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第一章

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◆エドガー



憧れだった。
尊敬してた。
誰よりも立派で、誰よりも素敵で、誰よりも綺麗で、
好きだったんだ。


どうして?
どうして何も言わずに居なくなってしまったの?
ボクはこんなにもミーシャが好きなのに

友情とか、親愛とかじゃない
好きなんだ。
愛してるんだ。

こんなにも、
こんなにもボクはミーシャのこと想ってるのに
こんなにもボクはミーシャを愛してるのに

何も言わないで居なくなるなんて酷いよ。

ボクの事なんとも想ってないなんてウソだよね?

だってこんなにも好きなのに、愛してるのに
ボクの事なんとも想ってないなんて絶対にウソだ。


ねぇ、ねぇミーシャ。


「なんとかいってよミーシャ」

「・・・邪魔だ。退け、エドガー・コロネ」


あは、冷たいなぁ
ミーシャはこんな冷たい人だったっけ?
変わっちゃった?

「そうだね、身体ももう、おっきくなってさ。
ここも、女の人らしくなったよね」


やわらかい、お母さんのそれを触った記憶なんてもう無いけれど、ミーシャのお胸はフニフニしてて、なんだかとても夢中になっちゃう

「いつまでこうしているつもりかね?」


ミーシャはわかってないなぁ
ボクはこんなにもミーシャが好きで、ボクだけのものにしたくてたまらないっていうのに
なぁんにもわかってない

「ミーシャは変わったよね」


果物ナイフでミーシャの服を裂いていく。
ミーシャの真っ白い肌があらわになっていくのを見てクラクラしそうだ。
ゆっくりとお臍の近くを触っていく
自分の手と比べると白くて滑らかで、ずっと触っていたくなる

ミーシャにボクを見て欲しい
ボクだけのミーシャになって欲しい

ナイフを片手にスカートのボタンを外す
上着はナイフで裂いておきながら、とは頭の片隅に追いやって水色と白色の縞模様の下着に思わず「カワイイ」と呟いた
無理矢理引き摺り下ろしてボクの下半身を擦り付ける
これで、これで、
これでミーシャはボクのものになるんだ。

「ミーシャ、これで、ボクのモノになるんだよ。わかる?」

「ミーシャ?」


抵抗も、言葉の一つも無いミーシャの顔を見て、ギクリ。とする

変わらない
つまらないものを見るような目だ。

はじめてボクの作った料理を食べて貰った時も、
一緒に鍛練をした時も、
勉強を教えて貰った時も、
こんな目をしていた。

変わらない、変わってなんかいない
ミーシャは変わっていない。

変わったのはボクだ。


急にとても怖くなってきたけれど、もう今更止める事も考えられなくて
早く早くと急くようにミーシャの陰部に無理矢理ねじ込もうとする。

「なぁにやってんだこのバカ息子ォォ!!!!」

「うっ」

ああ、見つかってしまった。
ミーシャと二人きりになる為にお父さんとお母さんには厨房に入って貰っていたのだけれど、時間切れだ。
それに口惜しくもあり、どこかほっとしている。

ミーシャから引き剥がされて頭を床に叩きつけられる。

「申し訳ありませんっ!!うちの息子が・・・っ!
本当にっ!申し訳ありませんっ!!!
如何様にも!罰ならなんでも受けますっ!!本当に、申し訳ない・・・
エド!お前っ・・なんて事を・・・っ、謝れ!」

「好きなんだ!!ボクはミーシャのことが好きなんだ!!
謝らない!どうしたって!好きなんだ!!」

「おまっ、お前って奴は・・・
ミーシャ様っ、本当に申し訳ないっ!」

「別に構わんよ。ルーク」

「おう」


ゾワリとする。
いつの間にか用意されていた替えの服をミーシャに手渡しているルークさんを視界の端に見て、やっとボクの頭から血の気が引く感覚がした。
ルークさんはずっと同じ部屋に居て、ボクのしていた事をただ見てる事しかしていなかった。
途中でルークさんに止められるだろうと思っていたのにそれすら無かった。
ただ、壁に寄りかかってボクとミーシャの事を見ていただけだった。
怖い。気味が悪い。
何なんだ。ルークさんはミーシャの一体何なの?
二人が付き合っているとか、恋人どうしならボクの事を止める筈だし、それならそれでミーシャの事諦められたかもしれないのに


「さて、もう食事の用意は出来たのかね?」

「え?・・え、えぇ、はい」

「なら支度したまえ、仕事の話もあるのだから」

「え、あの、ミーシャ様?その・・エドガーのした事、ですが・・」

「服の一着程度対した事では無い、気にせんよ」

「そっ、そうではなくて!!うちの息子が、ミーシャ様に取り返しのつかない事を・・・っ」




「エドガー・コロネ。
君は私と性行為を行って、その結果何をしたかったのかね?」

ボクの頭を抑えてた手は外されていた。
真っ直ぐにミーシャの顔を見上げる

「ボクはミーシャの事が好きだ。好きなんだっ」

「愛人になりたいのなら私から陛下に進言しようか?愛人を有する王族は珍しくも無い、説得は簡単だろう
君の望みに沿うよう努力するとして、君はその見返りに何をしてくれるのかね?」

「・・・え、ちが、そうじゃないよ・・・」

「何が違う?私を君の伴侶にしたいと言うならそれは無理だ。国王陛下との約束に反するのでね」

「違う、違うよ。ボクはミーシャの事が好きで、だから、
だからミーシャにもボクの事っ」

「私が誰かを好きになる事は無い。
そのような感情は持ち合わせていない。不可能だ」


はっ、はっ、
口の中が、喉の奥がカラカラになってしまったようだった

何、それ
そんなの、知らない

ミーシャは誰の事も好きになれないの?
そんなことって、あるの?


「どうしたのー?何かあったの?」

「対した事ではない、ほら、いつまで床に座っているつもりかね」


ボクはお父さんに腕を引かれてノロノロと立ち上がる。
耳元でしばらく部屋で反省しろと言われたからその通りに部屋に戻る
お母さんに声をかけられたけど無視した


部屋の隅に座りこんで、ボロボロと泣いた。
あの頃に戻りたいと思った。
憧れだった。尊敬してた。
一緒に居られるだけで幸せだった。

もう全部台無しだ。








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