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航
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何でこんな事になったんだろう。
駅までの道をぼんやり歩きながら考える。
美涼さんと知り合ったのは二か月前、兄貴の友人の友人だった。たまたま実家に帰った時に遊びに来ていた。
すごく美人だな、と思った。甘ったるくまとわりつく匂いにもドキドキした。
でも俺が好きなのは可愛いヒロとその爽やかで控えめな匂いだ。
それなのに気が付いたら俺の部屋でセックスしていた。あの甘ったるくまとわりつく匂いに絡め取られて止めることが出来なかった。歳上のテクニックにもやられてしまったのかもしれない。
俺はヒロが好きなのに。何時も恥ずかしそうに俺に身を委ねるヒロが可愛くて仕方ないのに。
その後も美涼さんは何度か俺のマンションにまで来て断れなかった。
ヒロを入学式で初めて見たとき『マジか!』と思った。
めちゃくちゃタイプのオメガがいる!可愛い!なんとか仲良くなりたいと思ったがこれといって共通点もない。
どうやらヒロを狙っているやつも何人かいるらしい。
焦った俺はゴールデンウィーク明けに告白した。
ヒロは驚いていたけど友達からならって。
そんなところも可愛くて仕方なかった。
夏の海でヒロから好きだと言われたときは幸せ過ぎて怖いくらいだった。
何度も何度もキスをして抱きしめた。
あの爽やかな匂いが俺のものになった。
その二か月後にセックスした。お互い初めてで最初の二回は上手くいかなかったけど、三回目にちゃんとできたときは泣けた。
可愛くて気持ちよくて、一生大事にすると誓ったのに。
俺たちアルファは皆嫉妬深い生き物だ。
ヒロと早く番いになりたくて仕方なかった。
高校卒業したら番うことを許してもらった。
もう婚約者も同然だ。学校でも休みの日でもずっと一緒にいた。こんなに一緒にいるのに全然飽きなくて、楽しくて幸せだった。
大学生になったら俺のマンションで同棲する予定だった。
それなのに美涼さんと関係をもってしまった。あの甘ったるい匂い。拒むことが出来なかった。ヒロに申し訳ないと思いながらも関係を続けてしまった。
美涼さんには婚約者がいる。早く番って欲しい。あの匂いを感じなくなりたい。ヒロの優しい匂いだけでいい。
美涼さんが結婚するまで続けてしまうのだろうか。
バレたらどうなるんだろう。怖くて仕方ない。
そればかり考えている。
その日はすぐにきてしまった。
ヒロは部活で会えない日だ。
美涼さんが俺のマンションに来た。またあの甘ったるくまとわりつく匂いをプンプンさせていた。
そのまま会話もせずにセックスした。セックスは気持ちいい。セックスにのめり込んでいたとき、部屋のドアが開いた。
真っ青な顔をしたヒロだった。写真を撮られた気がする。
ヒロは何も言わずそのまま出ていった。
我に帰って美涼さんを突き飛ばして身体を離した。
ヒロに見られた。ヒロに知られてしまった。どうしよう。ヒロに嫌われる…。
動揺しまくる俺を鼻で笑って美涼さんは帰っていった。
何度も何度も連絡するが返信はない。
次の日ヒロは学校に来なかった。撮った写真が送られてきた。全裸で絡み合う俺と美涼さんだ。身体が震えた。
次の日の朝、ヒロに話しかけたがそっけなく別れると言われた。別れたくない、ヒロと別れたくない。自分勝手なのは分かっている。でもヒロと別れたくない。
放課後、ヒロとその友達の夏樹と三人で話をした。
スマホを見せろと言われて動揺した。美涼さんとのメッセージを消していなかった。何日かまとめて消したりもしていたが昨日と今日はそのままだった。
もう終わりだとヒロに言われた。
泣きながら土下座したけどもちろん許してもらえなかった。
ヒロは自分のどこが悪かったのかと言っていた。ヒロに悪いところなんて何もない。可愛くて優しくて真面目なヒロ。
俺が全て悪いんだ。
その後は学校で会っても無視される。メッセージアプリもブロックされた。
ヒロは俺を見つけると嬉しそう笑ってあの優しくて爽やかな匂いをふわふわ漂わせる。近づくとその匂いで包んでくれる。でももうそんなことはしてくれなくなった。すれ違うと匂いを隠してしまう。身体が俺を拒否しているのだろう。
悲しくて悲しくて仕方なかった。
ヒロに会いたくてヒロが行きそうなところブラブラ歩いていた。ヒロと良く行っていたファミレスにヒロが居た。でも歳上の男と一緒だった。
思わず中に入って声をかけてしまった。
美涼さんの元婚約者だと言っている。血の気が引いた。もう何もかもお終いだ。
元、ということは美涼さんも別れたんだろうか。でももうそんなことはどうでもいい。
ヒロとこの男は付き合うと言っている。一目惚れだとも。
ウソだろ?驚いて二人を見る。
男がヒロに抱きついて頭にキスをしている。そしてあの目。俺を見る挑戦的な目。本気だ。この男はヒロを狙っているんだ。
でももう俺には止める権利はない。
二人が出て行った後も身体が動かない。
俺がバカだったせいでヒロを失ってしまった…。
駅までの道をぼんやり歩きながら考える。
美涼さんと知り合ったのは二か月前、兄貴の友人の友人だった。たまたま実家に帰った時に遊びに来ていた。
すごく美人だな、と思った。甘ったるくまとわりつく匂いにもドキドキした。
でも俺が好きなのは可愛いヒロとその爽やかで控えめな匂いだ。
それなのに気が付いたら俺の部屋でセックスしていた。あの甘ったるくまとわりつく匂いに絡め取られて止めることが出来なかった。歳上のテクニックにもやられてしまったのかもしれない。
俺はヒロが好きなのに。何時も恥ずかしそうに俺に身を委ねるヒロが可愛くて仕方ないのに。
その後も美涼さんは何度か俺のマンションにまで来て断れなかった。
ヒロを入学式で初めて見たとき『マジか!』と思った。
めちゃくちゃタイプのオメガがいる!可愛い!なんとか仲良くなりたいと思ったがこれといって共通点もない。
どうやらヒロを狙っているやつも何人かいるらしい。
焦った俺はゴールデンウィーク明けに告白した。
ヒロは驚いていたけど友達からならって。
そんなところも可愛くて仕方なかった。
夏の海でヒロから好きだと言われたときは幸せ過ぎて怖いくらいだった。
何度も何度もキスをして抱きしめた。
あの爽やかな匂いが俺のものになった。
その二か月後にセックスした。お互い初めてで最初の二回は上手くいかなかったけど、三回目にちゃんとできたときは泣けた。
可愛くて気持ちよくて、一生大事にすると誓ったのに。
俺たちアルファは皆嫉妬深い生き物だ。
ヒロと早く番いになりたくて仕方なかった。
高校卒業したら番うことを許してもらった。
もう婚約者も同然だ。学校でも休みの日でもずっと一緒にいた。こんなに一緒にいるのに全然飽きなくて、楽しくて幸せだった。
大学生になったら俺のマンションで同棲する予定だった。
それなのに美涼さんと関係をもってしまった。あの甘ったるい匂い。拒むことが出来なかった。ヒロに申し訳ないと思いながらも関係を続けてしまった。
美涼さんには婚約者がいる。早く番って欲しい。あの匂いを感じなくなりたい。ヒロの優しい匂いだけでいい。
美涼さんが結婚するまで続けてしまうのだろうか。
バレたらどうなるんだろう。怖くて仕方ない。
そればかり考えている。
その日はすぐにきてしまった。
ヒロは部活で会えない日だ。
美涼さんが俺のマンションに来た。またあの甘ったるくまとわりつく匂いをプンプンさせていた。
そのまま会話もせずにセックスした。セックスは気持ちいい。セックスにのめり込んでいたとき、部屋のドアが開いた。
真っ青な顔をしたヒロだった。写真を撮られた気がする。
ヒロは何も言わずそのまま出ていった。
我に帰って美涼さんを突き飛ばして身体を離した。
ヒロに見られた。ヒロに知られてしまった。どうしよう。ヒロに嫌われる…。
動揺しまくる俺を鼻で笑って美涼さんは帰っていった。
何度も何度も連絡するが返信はない。
次の日ヒロは学校に来なかった。撮った写真が送られてきた。全裸で絡み合う俺と美涼さんだ。身体が震えた。
次の日の朝、ヒロに話しかけたがそっけなく別れると言われた。別れたくない、ヒロと別れたくない。自分勝手なのは分かっている。でもヒロと別れたくない。
放課後、ヒロとその友達の夏樹と三人で話をした。
スマホを見せろと言われて動揺した。美涼さんとのメッセージを消していなかった。何日かまとめて消したりもしていたが昨日と今日はそのままだった。
もう終わりだとヒロに言われた。
泣きながら土下座したけどもちろん許してもらえなかった。
ヒロは自分のどこが悪かったのかと言っていた。ヒロに悪いところなんて何もない。可愛くて優しくて真面目なヒロ。
俺が全て悪いんだ。
その後は学校で会っても無視される。メッセージアプリもブロックされた。
ヒロは俺を見つけると嬉しそう笑ってあの優しくて爽やかな匂いをふわふわ漂わせる。近づくとその匂いで包んでくれる。でももうそんなことはしてくれなくなった。すれ違うと匂いを隠してしまう。身体が俺を拒否しているのだろう。
悲しくて悲しくて仕方なかった。
ヒロに会いたくてヒロが行きそうなところブラブラ歩いていた。ヒロと良く行っていたファミレスにヒロが居た。でも歳上の男と一緒だった。
思わず中に入って声をかけてしまった。
美涼さんの元婚約者だと言っている。血の気が引いた。もう何もかもお終いだ。
元、ということは美涼さんも別れたんだろうか。でももうそんなことはどうでもいい。
ヒロとこの男は付き合うと言っている。一目惚れだとも。
ウソだろ?驚いて二人を見る。
男がヒロに抱きついて頭にキスをしている。そしてあの目。俺を見る挑戦的な目。本気だ。この男はヒロを狙っているんだ。
でももう俺には止める権利はない。
二人が出て行った後も身体が動かない。
俺がバカだったせいでヒロを失ってしまった…。
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