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第一章

~40~

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◆ミリア・フロイライト






「なにぃっ!?ミーシャが居ないだと!?
そんなバカな!!?」



あらあら、ミーシャちゃんったらもう
小さい頃からそうだったわね
即断即決、一度決めた事はけっして取り消さないし、努力家で真面目
いったい誰に似たのかしら?
それとも前世のなんたらってものの影響なのかしら?

「ミリア!何を笑っているのだ!
ミーシャが!ミーシャが!」

「はいはい、あまり情けなく喚かないで下さいな
みっともないですよ」

「ミリア・・・!お前は、ミーシャが心配じゃあないのか・・!」


自分の意見に同意して欲しかったのかしら?
にしても心外ねぇ


「貴方、私だってね
ミーシャちゃんを心配してない訳じゃないのよ?」


「なら、何故・・・」

「信じているからよ」



矢継ぎ早にミーシャちゃんの名前をずっと呟き続けていた口が止まっている
言葉に迷っているようにも見える


「貴方、ミーシャちゃんは確かにまだ子供よ
でもね、私達が必死になって守ってあげなきゃいけない程頼りない子供じゃあないの
ミーシャちゃんは″帰って来る″って言ったのだから、私達の自慢の子供の言葉を信じてあげて?」


そう言いながら、思い出すのはずっと前の事
まだミーシャちゃんが淑女としての教育を受け始めた頃かしら?
あの頃のミーシャちゃんは本当に小さくて、でも小さい身体に似合わないくらいにしっかりとした子だったと思う



ミーシャちゃんが私に、旅に出たいと言ってくれたのもその頃だ。
でも、私はその時子供の言う事だ。と深く考える事をしなかったし、ミーシャちゃんの言葉をちゃんと聞いてあげていなかった。
次にミーシャちゃんが私に伝えてくれた内容は旅に出る時期についてだった。
五年後の事だった。
私はその時になってようやくミーシャちゃんが本気なのだと悟った。
後悔したわ。
なんであの時ちゃんとミーシャちゃんの言葉を聞いてあげなかったんだろう。ミーシャちゃんの力になれなかった。
なにもかも、ミーシャちゃんは一人で進めていたのに私は何も知らないままだった。

だからこそ、かしら
沢山不安はあったけど、今もミーシャちゃんがどうしているのか気になってしまうけれど
それでもミーシャちゃんには好きな事を好きなだけ楽しんで欲しかった

私には、ミーシャちゃんの言う生まれてきた意義だとか、存在する理由だとか、難しい事は良くわからないわ
ロズベルトも、ミーシャちゃんも、私の子供として産まれてきてくれた。大切な宝物だもの
理由なんて無い、理屈なんて意味が無い
ただそこには感謝の気持ちだけがある

産まれてきてくれてありがとう
生きていてくれてありがとう
元気でいてくれてありがとう
笑ってくれてありがとう
幸せでいてくれてありがとう

そこに存在するだけでこんなにも嬉しいのに、こんなにも有り難いのに
それに理由だとか意義だとか探す意味ってあるのかしら?
私には、良くわからないけれど

ミーシャちゃんがそれを望むのなら
そうしたいと、自分の自由に出来る時間を大切にしたいと言うのなら
私は母として、娘のしたい事をしたいようにさせてあげたい
力になってあげたい

娘が必ず帰って来る事を、信じたい
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