っ当な方法で取ってきてる。お前に足りないのは自分のことをバカみたいに信じられる能天気さだけだよ。根拠なんていらない。俺が勧める商品を相手が断るはずなんてないってアホみたいに思いこめ。それだけでお前は充分伸びるから」
寸前で欲望を自制した己を内心で褒めまくりながら笹野がさぁ、と片付けを始める。
「俺が教えられるのなんてそんなもんだよ。俺だってなんで自分がエースなんて呼ばれてんのかわかんねぇし」
背を向けた笹野を呆然と見ていた藍原の胸にちくりとした痛みが残る。
何なんだろう、これは。知らない感情だ。
テキパキと片付けを終えた笹野が呆れ混じりに藍原を振り返る。
「お前いつまでそのままでいんだよ。帰ろうぜ」
「笹野。俺さ、童貞なんだよ」
「…………はぁ?」
突然思い切ったように話し出した藍原を笹野が何を言い出したのかと見返す。
「お前、セフレ多いの知ってるから──その、あのさ……女の子抱く時ってどういう」
「あー……」
なるほど? 先ほどの流れで猥談に入るわけ? どういう思考回路だよ?!
ぐしゃっと前髪を掴んだ笹野が藍原の手首を掴む。ここじゃリスクがデカい。
仮眠室に藍原を連れ込み、簡易ベッドに突き飛ばす。
「笹野っ……何、ちょっ……」
笹野がネクタイを解く。藍原が抵抗できないように手首をしっかりと縛り付けて、簡易ベッドのヘッドボードに括り付けた。
「座学より実践した方が早い。どうすりゃいいのか教えてやるよ」
「ちょ、待て! 俺が抱く方なんだって……! しかも女の子と男相手じゃ違うだろっ……!」
「お前も良く知ってるだろ? 俺は両刀だ。女も男も手慣れてる。お前は身体でどう突かれりゃ気持ちいいのか覚えて帰ればそれでいい。そのまま真似しろ」
「そんなめちゃくちゃな理屈あるかっ……ひっ……」
藍原の股間に手を添えながら笹野が笑う。
「そんな必死に抵抗する割にこっちは期待してんじゃねーか。大丈夫だよ、お前とは経験値が違う。俺に教えてもらえるだけありがたいだろ」
言うなりファスナーをおろし、ベルトのバックルを外す。足首までスラックスを下ろしてやると、下着の中でテントを張っている藍原のものがシミを作っていた。なんだよ、と心の中で毒付く。
(経験なしのくせにエロい体してんじゃねーか……据え膳は食わないとな)
指先を引っ掛けてボクサーパンツを下ろす。未経験というだけあって綺麗な色のそれを見下ろして、揶揄う。
「すっげえ綺麗な色してんな。未使用って嘘じゃないみたいだな」
藍原の顔が屈辱に歪む。覆い被さってくる笹野が唇を重ねてくるのを、歯を食いしばって侵入させないように抵抗している。笹野が甘い声を出す。
「いいだろ。別に女の子じゃねーんだから、初めてを捧げる相手なんか特別じゃなくても。安心しろよ、痛くないように処女奪うのどうすればいいのかまでちゃんと教えてやる。萌絵ちゃんのこと気持ちよくさせたいだろ? ならお前がちゃんと覚えて帰れ。心配しなくてもお前は俺のセフレの一人ってだけ。明日になれば全部忘れてやる」
酷いことを言われているはずなのに、藍原の心は確実に軽くなった。割り切った関係。ただの指導。そして、明日になれば元の同僚。
力の抜けた藍原に、笹野が皮肉な笑みを浮かべる。
その手がまだ皮をかぶっている藍原のものに触れ、期待をさせるようにゆるゆると扱く。藍原の吐息が濡れていくのを楽しみながら、勃起してもかぶっている皮を軽く剥く。
「お前、包茎? っていうか剥かなかったのかよ」
藍原が首まで赤くなる。羞恥に顔を背けるその首筋を舌でなぞり上げながら、「まぁいてーからな。分かるけど」と宥めてやる。
「剥いてやるからちょっと我慢しろよ。それくらい本当は自分でやれよな」
ぴりっと走る痛みに藍原のものが萎えそうになるのを刺激を与えながら勃たせなおして、時間をかけて全て剥く。最小限の出血で留めた己の手腕に満足するものの、藍原は涙を浮かべていた。
「痛かった? そんなでもないだろ?」
恥垢をとってやりながら尋ねるが、藍原は屈辱に震えていてなかなか快楽には落ちてこない。
仕方ねぇなと呟いて、血の滲んでいる亀頭を突つく。
「とりあえずお前はこっちを使い物にしとかねぇと。女の子の中ってこんな感じだ、気持ち良すぎてすぐにイっちまわねぇように慣れとけ」
躊躇いもなく藍原のものを口に含んだ笹野に藍原がギョッとする。
待て、と声を上げかけるも、次の瞬間には感じたこともないほどの快楽に腰が引けた。
「ふぁまんしほ」
咥えたままで喋られると舌が触れて腰が砕ける。一瞬で絶頂寸前まで昂ってしまった藍原のものから笹野が呆れ混じりに口を離す。
敏感にされたばかりの粘膜への口淫に、藍原は全身から汗を吹き出していた。その上寸止めされたまま。完勃ちしたものを笹野が指先でツウっとなぞる。
「お前なぁ。処女膜破る前にイッてどうすんだよ。もうちょい頑張れよ」
はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返して、言われた通り藍原が全神経を振り絞って股間から意識を逸らす。
(やべーな。楽しいわこれ)
笹野がまた咥えてくるのを拳を握りしめて耐えている藍原。感じきっている顔が笹野を煽っているのに気づいていない。びくんっと跳ねる体の上で、まだ慎ましやかな乳首が笹野を誘っている。指先でクニクニと扱く。まだ未開発の藍原の体は、当然乳首ばかりいじっても快感を拾えない。
「女の子も実はそうなんだぜ。AVみてーに乳首でめちゃくちゃ感じてんのは開発された子だけ。乳首の開発ってどうやるか教えてやろうか」
尖りから指を離し、じわじわと乳輪を擦る。外から中心に、焦ったいほどの刺激で攻めていく。
「んっ……ん、んっ……」
藍原が悩ましい声を上げ始めるのを静かに笑って見下ろす。
「分かる? 外からここ。んで、仕上げにちょっと痛いくらいにつまんでやんの」
ぎゅっと強く摘み上げられ、藍原が痛みに唇を噛み締める。
「悪い。けどこれしばらくしたらどうしようもないくらい疼いてくるから」
笹野の言う通り、悲鳴をあげそうだった痛みが収まるのと入れ違いにジンジンと熱を持つ乳首に触れて欲しくてたまらないという疼きが襲ってくる。
カリッと笹野の指先が乳首を引っ掻く。藍原の背が跳ねた。
「な」
余裕の笑みでそう言われても、藍原の方は必死だ。なんとか声を抑えようと身を捩るたび、笹野の指先が容赦なくカリカリと引っ掻いてくる。
「も、やめっ……頼む、もう乳首やめてっ……んんんっ」
藍原が果てる寸前でまた笹野は指を離す。
「乳首イキしそうだった? これ、萌絵ちゃんにもやってみ」
荒々しい呼吸で必死に耐えている姿が堪らなく愛しくて、つい藍原から強請ってくるまで我慢させてみるかと悪ふざけにスイッチが入る。
寸止めを限界まで繰り返し、嬲られ尽くした亀頭が真っ赤に充血して震えるのを手のひらで撫で回す。先端を擦ってやるたびに、先走りを溢れさせながらぴくっと悦ぶものは正直だ。
乳首も徐々に性感帯として育ってくるのを満足そうに舌で押し潰してやると、藍原が身を捩りながら啼く。
垂れ流した蜜が、こちらも当然のように未使用の後ろの口をしとどに濡らしているのがひどく卑猥だった。前と乳首へのしつこい刺激で、まだ快感を知らないはずの後孔が期待しているようにひくついている。
「へぇ? まだ何にも知らないはずなのにエロい身体だな」
指先が蕾に触れる。
「待てっ……本当にそこ、使うのか……?」
「お前が前戯だけで萌絵ちゃんイかせられる自信があるならここでやめてもいいぜ」
ズルい尋ね方をしていると自覚しながらも、自信のない藍原が笹野に頼ってくるのをじっと待つ。
「……教えてくれ」
震えながらそう呟いた藍原に満足そうに笹野が頷く。
「女の子もそうだけど、いきなりちんこ突っ込んだらめちゃくちゃ痛え。特に経験なしならな。慣らすのが大事なんだよ。いわゆる手マンからってことな」
処女の子ならなおさらいきなり濡れたりしねぇから、ローション使え。そう言いながら「まぁ、お前は要らないくらい濡れてるからこのままだけど」と付け加える。藍原が羞恥に染まるのを楽しそうに見下ろして、指の異物感から意識を逸らさせるために首筋や耳、鼠蹊部などの性感帯を教え込む。
「普段何も入ってねぇんだから違和感はあるんだよ、どうしても。初めての子ならあんまそれに集中させちまうと気持ちよさがどっか行っちまうから──」
首筋に唇を滑らせながら、耳たぶを甘噛みする。
「こういうので気をそらせるんだ」
耳に直接吐息を吹き込んでやると、藍原があられもない声を漏らした。
「ああっん……っな、なにっ……こんな……」
「耳は弱い奴が多い。ゾワゾワするだろ?」
「んぁ……や、やめっ……」
藍原を酔わせながら笹野の指は少しずつ閉じた体を開いていく。人差し指は難なく受け入れるようになったのを見計らって、前を扱く。寸止めばかりされていたものは呆気なく絶頂に押しやられ、白濁が散る。ぎゅうっと指を締め付けた中が緩む瞬間を見計らって2本目を挿し入れる。異物感が増し、藍原の顔が歪む。
なるべくはやく馴染むよう、くいっと指先を腹側に折り曲げてやると、余韻に震えているしこりが指を押し返す。
「男と女はナカの気持ちいい場所が違うから、それはまぁネットとかで事前座学しとけ。とにかく気持ちいいところを狙って攻める」
宣言通り丸く撫でさするように前立腺を刺激してくる笹野に、藍原の思考がショートする。快感に飲み込まれてこちらの声が聞こえていないだろうと判断した笹野はそのまま薬指まで潜り込ませて丁寧に藍原を陥落させていく。藍原自身は気が付かないうちにスムーズに三本が出し入れできるように仕上げ、さて、と自らの前を寛げる。
充分昂めてやった。解してもやった。
「もうそろそろ待てねぇわ、俺」
藍原の返事は待たないまま、ズルッと指を抜き膕に手を差し入れて両足を担ぎ上げる。秘孔にひたりと当てられた熱いものに藍原が恐怖を滲ませる前に、ゆっくりと腰を進めていく。一瞬怯えた顔をしたものの、すぐに浅いところの弱点に雁首が届く。指とは比べ物にならない衝撃に藍原の口がはくはくと震えた。
「大丈夫だから怖がんな。痛くねぇだろ?」
笹野の言う通り、存分に準備をされた体はそれほどの痛みを覚えることもなく笹野を迎え入れる。それでも圧迫感に涙を滲ませている藍原のナカが笹野のものに馴染むまでしばらく待ち、ゆっくりと抽挿を開始する。
(俺、最低だわ……でもお前はこうでもしないと俺のことなんか見もしないだろ?)
パンパンと笹野の腰が藍原の尻にぶつかる。快感についていけずに笹野に縋るようにその名を呼び続ける藍原の手首を解放してやると、そのまま背に腕を回してしがみついてくる。可愛いが過ぎんだよ、と苛立ちのような感情が湧き上がる。泣こうが喚こうがもう止められない。
どこか冷めた自分が、誰よりも大切なはずの相手を騙して体を暴いたのは誰だと責めてくるのを聞こえないふりをして、目の前の藍原の痴態に集中する。
散々藍原をイかせた笹野のものは、最後まで藍原の中で果てることはなかった。
気絶するように眠ってしまった藍原の後処理をしてやって、服も元通りに整えてから仮眠室を出る。男子トイレでヌいてから、自己嫌悪に頭を抱えた。
翌朝気まずいに決まっていると覚悟をしながら出勤した笹野だったが、藍原は何も気にしていないとでも言うように普段通りだった。それは単純に笹野が掛けた暗示が効いているだけだったのだが、笹野を諦めさせるには充分だった。営業で鍛えた表情筋に感謝しながら、元通りの同僚としての関係に戻った二人だったが──なぜかそれを境に藍原の営業成績は目に見えて伸びた。
(……なんで?)
翌月の営業成績表で己に並んだ藍原の商談数に、笹野が呆気に取られているのを藍原が爽やかに笑って「お前のおかげだよ」と通り過ぎていく。
釈然としないものを感じながらも、その先なんだかんだと営業一課の花形として腐れ縁が続いていくのだった。
7
お気に入りに追加
596
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる